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◇式前30日の記録
36.似た者同士
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その時、ドオォォォーーーーーーンッッと響き渡る地響きと共にゴォーーーーと風が吹き上げ、女神の居る椅子の後ろの木々が薙ぎ倒され光の塵に変わった。
リリアはあまりの現象に羽を地面にペタンと広げて身体を丸くして声も出せずにブルブル震えて怯える。
「ちょっとー!もう少し静かに来れないの?私の白い娘が怯えてるじゃ無い!本当空気読め無いんだから!大体.........」
そう文句を言う女神の後ろにいつの間にか金の光の粒子が集まり出し人の形を成していた。
それは次第に男の姿になり、筋肉隆々の白い輝く羽根の髪を腰までたなびかせる美丈夫の姿へと変わる。肌の色は左が白で右が赤だ。鼻の真ん中でクッキリと色が分かれていた。瞳の色も左が金で右が紅。まるで2つのモノが1つになった様な容姿をしている。
「.........あれ?半分白いじゃないの。戻ったの?」
「ああ.........ハニーが赤が嫌だと言うから半分締めて来た。半分は逃げ回ってるが、まあその内な」
「全部白になるととんでもない力が貴方に宿るのね?ヤダわー離婚しましょう!離婚!」
「何故だ!ハニーが赤色が嫌だと申すからやっているのに、自らの放った言葉に責任持たぬか!全く適当であるな........で?ハニーの適当さ加減のお陰で我の白い娘が困っておるのだろ?何だ、また鳥になってるではないか」
「私の白い娘よ!」
「我の白い娘だ!」
「私の血と肉から産んだのよ!」
「我の魂から造ったのだから我のであろう!」
「私のお腹で造ったのよ!私が産んだんだから私のよ!」
「我の造る魂が無ければ唯の入れ物だ!でなけれは真面に育つものか!」
『っ........................』
この不毛な会話を聞いていたリリアはシクシクと泣き出した。2人の神の愛が有って生み出された命では無い事にショックを受けたのだ。辛くてポタポタ涙が止まらない。
「うお!どうした我の白い娘!何処か痛むのか?」
「馬鹿ね!貴方が煩くしたから怖がってるのよ!静かにしなさいよ!」
『うっ.....ぅ....うわーーーーーーーん!わーーん!ああぁ~~~っ』バサバサバサッ
「「どうしたの?」だ?」
『ワタシは愛されて生まれたのでは無いのですか?唯、モノとして生み出されたのですか?何の為に?どうして?こんなの酷いわ!うわーーーーんっ』
「愛してるわよ」
「愛しているぞ」
『................本当に?』
「貴女には私の愛が詰まってるわ」
「お主には我の愛が詰まってる」
『2人の愛は別々なの?』
「.........一緒、よ」
「一緒だ」
2人の神が声を合わせる。
『本当?.........良かった.........嬉しい!』
白い翼をパタパタしながら喜ぶシラサギ、いや、リリア。しかし.........
「勿論私の方が愛してるけどね!」
「我の方が愛しているに決まってるであろう!」
『.................』パタ.....
言い争う2人の神を見ながらリリアは、
『(ああ、この夫婦は.........もの凄く似てるんだわ.........でも愛されてた.........嬉しいわ)』
じんわり胸が熱くなる。
その時、後ろからパタパタと羽が鳴る音がする。長い首をフイッと向けるとそこには先程別れた大きなシラサギが羽をはためかせてリリアに近づいて来ていた。
『シトラン?.........どうして?』
パサパサと数回羽を鳴らしリリアの隣に降り立つシトラン。
『君の泣き声が聞こえた気がして.........何かあったのかと.........!これは父神様!お久しぶりでございます。先程の揺れは貴方様でしたか』
「久しいな、アルギリアーノ。いや、今はシトランか。ふふ」
『アルギリアーノ?誰?』
『.........父神様、それはまだ。それより何かありましたか?リリアが泣いていたようですが?』
『あ、えっと.........もう平気。少しだけ疑ってしまったの。愛されていないんだって.........でもちゃんと言葉にしてもらったわ。だから大丈夫』
『.........リリア。僕も君を愛しているよ』
『う"ぇ!!シ、シトラン!またっ!』
ビビッと固まるリリア。先程断ったばかりである。ここで振り返されるとはっ
「.........ほう?それは誠か?」
ニヤリと半分の赤い顔が笑う。
ハッ!
