神に愛されし夕焼け姫

Ringo

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戦いのゴング 令嬢編

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「あの……」


父親と踊るマリアンヌを眺めていたパーシルの元に、おずおずと近付き声をかけてきたひとりの令嬢。振り向き目が合ったことで頬を染めた。


──まるで王子様みたいだわ!


短く揃えられた金髪と、日に焼け健康的に色付いている肌。宝石のように輝く青目は、まるで心の中を見透かすような雰囲気がある。グラスを握る手を見れば騎士として鍛練をかかしていない証の剣ダコが見てとれて、令嬢は口角をあげた。


──この人に抱かれたい


自分の容姿を自覚しているパーシルは、この令嬢が考えていることなどお見通しである。そもそもマリアンヌ以外に愛想のひとつをくれてやるつもりもない。それが必要とされる王族ではなくて良かったとさえ思っていた。


「何か?」


思いの外冷たい声と表情に僅か怯むも、自信のある令嬢はにっこりと微笑む。これで何人もの男を落としてきた。滅多にお目にかかれないほどの男が目の前にいるとあって、どうにかモノにしてやると意気込んだ。


「初めてお目にかかります。トムス・ノンビル侯爵が娘、サフィーネでございます」


パーシルは他国の王族から有力貴族までを暗記している。自国の貴族とあればその家族構成に至るまでを網羅していた。よって目の前の令嬢が誰かなど初めから分かっていたのだが、分かっていてあえて知らぬ振りを見せた。


「…ブロンス侯爵のパーシルだ」


パーシルの名と家名を聞いてサフィーネは驚きの表情を浮かべ、次に嬉しそうに微笑んだ。その理由に心当たりのあるパーシルは心中で毒づく。


──歴史だけのお荷物侯爵の娘


ノンビル侯爵家は歴史こそあるものの、領地運営すらままならない頭脳で役職につけない侯爵と母子の散財から財政が傾いている。その打開策として出されたのが、娘を裕福な家に嫁がせて支援を乞うこと。そしてその相手にと望んだのはパーシルが養子として入ったブロンス侯爵家だった。


「まぁ!あなたがパーシル樣でしたのね?父が素敵な方との縁談を結ぶことになったと──」

「断ったはずだ」


声音をあげて話すサフィーネの言葉を遮り、パーシルは一層冷えた声で返した。


「それに、あなたに名を呼ばれる筋合いはない。不快だ。俺には結婚を約束している人がいる」


そう言って…微笑むパーシルの視線を辿れば、そこにいたのは兄に相手を変えて踊るマリアンヌ。蝶が舞うようなその姿を、男性達は頬を染めたり舐めるようにして見つめたりし、女性達はその優雅さと美しさにうっとりしている。

サフィーネも知っていた。移住してきた貴族が前代未聞の功績を次々とあげ、間もなく公爵にまでなる…そしてその娘がマリアンヌであることも。

基本的に家同士の繋がりなどがない限り、デビュタント前の者が成人済みの異性と知り合うきっかけはない。だからこそサフィーネはパーシルの素性に気付かなかった。

自分よりも美しく注目を浴びるマリアンヌに歯噛みし、それでも今は自分の方がパーシルの近くにいるのだからと思い直す。


───微笑んで体を寄せれば落ちるわ


サフィーネは知らない。僅かでもその気を見せれば簡単に体を許す女だと思われ、都合よく性欲処理に使われているだけなのだということを。

落としているのではなく、遊ばれているだけ。


「パーシ──」

「名を呼ぶな」


甘えた声で腕を取ろうとしたところで遮られ、あげかけた手をおろして苛立ちを抑える。


「──っ、ブロンス侯爵令息樣…あの、私と踊ってくださいませんか?」


申し訳程度に寄せた胸をさらに寄せようと、二の腕に力を入れて胸の前で手を組んだ。サフィーネお得意のおねだりポーズである。


「断る。俺はマリアンヌとしか踊らない」

「そんなっ…ですが……」


筋肉痛になるほど力を込めて寄せた胸に視線を落とすことなどなく、ただひたすらにマリアンヌにしか目を向けないパーシル。


───どうにかしてふたりにならないと


二人きりになってしまえば既成事実の作り方などいくらでもある。ドレスに潜ませている媚薬を使えば、子を成すことも可能だ…サフィーネはない脳みそでどうするべきか思案していた。

その時……


「シル」


ダンスを終えたマリアンヌが近付いてきた事に気付き、それに対して見せたパーシルの微笑みにサフィーネの情欲が噴き出した。


───この男はもらうわ!!


