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◇式前30日の記録
25.《聖》の具現化
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テオルドの執務室
スパラッシュと向かい合わせに座るテオルドとシューマ。シューマにはリリアが女神の娘である事が伝えられた。暫く青い顔で聞いていたが最終的には何だか諦めと納得の半々の顔になる。
「やはり.........女神化してるんだな。この2週間で?」
「元々10年の間テオルド様に愛されて育って来ていますから可笑しな事ではありません。後は、リリア様は既に女人になられましたから.........それも影響しているのでしょう。」
「あ.........愛され.........う、ウォッホン!女人って?」
「月経です。今まではシラサギでしたから。鳥でしたら番う事で....... 」
「.........分かった。そこはもう良い」
手を前に出して遮るテオルド。耐性が無いので耳が赤い。
自分のリリアへの愛情が女神へのプロセスだったとは.........そこに来て人間に身体を変えて一気に神格化してしまったのだと。《聖》が身体から溢れる程。
「(これは.........まずく無いか?隠せるかな?不思議な力が有ると判ればあっという間に拡がりそうだ。俺みたいな異能は数は多く無いが居るらしい。だが、総じて戦闘に特化しているか、そのアシストの様な能力だと言う。花を咲かせる、だけじゃ済まなくなるかも知れない女神としての力.........リリアの身が危険じゃ無いか?)」
「《聖》の力が具現化すれば身を守る事は造作も有りませんよ。何故なら《悪》は近づくだけで《聖》に変わってしまうのですから。例えば悪意を持って矢が放たれリリア様に向かって来たとしても触れた瞬間お花に変わるくらいにはなります」
「ええ!そうなのか?凄すぎるな.........!」
「問題は、今どれ程の力が具現化出来るか、ですね。おそらく.........テオルド様次第かと」
「は?何で俺?」
「先程申しました。お忘れですか?リリア様は愛で育つお方なのです。愛されなければ.........あっという間に.........」
「..................あっという間に?」
「餓死」
「えええ!!!」
「或いは《悪》を取り込み《聖》に出来なくなり...... 」
ゴク.........
「悪神化」
「ま、待て!嘘だろ!俺の役割半端無い!!い、いや、そりゃ.........あ、あ、あ、あ、あ、あい、し、てるけど.........悪神化とか.........餓死とか.........思った以上に.........!」
「頑張って下さいましね。大丈夫ですよ。シラサギの時だって成長されてましたから。まあ、伴侶になるのであれば異性の愛が必要になるかとは思いますが.........」
「い、『異性の愛』?」
「(また知らない単語が.........恋人とか夫婦のとは違うのか?分からん!)」
それを聞いていたシューマはうんうんと頷き
「テオルド様。やはり.........娼館に行きましょう。今のテオルド様では.........心許ない!」
「のわー!そっちか!」
テオルドの顔がボンッと赤くなる。
「シューマ様!娼館ってどう言う事ですの?まさかそちらの女性と.........っ!」
スパラッシュが前のめりにシューマに問いただして来る。
「あ.........しまった。女性の前 で.........申し訳ない」
「い、いけません!いけませんわ!そ、その様な.........処の方ではなくて.........わ...わたくし..................とっ!」
「「え"?」」
目を剥いて固まる男2人。
「ぴゃっ!!なんでもありませんんん!で、でも....でもぉー.....んんんーーーーし、失礼致しますぅー!!」
そう言うとガバッと立ち上がり二階の開いている窓からシュバっと外に飛び出して行くスパラッシュ。
その間1.0008秒。
「「.................」」
「.........シューマ。御神託の内容は?」
「《解決ノ道 運命ノ者キタレリ 実直ニ向キ合ウガ良》」
「なるほど.........」
「.................実直に.........向き合う.........」
「強制で無いのには何か理由があるのか。まだちょっと判らないな。いや、あれじゃ無いか?」
「あれ?とは?」
「蜘蛛だけに.........喰われる、とか.........?」
「牙は女神様に返したと言ってましたよ?」
「ふーん.........じゃあ、良いんじゃ無いか?見目も可愛らしいし、強いし....何より好かれてる」
「簡単に言わないで下さいよ。天界の方ですよ?私なんて.........そんな資格は。.........手に余ります」
「資格ねぇ......俺なんか次期女神だぞ」
「「..............................................」」
「「......はぁ」」