『ワ、ワタシには愛している人が居るんです!(ちゃんと言っておかないと!誤解されちゃうわ!)』
「勿論よ~。私が選んだ人間よ?私の白い娘にしっかり愛を与え育てて来た子だから。何の心配も無いわ、ね?」
「ハニーが選んだ?いつの間に!我の白い娘の伴侶は父の我が決める!勝手な事をするで無い!」
「はあ~~~~~?ふざけないでよ!此処は私の創った世界よ!そこに存在する中で1番相性が良い子を選んだわ!何より私の白い娘はあの子の愛で育った。紛れもなく最高の相手よ!」
『(そうなんだ!!ワタシとテオルドは最高の相性なんだ!ああ~テオルド嬉しいわ!)』
リリアはあまりの現象に羽を地面にペタンと広げて身体を丸くして声も出せずにブルブル震えて怯える。
「ちょっとー!もう少し静かに来れないの?私の白い娘が怯えてるじゃ無い!本当空気読め無いんだから!大体.........」
そう文句を言う女神の後ろにいつの間にか金の光の粒子が集まり出し人の形を成していた。
それは次第に男の姿になり、筋肉隆々の白い輝く羽根の髪を腰までたなびかせる美丈夫の姿へと変わる。肌の色は左が白で右が赤だ。鼻の真ん中でクッキリと色が分かれていた。瞳の色も左が金で右が紅。まるで2つのモノが1つになった様な容姿をしている。
「.........あれ?半分白いじゃないの。戻ったの?」
「ああ.........ハニーが赤が嫌だと言うから半分締めて来た。半分は逃げ回ってるが、まあその内な」
「全部白になるととんでもない力が貴方に宿るのね?ヤダわー離婚しましょう!離婚!」
「何故だ!ハニーが赤色が嫌だと申すからやっているのに、自らの放った言葉に責任持たぬか!全く適当であるな........で?ハニーの適当さ加減のお陰で我の白い娘が困っておるのだろ?何だ、また鳥になってるではないか」
「私の白い娘よ!」
「我の白い娘だ!」
「私の血と肉から産んだのよ!」
「我の魂から造ったのだから我のであろう!」
「私のお腹で造ったのよ!私が産んだんだから私のよ!」
「我の造る魂が無ければ唯の入れ物だ!でなけれは真面に育つものか!」
『っ........................』
この不毛な会話を聞いていたリリアはシクシクと泣き出した。2人の神の愛が有って生み出された命では無い事にショックを受けたのだ。辛くてポタポタ涙が止まらない。
「うお!どうした我の白い娘!何処か痛むのか?」
「馬鹿ね!貴方が煩くしたから怖がってるのよ!静かにしなさいよ!」
『うっ.....ぅ....うわーーーーーーーん!わーーん!ああぁ~~~っ』バサバサバサッ
「「どうしたの?」だ?」
『ワタシは愛されて生まれたのでは無いのですか?唯、モノとして生み出されたのですか?何の為に?どうして?こんなの酷いわ!うわーーーーんっ』
「愛してるわよ」
「愛しているぞ」
『................本当に?』
「貴女には私の愛が詰まってるわ」
「お主には我の愛が詰まってる」
『2人の愛は別々なの?』
「.........一緒、よ」
「一緒だ」
2人の神が声を合わせる。
『本当?.........良かった.........嬉しい!』
白い翼をパタパタしながら喜ぶシラサギ、いや、リリア。しかし.........
「勿論私の方が愛してるけどね!」
「我の方が愛しているに決まってるであろう!」
『.................』パタ.....
言い争う2人の神を見ながらリリアは、
『(ああ、この夫婦は.........もの凄く似てるんだわ.........でも愛されてた.........嬉しいわ)』
じんわり胸が熱くなる。
その時、後ろからパタパタと羽が鳴る音がする。長い首をフイッと向けるとそこには先程別れた大きなシラサギが羽をはためかせてリリアに近づいて来ていた。
『シトラン?.........どうして?』
パサパサと数回羽を鳴らしリリアの隣に降り立つシトラン。
『君の泣き声が聞こえた気がして.........何かあったのかと.........!これは父神様!お久しぶりでございます。先程の揺れは貴方様でしたか』
「久しいな、アルギリアーノ。いや、今はシトランか。ふふ」
『アルギリアーノ?誰?』
『.........父神様、それはまだ。それより何かありましたか?リリアが泣いていたようですが?』
『あ、えっと.........もう平気。少しだけ疑ってしまったの。愛されていないんだって.........でもちゃんと言葉にしてもらったわ。だから大丈夫』
『.........リリア。僕も君を愛しているよ』
『う"ぇ!!シ、シトラン!またっ!』
ビビッと固まるリリア。先程断ったばかりである。ここで振り返されるとはっ
「.........ほう?それは誠か?」
ニヤリと半分の赤い顔が笑う。
ハッ!
『ワ、ワタシには愛している人が居るんです!(ちゃんと言っておかないと!誤解されちゃうわ!)』
「勿論よ~。私が選んだ人間よ?私の白い娘にしっかり愛を与え育てて来た子だから。何の心配も無いわ、ね?」
「ハニーが選んだ?いつの間に!我の白い娘の伴侶は父の我が決める!勝手な事をするで無い!」
「はあ~~~~~?ふざけないでよ!此処は私の創った世界よ!そこに存在する中で1番相性が良い子を選んだわ!何より私の白い娘はあの子の愛で育った。紛れもなく最高の相手よ!」
『(そうなんだ!!ワタシとテオルドは最高の相性なんだ!ああ~テオルド嬉しいわ!)』
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