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16話
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「さっきのが清水の元彼?」
「うん…この前の振られた人」
「そっか、見る目ないねあの人も……清水はこんなに可愛いのに」
東雲の部屋でソファに座りながら話をする。もう藤堂は居ないのに可愛いと言うせいで胸に鉛がのしかかったようにまた苦しくなる。可愛いなんて思っていないだろうに、今までの言葉も全部、都合の良い相手に向けられた虚像への言葉で、ぼくじゃない。それなら離れないと、ぼくが離れられずに東雲に迷惑をかける前に。
「もう……もう良いよ?」
「ん?なにが?」
「もう藤堂いないし、可愛いなんて言わなくてもいい」
「清水?どうしたの?」
やっと出た言葉は深く胸に突き刺さる。
「清水?」
東雲に優しくされる度に嬉しくて、でもそれと同時に苦しくて、
「もう、やめてほしい」
苦しいくせにそれでも一緒に居たいだなんて、
「ぼくに構わないでくれ、うんざりだ」
わがまますぎてうんざりする、
自分ではない誰かが発する言葉かのような心にもないセリフが出ていく。目尻に溜まった涙が一粒落ちたのを皮切りにとめどなくぽろぽろと出てきて、でも見られたくなくて強く目元を擦る。
「うん、その顔も可愛い」
静かに静かに清水の話を聞いていた東雲がたまらなく愛おしそうに清水へと触れた。涙の溢れる目元を親指で拭い、両手で顔を包んでしっかりと目を合わせてくる。予想外の言葉に固まる清水は振り払おうと東雲の腕を持つが優しく包む手とはうらはらにがっちりと掴まれて動かない。なんで、どうしてこんなぼくを可愛いなんて言うんだ。
「清水は可愛いよ」
「うそだ、もうそんなこと言わなくていいんだ」
「嘘じゃない」
額や目元に触れる唇が優しくて、また勘違いしそうになる。
「っ、……都合いい相手にそんなのして、どうするんだ……っ」
惚れられたら、困るだろ?と力なく呟いて視線を落とす。もう何も聞きたくないと力を入れた瞬間東雲からまた口付けが落とされる。
「んっぅ、や、だっ…」
「嫌じゃないよ清水は」
少々の怒気を孕む声が清水の心を潰すようにのしかかる。
「俺が言ったことは本心だよ」
「っはぁ、ぁ、ん…」
嫌だ嫌だと逃げても東雲は逃がしてくれない。奥に引っ込んだ舌を絡め取られてじゅる、と吸いげられる。息も出来ないのに続けられるから酸欠で何も考えられなくなり東雲の手を離す。
「清水をどろどろに甘やかして俺のものにしたい」
「わかるよね?」とソファに座る清水の上に乗った東雲はまた息継ぎの出来ないキスをしてきて清水に話をさせてもくれない。
「俺が悪かったんだよね、都合いい関係とか言ったから。でも体目当てって思われないように我慢して大切にしてきたのに伝わってなかったなんてショックだなぁ」
「あっ、ぅ……っ?」
東雲の言葉がすんなりと頭の中に入ってこずはてなを飛ばす。我慢?大切?なんでぼくに?
「俺は清水が好きってことだよ」
はふはふと息をする清水を撫でた東雲が丸太を持ち上げるかのように清水を担いで寝室へと連れていく。わけがわからない、東雲がぼくを好き……?夢だ、きっとこれはぼくに都合のいい夢。
「うん…この前の振られた人」
「そっか、見る目ないねあの人も……清水はこんなに可愛いのに」
東雲の部屋でソファに座りながら話をする。もう藤堂は居ないのに可愛いと言うせいで胸に鉛がのしかかったようにまた苦しくなる。可愛いなんて思っていないだろうに、今までの言葉も全部、都合の良い相手に向けられた虚像への言葉で、ぼくじゃない。それなら離れないと、ぼくが離れられずに東雲に迷惑をかける前に。
「もう……もう良いよ?」
「ん?なにが?」
「もう藤堂いないし、可愛いなんて言わなくてもいい」
「清水?どうしたの?」
やっと出た言葉は深く胸に突き刺さる。
「清水?」
東雲に優しくされる度に嬉しくて、でもそれと同時に苦しくて、
「もう、やめてほしい」
苦しいくせにそれでも一緒に居たいだなんて、
「ぼくに構わないでくれ、うんざりだ」
わがまますぎてうんざりする、
自分ではない誰かが発する言葉かのような心にもないセリフが出ていく。目尻に溜まった涙が一粒落ちたのを皮切りにとめどなくぽろぽろと出てきて、でも見られたくなくて強く目元を擦る。
「うん、その顔も可愛い」
静かに静かに清水の話を聞いていた東雲がたまらなく愛おしそうに清水へと触れた。涙の溢れる目元を親指で拭い、両手で顔を包んでしっかりと目を合わせてくる。予想外の言葉に固まる清水は振り払おうと東雲の腕を持つが優しく包む手とはうらはらにがっちりと掴まれて動かない。なんで、どうしてこんなぼくを可愛いなんて言うんだ。
「清水は可愛いよ」
「うそだ、もうそんなこと言わなくていいんだ」
「嘘じゃない」
額や目元に触れる唇が優しくて、また勘違いしそうになる。
「っ、……都合いい相手にそんなのして、どうするんだ……っ」
惚れられたら、困るだろ?と力なく呟いて視線を落とす。もう何も聞きたくないと力を入れた瞬間東雲からまた口付けが落とされる。
「んっぅ、や、だっ…」
「嫌じゃないよ清水は」
少々の怒気を孕む声が清水の心を潰すようにのしかかる。
「俺が言ったことは本心だよ」
「っはぁ、ぁ、ん…」
嫌だ嫌だと逃げても東雲は逃がしてくれない。奥に引っ込んだ舌を絡め取られてじゅる、と吸いげられる。息も出来ないのに続けられるから酸欠で何も考えられなくなり東雲の手を離す。
「清水をどろどろに甘やかして俺のものにしたい」
「わかるよね?」とソファに座る清水の上に乗った東雲はまた息継ぎの出来ないキスをしてきて清水に話をさせてもくれない。
「俺が悪かったんだよね、都合いい関係とか言ったから。でも体目当てって思われないように我慢して大切にしてきたのに伝わってなかったなんてショックだなぁ」
「あっ、ぅ……っ?」
東雲の言葉がすんなりと頭の中に入ってこずはてなを飛ばす。我慢?大切?なんでぼくに?
「俺は清水が好きってことだよ」
はふはふと息をする清水を撫でた東雲が丸太を持ち上げるかのように清水を担いで寝室へと連れていく。わけがわからない、東雲がぼくを好き……?夢だ、きっとこれはぼくに都合のいい夢。
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