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戦いのゴング 煩悩編
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今、パーシルは煩悩と戦っている。
──こ、これは!……と。
───────────
今日はブルーム王国のデビュタントが披露される王宮舞踏会。15歳の貴族令息令嬢が一同に集まることとなり、そのエスコートは基本的に婚約者、いない者は準ずる者か家族とされている。
『シルのエスコートで入場したいです』
マリアンヌの一言でパーシルに決まったエスコート役。渋い顔をしながらも、そう言うだろうと分かっていたモロゾフ家。嬉しそうに微笑むマリアンヌとは対照的に、ダイアンは娘のエスコートの夢が破れたと枕を濡らし、慰めるセシルに甘えた。
そしてやって来たデビュタントの日。
この日ばかりは招かれた客のパーシル。堂々とモロゾフ家の門をくぐりマリアンヌの迎えに訪れ、家族や使用人達と挨拶を済ませて階段下で待機していると…そこに現れたのは天使。
「……マリー…綺麗だ…」
「ありがとう、シル」
無意識に手を出せば、そっと乗せられる手…その温もりを感じた瞬間、嘗てこの温もりを自らの愚かさ故に失いかけたことを思い出した。
そして、勢いに任せたとはいえ諦めずに追いかけてきて良かったと心底思う。
「シル?」
そして、パーシルは成長と言うものを実感した。
「い、、いや……大丈夫だ」
こてん、と小首を傾げるマリアンヌに止めを刺され、煩悩との戦いが幕開けてしまった。
そこからはもう、いかに冷静さを装えるかの勝負となり、父ダイアンからの小言は聞き流してマリアンヌを馬車へとエスコートした。
煩悩との接戦が脳内で繰り広げられており、あえて向かいの席に座ったのだが……
「どうして向かいなの?」
いつもは隣なのに…と寂しそうにするマリアンヌに一撃を食らい、それでもダウンするものかと気を取り直して言葉を探す。
「いや…ほら、向かいの方がマリーのデビュタント姿をよく見られるし」
「…明るくないのに?」
そう。今は既に夕刻、外は日も落ちかけている。移動する馬車の中は明るいとは言えない。
「───えっと…ほら、ドレスに皺が寄ってもダメだろ?折角のデビュタントなのに」
「……分かったわ」
ゆっくりと顔を伏せ、そのため見えなくなってしまった空色の瞳…パーシルは後悔した。二度と傷付けないと決めたのに、くだらない煩悩との戦いなど繰り広げたせいで悲しませてしまったと。
「…マリー」
呼び掛ければ顔をあげてくれたけれど、よく晴れた空を思わせるはずの瞳に翳りが見えるのは薄暗さのせいじゃない。
「エスコートに選んでくれてありがとう」
「……シルがよかったから」
迷惑じゃなかった?と聞かれ、そう思わせ言わせてしまったことに胸が締め付けられる。
今すぐ抱き締めたいけれど、それこそドレスに皺を作ってしまう。手を握りたくても、モロゾフ家の馬車はそれも叶わないほどに広い。
「マリーのデビュタントで隣にいられるなんて、この上ないほどに光栄だよ」
「…ほかに…お誘いはなかった?」
「誘い?そんなものないし、あったとしてもマリー以外をエスコートなんてしないよ」
明らかにホッとしている様子を見せ、マリアンヌの落ち込みが座り位置だけではないと気付いた。
「マリー、俺は独占欲が強いしすぐに嫉妬してしまう…だからダンスは僕だけにしてほしい」
「デビュタントはエスコート役のお相手と家族としか踊らないわ」
「違う、これから先もだ」
薄暗いはずの車内で、マリアンヌの頬が染まるのが分かった。それを感じてパーシルは微笑む。
「デビュタントを迎えれば、これから色んな夜会や舞踏会に出るだろ?その全てで俺以外の手を決して取らないと約束して欲しい」
「…シルは?シルも踊らない?」
「踊らない」
「もし…もし王女様とか…断れない相手から申し込まれたら?」
「断るよ」
「……そんなことしたら…」
立場が上の者からの誘いを断れば、貴族として追い込まれる可能性がある。最悪、物理的に首を飛ばそうとする悪もいるだろう。それでも、パーシルはそれよりも守りたいものがあった。
「もしも断りを入れたことで貴族でなくなるとして…それでもいい。俺はマリーとしか踊りたくないし、マリーとの未来しか望まない」
仮にマリアンヌから『ふたりの為に』と言われれば踊る覚悟はある。けれど、そんな事は思ってもいなければ言うこともないだろう…パーシルはそう思っていた。そして、もしも貴族籍を追われることになっても…と。
パーシルの言葉に、まだ翳りを見せていた空色に輝きが戻ってきた。
「ふふ…王族籍を抜けて、今度は貴族籍も抜けるの?なかなか出来ない体験ね」
「マリーもやってみる?」
「シルと一緒なら」
間を開けない返事に、期待はしていたけれど…とパーシルは少しばかり息を飲んだ。突っ走る癖のある自分と共にいることで、これから先も迷惑をかけるかもしれない…それでも隣を選んでくれる未知を即決してくれたことが胸を温めた。
「どんな立場でも必ず幸せにする」
「シルといられるなら幸せよ」
もう向かい合う距離に寂しさを感じることもなくなり、ほんわかな雰囲気が続いて暫く、デビュタント会場となる王宮へと到着した。
──────────
───頑張れ…俺、頑張れ
再びゴングが鳴ってしまった。
馬車から降りて、肌寒いだろうからと羽織っていたストールが外されて露になった白い肌。
屋敷で見た時の衝撃が再び襲い、さらに腕を絡めたことでマリアンヌの成長がまじまじと伝わってきてしまう。
───こんなにだったか!?