「あっ!……きゃぁぁぁぁ!!」


パーシルがマリアンヌを迎えるために一歩を出した時、サフィーネは捨て身の行動に出た。


「え?……きゃぁっ!」


ふたりの女性が悲鳴をあげた事で、その場にいる者達が一斉に視線を向けた。

そして見た光景に何事だ?と興味を持ち、突如始まった余興に次の展開を待つ。


「……何をしようとした」

「え…あ、あの…」


手をついて床に崩れ落ちているサフィーネと、マリアンヌを腕の中に閉じ込めるようにして抱き締めているパーシル。

パーシルは怒りから低い声でサフィーネを威圧した。元とは言えやはり王子、厳しい鍛練と侯爵家の教育で磨かれたものは伊達ではない。


「何をしようとした…と聞いている、答えろ」


未だ床に手をついたままのサフィーネは、捨て身の行動故に起きた自身の悲劇に気付いていない。


「あ…あの……」


その事に気付いているマリアンヌは教えようと身動ぐものの、サフィーネの行動が成されていたら起きていた事態を思い浮かべて、パーシルはさらに力をこめて抱き締めた。


「マリアンヌに何をしようとした」

「ち、、ちが…あの……」


その時、周りからヒソヒソと…しかし絶妙に通る声と大きさで発せられた言葉にサフィーネは悲劇のひとつを知る。


“裾でも踏んだの?”
“気付かないのかしら…”
“それにしても…随分なのね”


サフィーネはバッ!と自分の胸元を見た。


「────きゃぁぁぁ!!」


時既に遅し、会場にいる殆どの者が露になっていたサフィーネの胸を見ている。そして、ポロッとこぼれ落ちた寄せ上げ用のパッド数個も。

捨て身の行動で『躓いてよろめきうっかりマリアンヌに手が伸びて胸元をずり下げてしまった』とする為に躓く振りをしたサフィーネだったが、裾を踏んで本当に躓いてしまい、その結果自分のドレスがずり下がって胸が露となった。


───傷物になるのはあの女のはずなのに!


大勢の人の前で胸を露にすれば傷物となる。そうすればパーシルとの婚約などありえないし、自分との婚約を選ぶだろう…そう考えた。

しかし現実は違う。キツいのは嫌だと緩めに着付けたサフィーネの胸が晒され、マリアンヌはパーシルの腕の中。その現実にサフィーネは最後の足掻きでパーシルに縋った。


「パーシルさま……」


傷物となった…けれど優しい紳士なら、ここで上着のひとつもかけて抱き締めてくれるはず。そう思ったサフィーネに返ってきたのは、二度と社交界に戻れなくなる言葉だった。


「名を呼ぶなと何度も言ったはずだ。躓く振りをしてマリアンヌを人の目に晒そうとし、逆に自分が晒す羽目になるとはな…愚か者め」


不正など許さないブロンス侯爵家の長男から放たれた言葉は、そのまま真実となってその場の者達へと伝わっていく。


「…マリアンヌ、帰ろう」


パーシルの言葉で自分の身に降りかかっていたかもしれない事実を知り、震えていたマリアンヌ。

脱いだ上着をマリアンヌにかけてしっかりと前を閉じさせ肩を抱き、パーシルはサフィーネを見ることなくブロンス家の方へと歩き出した。

サフィーネの愚行を曝す為に発したとは言え、自分のせいでマリアンヌの胸元に視線が集まることに苛立ってしまう。


「ブロンス侯爵」


サフィーネに対して怒りを露にしていたダイアンだったが、目の前で震えている娘を見て冷静さを取り戻した。そして、縋るようにパーシルへと身を寄せている様子に寂しくも安心した。


