Fatal scent

みるく汰 にい

文字の大きさ
12 / 38

11話

しおりを挟む
「のんちゃん最近楽しそうやなぁ~」
「んー、まぁね」
「ええなぁ良かったわ…あ、そやそやのんって水族館好き?」
「水族館?あんまり行くことないかも」


 昼休憩にご飯を食べ終わり、休憩室でゆっくりしていると西村が話し出す。そういえば水族館はだいぶ昔に弟と行ったきりだな、久しぶりに行っても良いかもしれない。

「最後に行ったの昔だなぁ、西村は?」
「おれぇ?おれも最近はないねん~」
「ふぅん、ぼくあれ見たいな、オオグソクムシ」
「マニアックやな~」

 ところでどうしていきなり水族館?と首を傾げると西村が言った。

「これ、水族館のチケットなんやけどいる?東雲と行ってきーや」
「え、ありがとう……えっ?東雲?」
「え?違うん?最近仲良いやん?」

 突然の名前に固まってしまう。なんで知ってるんだ?会社では話していないのに…

「会社終わりにご飯行ってるん見かけたから…もしかして隠してたん?デリカシーなかったかもやわ、ごめん」

 明らかにしょんぼりと落ち込む西村の肩をぽんぽんと叩く。別に隠していたわけじゃないし、仲良く…まあ最近一緒にいるのは事実だ。あの東雲と居るのがぼくなんて、という引け目を勝手に感じてこそこそしていたのも違いはなかった。都合のいい関係とはさすがに言えないが、友人くらいは言っても大丈夫だろう。

「嫌われてなかったらしい、最近話すようになったんだ。それに隠してたわけじゃないし…そんなに落ち込まなくてもいいのに」
「……そーお?ほなまた聞かせてな、デートのこと~」
「でっ!?デートじゃない!友人だ!」
「まあまあええやんええやん、楽しんできいや~」 

 目の前にチケットを置いた西村がひらひらと手を振って戻っていく。
 _別に東雲と一緒に居ても、何も思われないのか。
 それなら会社終わりにこそっと待ち合わせをしなくてもいいんじゃないか、お昼の休憩だって一緒に食べても…と思ってしまったことに首を振る。いやいや、恋人じゃないしな、ぼく。さっき友人くらいはって思ったばかりだろ。

 ……でも、水族館は行きたいし。せっかくチケットも貰ったし。東雲を誘おうとスマートフォンを手に取ったところで思い出す、そういえば東雲はセンスがいい。二人で水族館に行って浮かないような服を持ってないという事に。さすがにあんなオシャレな人の横をちんちくりんが歩くわけにはいかないし、どうしようか。

 ぼくには居るじゃないか、センスのいい奴が。そうして東雲にメッセージを送ろうした指先が別の人物に伸びる。数コールで出た人物は少し気だるげに電話に出た。

「あっこころ?今日空いてる?仕事終わり付き合ってほしいんだけど」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

試情のΩは番えない

metta
BL
発情時の匂いが強すぎる体質のフィアルカは、オメガであるにもかかわらず、アルファに拒絶され続け「政略婚に使えないオメガはいらない」と家から放逐されることになった。寄る辺のなかったフィアルカは、幼い頃から主治医だった医師に誘われ、その強い匂いを利用して他のアルファとオメガが番になる手助けをしながら暮らしていた。 しかし医師が金を貰って、オメガ達を望まない番にしていたいう罪で捕まり、フィアルカは自分の匂いで望まない番となってしまった者がいるということを知る。 その事実に打ちひしがれるフィアルカに命じられた罰は、病にかかったアルファの青年の世話、そして青年との間に子を設けることだった。 フィアルカは青年に「罪びとのオメガ」だと罵られ拒絶されてしまうが、青年の拒絶は病をフィアルカに移さないためのものだと気づいたフィアルカは献身的に青年に仕え、やがて心を通わせていくがー一 病の青年‪α‬×発情の強すぎるΩ 紆余曲折ありますがハピエンです。 imooo(@imodayosagyo )さんの「再会年下攻め創作BL」の1次創作タグ企画に参加させていただいたツイノベをお話にしたものになります。素敵な表紙絵もimoooさんに描いていただいております。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

モブなんかじゃ終わらない!?

MITARASI_
BL
気がつけばそこは、人気BLゲームの世界。 けれど与えられた役割は、攻略対象でも悪役でもない――ただのモブ。 本来なら物語の外でひっそりと生きていくはずだった。 だが、そんな彼の存在が、少しずつ“運命のルート”を揺さぶっていく。 選ばれないはずのモブが紡ぐ、新たな恋の物語。 ゲームの定めを超えて、彼が辿り着く未来とは――。

処理中です...