デビュタント前の令嬢が着るドレスは首までしっかり覆われているデザインなので、今まで見たことがなかった。普段着のワンピースも、もちろんそのような場所が露出などされていない。
騎士団で得た話として、寄せてあげる女性がいるということも知っていたから…もしかしてそうなのかも?と思い込もうともしていた。
───これは……天然だ!!
腕から伝わるマリアンヌの柔らかさ…その発信地である胸の豊かさが、決して寄せてあげたものではないのだと分かる。
触らなくても分かる滑らかな白い肌。
何もしなくとも桃色に潤っている唇。
年齢に似つかわしくないほど豊かに育った胸。
折れやしないかと心配になるほど細い腰。
見るからに張りを持つ形のいい尻。
───だめだ!連れて帰りたい!!くそっ、あいつもこいつもマリーを見やがって…自分の相手だけ見てろ!こっち見るな!!
頬を染めてマリアンヌにチラチラと視線を送る男達を睨んで牽制して、腰を抱き寄せたい気持ちを押し止めた。エスコートして会場入りするまでは腕を組む決まりだからだ。
それでも腕に感じる柔らかさと温もりで満足していたパーシルに、ぐにっと圧力がかかった。
「……緊張する」
自分に向けられる視線に気付いたのか、マリアンヌがパーシルとの距離を詰めて胸を押し付けてきたのだ。煩悩が優勢となってしまう。
そんなマリアンヌの様子を見てあからさまに嫉妬を視線に乗せた男達。パーシルは鼻の下が伸びそうになるのをぐっと堪えて微笑んだ。
「俺と一緒に楽しもう」
ふわりと微笑むマリアンヌに胸を撃ち抜かれたのはパーシルだけではないのだが、そのマリアンヌの胸中も嫉妬で吹き荒れていた。
───こっち見ないで!
マリアンヌしか見ていないパーシルは気付いていないが、元王子だけあって見目麗しいパーシルに秋波を送る女性があちらこちらにいる。
初めて組んだ腕が思ったよりも逞しかったと知って、マリアンヌの胸はときめいた。
成長するに従って伸びた背は、ヒールを履いても見上げなくてはならないほどに高い。
日々の鍛練の成果か表情も精悍さが年々増してきていて、しかも侯爵家長男の19歳で婚約者はいない…年頃の令嬢のみならずの物件なのだ。
───シルは私の!!