───もう親よりも愛する人なんだな


「ここは任せてもらっていい。マリアンヌを連れて先に帰って休ませてくれ」

「畏まりました」


娘を溺愛するダイアンなら徹底的に追い詰めてくれるだろう事を期待し、一礼してマリアンヌを伴いその場を辞した。





******





「マリー」


馬車の中、行きとは違いパーシルの膝の上に座ってぎゅうっと抱き着いているマリアンヌ。


「…あんな事する人いるのね」


もう震えは止まっているが、それでもパーシルから離れる気はない。そしてパーシルも放す気など微塵もない。


「そうだな…流石に驚いたけど」


サフィーネの動きに対して敏感に察知出来たのは騎士故の感覚だった。体が傾き、伸ばされた手の先にあるものが何で何をしようとしているのかを瞬時に察して、咄嗟にマリアンヌを抱き締めた。


「無事でよかった」


もしもサフィーネの思惑が成功していたら、その場で殴り殺していただろう。そのままマリアンヌを拐い、どこかに家を借りて閉じ込めていた。


「マリー…君の全ては俺だけのものだ」


腰を撫でながら発せられたパーシルの独占欲に、マリアンヌは頬を染めた。行きよりも暗くなった車内は、顔を近付けないと表情すらよく見えないほど。


「……シルの全ても私のものよ」


顔が近付き、初めてのキス…とマリアンヌが目を閉じたところで、触れたのは唇の少し横。


「……そんな顔しないで。まだ婚約もしていないからね、侯爵に真摯でいたい」


期待が外れ、頬を膨らませて拗ねるマリアンヌにパーシルは唇以外の場所でキスを降らせた。


「これは真摯なの?」


腰どころかお尻まで撫で擦るパーシルの手の甲をきゅっとつねり、心外だ!と言わんばかりの顔をするパーシルを睨んだ。


「直接触ったわけじゃないから」


口角をあげてニヤリと笑い、なんともな言い訳をするパーシルにマリアンヌは反撃を試みる。


「あら、服越しならいいのね?」

「マリー?……ちょっ──」


膝の上でパーシルを跨ぐように体勢を変え、だいぶ前から感じていた固いものにマリアンヌは躊躇なく触れて…撫でた。


「ちょ…っと、マリアンヌ!」

「なぁに?」

「だめ!そこは話が違う!」

「直接触れてないわ、お父様にも真摯でしょ?」

「─────っ、マリ…ほんとに……」


ダメと言いつつ、マリアンヌを強く抱き締めて必死で耐えながら…もうちょっとくらいは、と堪能しようとするパーシル。


「───もうダメ、本当にダメ!」


暴発の一歩手前でマリアンヌの手を引き剥がし、涙目で止めた。

触れるほど顔が近付いていて、パーシルの目に灯る情欲に気付いたマリアンヌは助けてもらったお礼を思いついた。


「ねぇ、パーシル。お礼がしたいわ」

「…っ……お礼?」


まだ熱の冷めない…むしろ滾りっぱなしのパーシルは、逆効果と分かっていてもマリアンヌの腰やお尻を撫でるのをやめられない。


「えぇ、助けてくれたでしょう?そのお礼」

「別にいいの…に……って…何してるの?」


撫でる手も流石に止まった。


「私ね、パーシル以外は考えてないの」

「いや…それ…は、、俺だっ……て…」


しっかりと閉じられていた上着のボタンを、ひとつひとつゆっくりと外していくマリアンヌ。


───ダメ!ダメダメ!屋敷はまだ!?


パニックになりながらも、視線はマリアンヌに釘付けで動きひとつも見逃すまいとしている。


「パーシル以外にはたとえ挨拶でも触れられたくないし、必要以上に見られたくもないの」

「俺だっ…て……」


最後のボタンが外され、マリアンヌを包んでいたパーシルの上着が役目を解かれていく。


「ねぇ?パーシルは私のこと好き?」

「愚問だ、愛してる」


真っ直ぐに合う視線にマリアンヌは微笑んで『私もよ』と言い、上着を脱いで胸元に手をあてた。


「初めて目にするのはパーシルがいい」

「───────────っ!」


ぐいっと胸元を下げ、ふるんと胸が飛び出しす。


「あんな事故みたいなもので晒されるなんて嫌だけど、何より嫌なのは初めて見られるのがパーシルではないことよ」

「……マリアンヌ…」


雲が流れ、小窓から月明かりが差し込みマリアンヌの肌を柔らかく照らす。その美しさにパーシルは思わず喉を鳴らした。

いつもなら誰かしら使用人がいる車内、震えるマリアンヌが存分にパーシルに甘えられるようにとの気遣いから外している。

父ダイアンの気遣いが、まさかの展開を生んだ。


「……触る?」

「…っ、いや…それは……」


本音を言えば触りたいパーシル。先ほど撫でられた事だけでも充分に一人遊びの材料になると考えていたのに、迎えに行った時から気になっていたものが目の前で晒され…焼き付けようとしていた。


