【完結】欲しかったのは…

Ringo

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《番外編》願ったもの

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私の名前はメイベル。生みの母親はこの国の第五王女だった人だけれど、記憶にはなく絵姿でしか見たことはない。

お祖母様のご実家の養子となって、十歳の時に自分の出自に纏わる事実を教えてもらった。

なぜそこまで妄想に取り憑かれていたのかは分からないし、本気で愛されると思っていたのか疑問は残る。

そんなお母様は国に戻されてから離宮にひとりで暮らしており、再婚の勧めを悉く断っているらしい。ちなみに私に会いたいとは言わないそうで、私も会いたいとは思わない。


「メイベル、どうかした?具合悪い?」

「いいえ、少し考え事をしていただけよ」

「よかった」


一年前に結婚し優しい彼と過ごす日々はとても幸せで、徐々に大きくなるお腹は彼との愛の証だと思うととても愛しくなる。

生まれてくるのが今から楽しみで、彼がいつも愛しそうに撫でてくれるのも嬉しい。

母が憧れていたという騎士である彼は、忙しい合間を縫って時間を作ってくれるし常に愛を囁いては抱き締めてくれる。それらを与えられなかった母が、なぜ相手に愛されているはずだと思えたのか…心底不思議。


「私、この子を愛情いっぱいで育てるわ」


養父母に大切にしてもらった自分が愛されていなかったとは言わない。けれど、やっぱりどこかで親に捨てられたのだという思いは拭えずにいる。


「僕のことも?」

「勿論、あなたが一番よ」


子供がいつか愛する人と結ばれて子が出来た時、愛し方に悩むことのないように愛情で包んであげたい。私にそれを教えてくれた彼のように。



ずっと願っていた。


なんの疑いもなく、愛されていると思わせてくれる人に出逢えることを。





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