淑女の仮面は被りつつ、周りの秋波を蹴散らすために腕を引き寄せた。
「それにしても、マリーは白も似合うね」
「本当?ありがとう」
「白はデビュタントと結婚式の時しか着られないし、結婚式が終われば見られないのか…あ、でも部屋着でなら俺しか見ないしあり?」
初めての夜着も白がいいな…と耳元で囁かれ、マリアンヌの頬が真っ赤に染まった。そして恥ずかしさのあまりに更に腕を引き寄せてしまい、パーシルも大満足の結果に。
「……シルがそうしたいなら…そうするわ」
「じゃあ、お願いします」
満足げに笑うパーシルと、林檎のように顔を赤くしているマリアンヌ。そんなふたりに殆どの者が諦めの溜め息を心の中で吐いたのだが、無駄に抵抗心を滾らせる者もいる。
──こ、これは!……と。
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今日はブルーム王国のデビュタントが披露される王宮舞踏会。15歳の貴族令息令嬢が一同に集まることとなり、そのエスコートは基本的に婚約者、いない者は準ずる者か家族とされている。
『シルのエスコートで入場したいです』
マリアンヌの一言でパーシルに決まったエスコート役。渋い顔をしながらも、そう言うだろうと分かっていたモロゾフ家。嬉しそうに微笑むマリアンヌとは対照的に、ダイアンは娘のエスコートの夢が破れたと枕を濡らし、慰めるセシルに甘えた。
そしてやって来たデビュタントの日。
この日ばかりは招かれた客のパーシル。堂々とモロゾフ家の門をくぐりマリアンヌの迎えに訪れ、家族や使用人達と挨拶を済ませて階段下で待機していると…そこに現れたのは天使。
「……マリー…綺麗だ…」
「ありがとう、シル」
無意識に手を出せば、そっと乗せられる手…その温もりを感じた瞬間、嘗てこの温もりを自らの愚かさ故に失いかけたことを思い出した。
そして、勢いに任せたとはいえ諦めずに追いかけてきて良かったと心底思う。
「シル?」
そして、パーシルは成長と言うものを実感した。
「い、、いや……大丈夫だ」
こてん、と小首を傾げるマリアンヌに止めを刺され、煩悩との戦いが幕開けてしまった。
そこからはもう、いかに冷静さを装えるかの勝負となり、父ダイアンからの小言は聞き流してマリアンヌを馬車へとエスコートした。
煩悩との接戦が脳内で繰り広げられており、あえて向かいの席に座ったのだが……
「どうして向かいなの?」
いつもは隣なのに…と寂しそうにするマリアンヌに一撃を食らい、それでもダウンするものかと気を取り直して言葉を探す。
「いや…ほら、向かいの方がマリーのデビュタント姿をよく見られるし」
「…明るくないのに?」
そう。今は既に夕刻、外は日も落ちかけている。移動する馬車の中は明るいとは言えない。
「───えっと…ほら、ドレスに皺が寄ってもダメだろ?折角のデビュタントなのに」
「……分かったわ」
ゆっくりと顔を伏せ、そのため見えなくなってしまった空色の瞳…パーシルは後悔した。二度と傷付けないと決めたのに、くだらない煩悩との戦いなど繰り広げたせいで悲しませてしまったと。
「…マリー」
呼び掛ければ顔をあげてくれたけれど、よく晴れた空を思わせるはずの瞳に翳りが見えるのは薄暗さのせいじゃない。
「エスコートに選んでくれてありがとう」
「……シルがよかったから」
迷惑じゃなかった?と聞かれ、そう思わせ言わせてしまったことに胸が締め付けられる。
今すぐ抱き締めたいけれど、それこそドレスに皺を作ってしまう。手を握りたくても、モロゾフ家の馬車はそれも叶わないほどに広い。
「マリーのデビュタントで隣にいられるなんて、この上ないほどに光栄だよ」
「…ほかに…お誘いはなかった?」
「誘い?そんなものないし、あったとしてもマリー以外をエスコートなんてしないよ」
明らかにホッとしている様子を見せ、マリアンヌの落ち込みが座り位置だけではないと気付いた。
「マリー、俺は独占欲が強いしすぐに嫉妬してしまう…だからダンスは僕だけにしてほしい」
「デビュタントはエスコート役のお相手と家族としか踊らないわ」
「違う、これから先もだ」
薄暗いはずの車内で、マリアンヌの頬が染まるのが分かった。それを感じてパーシルは微笑む。
「デビュタントを迎えれば、これから色んな夜会や舞踏会に出るだろ?その全てで俺以外の手を決して取らないと約束して欲しい」
「…シルは?シルも踊らない?」
「踊らない」
「もし…もし王女様とか…断れない相手から申し込まれたら?」
「断るよ」
「……そんなことしたら…」
立場が上の者からの誘いを断れば、貴族として追い込まれる可能性がある。最悪、物理的に首を飛ばそうとする悪もいるだろう。それでも、パーシルはそれよりも守りたいものがあった。
「もしも断りを入れたことで貴族でなくなるとして…それでもいい。俺はマリーとしか踊りたくないし、マリーとの未来しか望まない」
仮にマリアンヌから『ふたりの為に』と言われれば踊る覚悟はある。けれど、そんな事は思ってもいなければ言うこともないだろう…パーシルはそう思っていた。そして、もしも貴族籍を追われることになっても…と。
パーシルの言葉に、まだ翳りを見せていた空色に輝きが戻ってきた。
「ふふ…王族籍を抜けて、今度は貴族籍も抜けるの?なかなか出来ない体験ね」
「マリーもやってみる?」
「シルと一緒なら」
間を開けない返事に、期待はしていたけれど…とパーシルは少しばかり息を飲んだ。突っ走る癖のある自分と共にいることで、これから先も迷惑をかけるかもしれない…それでも隣を選んでくれる未知を即決してくれたことが胸を温めた。
「どんな立場でも必ず幸せにする」
「シルといられるなら幸せよ」
もう向かい合う距離に寂しさを感じることもなくなり、ほんわかな雰囲気が続いて暫く、デビュタント会場となる王宮へと到着した。
──────────
───頑張れ…俺、頑張れ
再びゴングが鳴ってしまった。
馬車から降りて、肌寒いだろうからと羽織っていたストールが外されて露になった白い肌。
屋敷で見た時の衝撃が再び襲い、さらに腕を絡めたことでマリアンヌの成長がまじまじと伝わってきてしまう。
───こんなにだったか!?
