どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

難しい二択

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しかも三段の。
なぜバランスを取らないといけない場面に三段アイスを持ってくるんだ。
しかもカップでもなくコーンかよ。
ますます高度な技術を要求されるじゃないか。
よく見るぞ。
ドジっ子とかが持ってこようとして、失敗しちゃうってやつ。
そんなあるある今やらなくてもいいから。
上からバニラ、チョコレート、キャラメルという組み合わせ。
僕が好きなフレーバーだ。
器用に僕らの元に滑り切って、雫は言う。
「このアイス?って奴すごく美味しいね!色んな味があるし!凪達の分も持って来たから食べなよ!」
そう言って僕らに差し出した。
「食べたいところなんだけど、今理久眠っちゃっててさ。どうすれば良いかな?」
そういうと、雫は少し考えてから、そっと理久の頭を突く。
それも何度も。
すると、理久はうーん、と言い出す。
「よしっ!凪いまだ!叩いちゃえ!」
「ちょっと乱暴すぎないかなぁ?そんなので起こされたくないと思うんだけど」
「大丈夫大丈夫。理久なら凪にされたことなんでも快感に感じるから」
そんな事を雫が言う。
流石にそれは違うと思うけど。
うーん、と考えて、耳元に口を近づける。
「おーい、起きて?」
そう言うと理久はびくん、と体を震わせた。
「ふぇ?え?なんで耳元で囁くの」
そう理久が言う。
驚いたような顔をしながら。
「あー。やっとおきたんだ。ほい、これ。アイス」
理久に手渡し、僕にはあーん、と言ってアイスを差し出す。
理久は大人しく受け取って、そのまま食べた。
僕があーんされかけてる事に特に何も言わないなんて珍しい。
若干意識がはっきりしていないのだろうか。
それを食べようとしたら強い視線を感じた。
理久は目を輝かせながらアイスをほおばっている。
嬉しそうな様子で一心不乱に頬張っている。
甘いものが大好きだからか。
甘くて冷たいアイスを沢山食べていた。
ぼぉーっとしながら。
ではこれはどこから。
一体どこから視線が来ているんだ。
「凪先輩、こっちに温かい豚汗があります。食べませんか?」
そう美空が声をかける。
視線の主は美空のようだ。
いつの間に持って来たのか。カップに入った1杯の豚汁片手にせまってくる。
まだ暖かいようで。
湯気がカップから出ている。
温かい物を取るか。
冷たい物を取るか。
どっちが良いのだろう。
全ては僕の手に委ねられた。
なぜだろう。
どちらを選んでも怖い気がする。
だって二人とも期待するような顔で僕の事を見ているのだから。
もしもこれが焼き肉と豚汁。
アイスとジュースだったら同時に食べれた。
同時に食べて、美味しいねとか言う事ができた。
けれどアイスと豚汁は同時に食べられない。
アイスは甘くて冷たいし。
豚汁はしょっぱくて温かいし。
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