愛した人は青空の瞳〜御使いシラサギと3つの選択〜

平川

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◇本編

73.

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「こ、こら!リリア!待て!」

 テオルドが振り返りワタシを掴もうとする。

「スパラッシュ!テオルドの脚を床にくっ付けて!」

 バシュッと虹色の糸がテオルドの脚と床を一つにし、「え?」と言いながら彼が床に手を着いた。

 まだ力が強く無いので扉のノブが回せない。ワタシは扉の横に居たトーザさんに向かって扉を開けてもらうように頼んだ。

「トーザさん、扉開けて?」
「.........っえ?あ、え?御使い様?.........ですか?」
「うん。今は御使いではもう無いけど。リリアだよ?開けて?」
「は.........はい。い、いや.........それは.........う.........っ」
 なんか顔が赤いし固まってるな。ワタシそんな変な顔?

「トーザ!リリアに触るなよ!後、扉は開けるな!くそっ!」
 テオルドはスパラッシュの糸を取ろうとしゃがんでいる。早く出なくちゃ。

「ピンジャー。開けられる?」
「シャー」

 ピンジャーは一スイッと飛び上がると凄い勢いで扉に穴を空けて行く。

 ガガガガガガガガガガーーーーッ!

 ピンジャーの針って凄いよね~。蜂の精霊だけど針が飛ばせるの。身体も大きいから針も大きいし、無くならないから便利なんだ。
 そうこうしている内に扉が穴だらけになってバタンと外に倒れた。


『「がっ.........................っ!!」』


 変な声が一斉に聞こえたけど何だろう。まあ、いいや。ワタシは倒れた扉から外の廊下に出る。脚の裏がジャリジャリチクチクするな.................。人間は靴を履かないとダメなんだよね。

「リリア!行くな!そんな格好.........下には.......いや、ちょっと待て!まだ残党が居る!危ないだろ!リリア!!」
「.................平気。じゃあね」
「ーーーーっ!この!俺の言う事を聞け!」
「.........ヤダ」
「!」
「ワタシお役目の事聞いてないし今じゃなくて良いんでしょ?だから.........」
「だから何だ!」
「テオルドから離れる」
「馬鹿!!」
「っ! 馬鹿はそっちよ!テオルドの馬鹿ぁ~~!」
「リリア!」


 泣きたくないのに!何よ馬鹿!人の気も知らないで。馬鹿馬鹿言わないでよ馬鹿!わーーーーん!!

 ワタシは必死になって脚を動かした。動かす度にこの身体はワタシのモノになって行く。長い廊下には部隊の人がチラホラいる。捕まるかな?

 ワタシに気付いた人達はガチリと固まる。なんで?あ、もしかして白いから幽霊みたいに思われてるのかな?.........ちょっと傷つくな。
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