デビュタント前の令嬢が着るドレスは首までしっかり覆われているデザインなので、今まで見たことがなかった。普段着のワンピースも、もちろんそのような場所が露出などされていない。
騎士団で得た話として、寄せてあげる女性がいるということも知っていたから…もしかしてそうなのかも?と思い込もうともしていた。
───これは……天然だ!!
腕から伝わるマリアンヌの柔らかさ…その発信地である胸の豊かさが、決して寄せてあげたものではないのだと分かる。
触らなくても分かる滑らかな白い肌。
何もしなくとも桃色に潤っている唇。
年齢に似つかわしくないほど豊かに育った胸。
折れやしないかと心配になるほど細い腰。
見るからに張りを持つ形のいい尻。
───だめだ!連れて帰りたい!!くそっ、あいつもこいつもマリーを見やがって…自分の相手だけ見てろ!こっち見るな!!
頬を染めてマリアンヌにチラチラと視線を送る男達を睨んで牽制して、腰を抱き寄せたい気持ちを押し止めた。エスコートして会場入りするまでは腕を組む決まりだからだ。
それでも腕に感じる柔らかさと温もりで満足していたパーシルに、ぐにっと圧力がかかった。
「……緊張する」
自分に向けられる視線に気付いたのか、マリアンヌがパーシルとの距離を詰めて胸を押し付けてきたのだ。煩悩が優勢となってしまう。
そんなマリアンヌの様子を見てあからさまに嫉妬を視線に乗せた男達。パーシルは鼻の下が伸びそうになるのをぐっと堪えて微笑んだ。
「俺と一緒に楽しもう」
ふわりと微笑むマリアンヌに胸を撃ち抜かれたのはパーシルだけではないのだが、そのマリアンヌの胸中も嫉妬で吹き荒れていた。
───こっち見ないで!
マリアンヌしか見ていないパーシルは気付いていないが、元王子だけあって見目麗しいパーシルに秋波を送る女性があちらこちらにいる。
初めて組んだ腕が思ったよりも逞しかったと知って、マリアンヌの胸はときめいた。
成長するに従って伸びた背は、ヒールを履いても見上げなくてはならないほどに高い。
日々の鍛練の成果か表情も精悍さが年々増してきていて、しかも侯爵家長男の19歳で婚約者はいない…年頃の令嬢のみならずの物件なのだ。
───シルは私の!!
淑女の仮面は被りつつ、周りの秋波を蹴散らすために腕を引き寄せた。
「それにしても、マリーは白も似合うね」
「本当?ありがとう」
「白はデビュタントと結婚式の時しか着られないし、結婚式が終われば見られないのか…あ、でも部屋着でなら俺しか見ないしあり?」
初めての夜着も白がいいな…と耳元で囁かれ、マリアンヌの頬が真っ赤に染まった。そして恥ずかしさのあまりに更に腕を引き寄せてしまい、パーシルも大満足の結果に。
「……シルがそうしたいなら…そうするわ」
「じゃあ、お願いします」
満足げに笑うパーシルと、林檎のように顔を赤くしているマリアンヌ。そんなふたりに殆どの者が諦めの溜め息を心の中で吐いたのだが、無駄に抵抗心を滾らせる者もいる。
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