どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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三章 雫ポイズン

ラブ

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「ねぇ、ローズ。聞いて。私の足をみんな、馬鹿にしてくるの。みんなの足は魚の足なのに、私の足だけ人間の足だから。みんなと違うからって馬鹿にしてくるのよ。本当にやんなっちゃう」
「…、知らん。それより私と話していて良いのか。その方がお前にとって不都合なようなきがするのだが」
「良いのよ。どうせ私嫌われ者だし。ローズと話したところで今更なんも変わりませーん!…、ま、変わったとしても話すけどね。話し相手いないのつらいでしょ。私だって辛いしさ。それにあなたなら何でも吐き出せるの。不思議ね」
ラブは俯きながらそう言う。
その表情は陰になってわからない。
口調は明るめな癖して、本心は分からない。
ちらほらと見える影が、ラブの本心なのだろうか。
実際にラブは嫌われていた。
それも相当。
皆、親の仇とでも言いたげなくらいラブの事を虐めたし、それでもラブは気丈にふるまったが、それも無駄に終わった。
励ましてやりたいと思ったが、励ます事など出来やしない。
人間の姿だったら励ませただろか。
なんて事を考えてみる。
「…、この扉を開けてくれないか。逃げ出したりなんてしない」
「どうして…?…、まぁ、良いけど」
開け放たれた扉から飛び出して、ラブの体に巻き付く。
鱗を逆立てぬように気を付けながら。
優しく、優しく抱きしめる。
変温生物であるがゆえに、体温なんて感じないはずなのに、なぜか温かいと思った。
口を開き、舌を出す。
ラブの頬を舐めてやった。
昔あの白蛇が私を慰めるときにやったように。
「ちょ、急に何するのよ!びっくりするじゃない!私じゃなかったら殴られてたわよ!」
「励ましてやりたかったからした。…、すまぬ。これしか思いつかなかったのだ」
ラブは慌てている。
心なしか顔が赤い気がした。
するすると離れていく。
まさか殴られる程のことだったとは…
少し驚いた。
けれど、蛇の自分に今出来ることはこれしかないから。
だからした。
悪意を持ってやったわけじゃないのだ。
そういうとラブは困ったように笑いながら私の頭を撫でた。
「ありがと。少しは元気出た気がする」
その眦にはうっすらと涙が浮かんでいた。
その涙を拭ってやりたくて、どうすれば良いのかと迷っていると、ラブは笑う。
笑ってくれた事が純粋にうれしくて、こちらも笑う。
笑う時に、鋭い牙がむき出しになってしまい、流石に怖いかと縮こまる。
するとその様子にラブは腹を抱えて笑いだして、
「何怖がってるのよ」
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