色々ややこしくなって来た。頭を抱えながら取り敢えず明々に仕事をし出す男達であった。
スパラッシュと向かい合わせに座るテオルドとシューマ。シューマにはリリアが女神の娘である事が伝えられた。暫く青い顔で聞いていたが最終的には何だか諦めと納得の半々の顔になる。
「やはり.........女神化してるんだな。この2週間で?」
「元々10年の間テオルド様に愛されて育って来ていますから可笑しな事ではありません。後は、リリア様は既に女人になられましたから.........それも影響しているのでしょう。」
「あ.........愛され.........う、ウォッホン!女人って?」
「月経です。今まではシラサギでしたから。鳥でしたら番う事で....... 」
「.........分かった。そこはもう良い」
手を前に出して遮るテオルド。耐性が無いので耳が赤い。
自分のリリアへの愛情が女神へのプロセスだったとは.........そこに来て人間に身体を変えて一気に神格化してしまったのだと。《聖》が身体から溢れる程。
「(これは.........まずく無いか?隠せるかな?不思議な力が有ると判ればあっという間に拡がりそうだ。俺みたいな異能は数は多く無いが居るらしい。だが、総じて戦闘に特化しているか、そのアシストの様な能力だと言う。花を咲かせる、だけじゃ済まなくなるかも知れない女神としての力.........リリアの身が危険じゃ無いか?)」
「《聖》の力が具現化すれば身を守る事は造作も有りませんよ。何故なら《悪》は近づくだけで《聖》に変わってしまうのですから。例えば悪意を持って矢が放たれリリア様に向かって来たとしても触れた瞬間お花に変わるくらいにはなります」
「ええ!そうなのか?凄すぎるな.........!」
「問題は、今どれ程の力が具現化出来るか、ですね。おそらく.........テオルド様次第かと」
「は?何で俺?」
「先程申しました。お忘れですか?リリア様は愛で育つお方なのです。愛されなければ.........あっという間に.........」
「..................あっという間に?」
「餓死」
「えええ!!!」
「或いは《悪》を取り込み《聖》に出来なくなり...... 」
ゴク.........
「悪神化」
「ま、待て!嘘だろ!俺の役割半端無い!!い、いや、そりゃ.........あ、あ、あ、あ、あ、あい、し、てるけど.........悪神化とか.........餓死とか.........思った以上に.........!」
「頑張って下さいましね。大丈夫ですよ。シラサギの時だって成長されてましたから。まあ、伴侶になるのであれば異性の愛が必要になるかとは思いますが.........」
「い、『異性の愛』?」
「(また知らない単語が.........恋人とか夫婦のとは違うのか?分からん!)」
それを聞いていたシューマはうんうんと頷き
「テオルド様。やはり.........娼館に行きましょう。今のテオルド様では.........心許ない!」
「のわー!そっちか!」
テオルドの顔がボンッと赤くなる。
「シューマ様!娼館ってどう言う事ですの?まさかそちらの女性と.........っ!」
スパラッシュが前のめりにシューマに問いただして来る。
「あ.........しまった。女性の前 で.........申し訳ない」
「い、いけません!いけませんわ!そ、その様な.........処の方ではなくて.........わ...わたくし..................とっ!」
「「え"?」」
目を剥いて固まる男2人。
「ぴゃっ!!なんでもありませんんん!で、でも....でもぉー.....んんんーーーーし、失礼致しますぅー!!」
そう言うとガバッと立ち上がり二階の開いている窓からシュバっと外に飛び出して行くスパラッシュ。
その間1.0008秒。
「「.................」」
「.........シューマ。御神託の内容は?」
「《解決ノ道 運命ノ者キタレリ 実直ニ向キ合ウガ良》」
「なるほど.........」
「.................実直に.........向き合う.........」
「強制で無いのには何か理由があるのか。まだちょっと判らないな。いや、あれじゃ無いか?」
「あれ?とは?」
「蜘蛛だけに.........喰われる、とか.........?」
「牙は女神様に返したと言ってましたよ?」
「ふーん.........じゃあ、良いんじゃ無いか?見目も可愛らしいし、強いし....何より好かれてる」
「簡単に言わないで下さいよ。天界の方ですよ?私なんて.........そんな資格は。.........手に余ります」
「資格ねぇ......俺なんか次期女神だぞ」
「「..............................................」」
「「......はぁ」」
色々ややこしくなって来た。頭を抱えながら取り敢えず明々に仕事をし出す男達であった。
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