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第1章

15話 訓練 3

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 午後の訓練は、やっぱり走り込みだった……

 「はぁはぁ……」
 「昨日で思い知ったと思うが今のアトスには逃げる時の体力が一番大事だ」

 確かに、昨日は体力が尽きてシクに迷惑を掛けた。もし冒険者達が来なかったら、俺かシクのどっちかはやられていただろ。
 恐らくシクは俺の事見捨てる事が出来ないから、シク自身が犠牲になっていたと思うと今以上に真面目に走り込みの訓練をしないとな。

 「はぁはぁ」

 しばらく走っているとシクに止められた。

 「よし、アトスもういいぞ」
 「あれ? まだ昨日の半分くらいしか走ってないぞ?」
 「今日は別の事をやる」

 走り込みから解放され小躍りしたいくらいだ。

 「今日から走る訓練とは別に私の攻撃を避けてもらう」
 「いや、シクの攻撃防ぐなんて無理だろ」
 「もちろん、最初は手加減するが徐々にスピード上げていくぞ」

 訓練三日目からは、シクの攻撃を避けるのも追加になった。
 少し変わった訓練でシクが俺から二十メートル程離れた位置から俺を追いかけて攻撃を仕掛けるのだ。
 どうやら、仮想モンスターに追われている状況を作っているらしい。

 「ほら、追いついたぞ!」
 「グフゥ!?」

 背中にとてつもなく大きい衝撃が走った。

 「ケホッケホッ」
 「私がモンスターならアトスは今食われていた」
 「クソーー! シク早すぎだろ」
 「人間族だから身体能力が低い分、アトスは相手の行動を先読みしろ、これは行動を先読みして相手が次にどこを走るか予測してその走る事が目的だ」

 そんな、超人的な事出来るのか?
 シクが言いたい事は分かるが、シクの動きだったり、モンスターの動きを先読みとか出来る気がしないぞ。

 「もう一回だ」

 こうして、毎日の日課に先読みの訓練が追加された。
 五歳児にどんだけ訓練させるんだよ……




 走り込みと先読みの訓練が終わり、ジャングルの見回りを行う。

 「シク、今日もモンスターに遭遇するかな?」
 「ここらへんには、あまりモンスターが居ない筈だから滅多に遭遇する事は無いと思う」
 「もう、あんな目に合うのはゴメンだな」
 「だが、いつ昨日の様な事が起きるか分からないからな」

 そんな事を話しながら、ジャングルを見て回った。

 「全然道を覚えられねーー!」
 「ふむ、やはり人間族と獣人族だと感覚の違いがあるか……」
 「人間族の冒険者達はどうやって道に迷わずこのジャングルを移動しているんだ? 」
 「恐らく慣れか地図か何かだな」

 地図か……。俺も必要かもな。まだ三日目だし覚えられないのは当たり前だけど。

 「今日はここまでにして帰ってご飯にするか」
 「そうだな! 腹減った」
 「今日は猪肉のステーキだな」
 「またかよ……」
 「なんか言ったか?」

 シクの表情が鋭くなる。

 「わ、わーい。ステーキ最高……」

 分かればいいんだよ、分かればと言っている様に表情はいつも通り鋭いが、何故かドヤ顔をしている。

 「さて、帰るぞ」
 「はーーい」

 
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