「……じゃぁ、これなら?」


我慢出来なくなったのはマリアンヌの方で、薄いハンカチを胸にあてて小首を傾げた。そしてまたパーシルの喉が鳴る。


「──っ、それ…なら……?」


いいのか?だめだろ?と混乱しながらも、そっと伸ばされていく右手。

触れる────と思った瞬間、馬車が揺れた。


「きゃっ」

「マリー!」

「申し訳ございません!大丈夫ですか?」


御者の呼び掛けに答えたのはマリアンヌ。


「……大丈夫よ」


馬車が揺れ、後ろに傾いたマリアンヌを抱き寄せようと左手を背中に回して、胸に伸ばしていた右手は……


「…柔らかい」


ばっちりマリアンヌの胸を捕らえていた。


「ふふっ、楽しい?」

「……楽しい」


やわやわと揉むパーシルに微笑み、背中に回された手も胸へと導いた。


「これで、直接触れたのもパーシルだわ」

「医師は女性にしよう」


たとえ医療行為でも触らせたくはない。そんな独占欲と嫉妬に駆られたパーシルを、まるで聖母か何かのように微笑みを向けて頭を抱えて抱き締める。勿論、パーシルの手は胸のまま。


「早く婚約したいわ」

「一刻も早く結婚したい」


早く唇を重ねたいマリアンヌと、早く体を重ねたいパーシル。それぞれの思いを抱き、そのまま馬車はモロゾフ家へと走り続けた。






******

(パーシル一人遊び劇場)
※苦手な方は飛ばしてください!!

──────────














「マリー……っ…」


ブロンス侯爵家に戻ったパーシルは、習慣の手洗いもせずに寝室に籠った。理由は言わずもがな、その手に感じたマリアンヌの温もりを消したくなかったからである。


「はぁ……マリー…柔らかい……っ…」


足早に寝室へと駆け込み、手早く前を寛げ既に固くなって今にも暴発しそうな息子を取り出しベッドへ突っ伏した。

シーツに触れた刺激でうっかりをしそうになるが耐え、腰を少しあげて隙間を作ればすんなりと握る事が出来る。

握る手をどちらにしようか悩んだが、いつも通りに右手を選び、左手で鼻と口を覆った。

マリアンヌの香りがする…と左手を嗅ぎながら、右手はせわしなく上下に動かす。12歳になった頃から始まった毎日のルーティンである一人遊びだが、いつもなら三回ほど放てば満足していた。


───マリアンヌ…!!!


しかし既に一度出したにも関わらず、三回で終わる気配はない。うつ伏せから仰向けに…仰向けからまたうつ伏せに…と体勢を変え、四回目を放っても僅かに落ち着いただけのところでふと思い出し、脱ぎ捨てた上着の胸ポケットにあるハンカチーフを取り出した。


「……やっぱり」


マリアンヌが刺繍を施してくれたハンカチーフ。エスコート役だからと貰ったばかりのそれには、マリアンヌの香りが強く残っていた。

途端に固さを増す息子。


「とりあえず匂い……」


再びベッドへと戻り、顔にハンカチーフを乗せて右手で緩く扱き始める。まずは匂いがなくなるまで堪能して、そのあとは息子を包むつもりだ。


「はぁぁ……マリー…愛してる……」


その後朝までどっぷりとマリアンヌに浸ったパーシルは、鼻歌を歌いながら浴室へと向かった。

その手には散々使用したハンカチーフ。こればかりは自分で洗うことにしているものの、パーシルが放ったもので汚れているシーツを何枚も回収して洗うのは使用人。

ただでさえ一度の量が多いパーシルが朝まで続けた結果を見て、いずれ結婚するであろうマリアンヌにエールを送ったのである。






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