【完結】初恋は淡雪に溶ける

Ringo

文字の大きさ
23 / 26

♡afterstory♡脱ぎ去った鎧

しおりを挟む






アンジェリカの涙に衝撃と後悔が襲ったエメットは、すぐさま太腿に這わせていた手を引き抜き、乱れる部屋着を整えた。


「ごめん……泣くほど追い詰めるつもりはなかったんだ…本当にごめん…」


過ぎた快楽から生理的に涙する女性もいると聞くが、今の涙はそうでないと分かる。

壊れ物を扱うように抱き締め、子供をあやすように背中を優しく叩いて落ち着くのを待った。


「……違うの……」


アンジェリカの涙声を聞くのは辛い。

だがそうした責任は自分にあると自戒し、黙って続きを促す。


「嫌な、わけではないの…そうではなくて、」


詰まりながらも必死に伝えようとするアンジェリカの“嫌では無い”という言葉に安堵し、抱擁を緩めて眦に口付け涙を拭った。

こんな時だというのに、瞳を潤ませる姿が美しいと思ってしまう自分の浅慮さに辟易する。


「……エメット……」


首に腕を巻き付け抱き着いたアンジェリカは、震えた声で「嫌わないで」と呟いた。

アンジェリカを嫌うなど天地がひっくり返ろうと有り得ないし、むしろ嫌われたかもしれないと焦りを抱いたのは自分のはず。

エメットは理解が追いつかずに黙り、その真意に気付かないアンジェリカは“呆れられた!?”のかと思い慌てて言葉を続ける。


「違うの!!エメットとの口付けは好きよ。こうして抱き合うのも好き。熱い息遣いも…その…何故かわたくしの体まで火照らせてしまうけれど、決して嫌なわけではないの。本当よ?」


信じて…と縋りついてさえきて、エメットは少々ポカンとしながらも…冷水を浴びて治まったはずの熱がふつふつと再燃していく。


「でもっ…でも……触られて、そのよう、になる女性は…き…気持ち、いいと思ってしまう女性、は……ふしだらだら、だと……はしたないと、そう思う…でしょう…?」


段々と尻すぼみになりながら言い切り、再度「嫌わないで」と締めくくった。

エメットの煩悩は爆発寸前である。

アンジェリカが泣いたのは、エメットに触られて気持ちいいと思ってしまったからで…それを恥じて嫌われると懸念したから。

そんな婚約者を可愛いと…愛おしいと思うことはあれど、嫌うなど有り得ないというのに。


「………エメット……?」


長い沈黙に耐えきれなくなり顔をあげると、視界に映ったのは滾りを取り戻したエメットの瞳。

またもやらかした!?と怯むも、トサッ…と押し倒されてそれどころではなくなった。


「………アンジェを嫌うなんて有り得ない」


分からないなら分からせるまで。

紙一枚分だけ開いていたはずの扉がパタン…と閉められたのを合図に部屋着の裾から手を入れ、あがりそうになったアンジェリカの声を口を塞ぐことで飲み込んだ。






*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜






「んっ、や、ダメ…っ、」


貪るような口付けの合間に抵抗の言葉を述べるものの、好きに体を弄る手を止めようとはしない。

自由に動くはずの手は、覆い被さるエメットの肩に添えられるだけ。

滲む涙はその瞬間に唇で拭われてしまい、アンジェリカに出来るのはただただ羞恥に身を悶えさせて啼くこと。


「………凄い濡れてる……」


そんな台詞を痺れるバリトンで耳元に囁かれて、公爵令嬢として培ってきたものが音を立てて崩れるような気すらした。

だけど嫌じゃない。

崩れ落ちた鎧の中から温かい光が生まれる。


「ねぇアンジェ……気持ちいい…?」

「わかっ、分から、なっ…」


耳朶を食みながら……蜜壷に埋められた指を動かされた感想を問われても答えられない。

本来なら足首まであるはずのワンピースは腰まで捲られ、下着の中で動く指がクチュクチュと淫靡な音色を奏でている。

それが自分の体から生み出されていると思えば、更なる羞恥に襲われ蜜の量が増えてしまう。


「あっ、いや、ダメっ……あっ…!!」


本日何度目かの絶頂に達し、くたりと弛緩するアンジェリカを体を起こして見下ろすエメット。

テラテラと蜜を纏う指を味わうように舐め、驚愕するアンジェリカに微笑んだ。


「エメット…!!」


なんてことを!!と諌めるが煩悩に塗れたエメットが聞き入れるはずもなく、ゆっくりと舌を絡めてアンジェリカの咥内を堪能する。

まるで蜜の味わいを分け与えるように。


「んっ……」


捲られた裾と同様、胸元の布地もずり下げられており、外気に晒されている頂きは固い。

柔らかい膨らみとの違いを楽しむように揉まれ、そちらに気を取られているともう片方の手が再び下へと伸びていく。

そしてまた淫らな音色がエメットの指によって奏でられ、弛緩していたはずの体が震え出した。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

傲慢な伯爵は追い出した妻に愛を乞う

ノルジャン
恋愛
「堕ろせ。子どもはまた出来る」夫ランドルフに不貞を疑われたジュリア。誤解を解こうとランドルフを追いかけたところ、階段から転げ落ちてしまった。流産したと勘違いしたランドルフは「よかったじゃないか」と言い放った。ショックを受けたジュリアは、ランドルフの子どもを身籠ったまま彼の元を去ることに。昔お世話になった学校の先生、ケビンの元を訪ね、彼の支えの下で無事に子どもが生まれた。だがそんな中、夫ランドルフが現れて――? エブリスタ、ムーンライトノベルズにて投稿したものを加筆改稿しております。

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

【完結】裏切られたあなたにもう二度と恋はしない

たろ
恋愛
優しい王子様。あなたに恋をした。 あなたに相応しくあろうと努力をした。 あなたの婚約者に選ばれてわたしは幸せでした。 なのにあなたは美しい聖女様に恋をした。 そして聖女様はわたしを嵌めた。 わたしは地下牢に入れられて殿下の命令で騎士達に犯されて死んでしまう。 大好きだったお父様にも見捨てられ、愛する殿下にも嫌われ酷い仕打ちを受けて身と心もボロボロになり死んでいった。 その時の記憶を忘れてわたしは生まれ変わった。 知らずにわたしはまた王子様に恋をする。

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

大人になったオフェーリア。

ぽんぽこ狸
恋愛
 婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。  生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。  けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。  それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。  その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。 その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

処理中です...