310 / 425
四章 雪闇ブラッド
雪は良いなぁ
しおりを挟む
そう、心底嬉しそうに笑ったのだ。
本当に幸せとでも良いたげに。
それが全てだと言いたげに。
慈愛のこもった瞳は雪だけに注がれて。
僕なんて一切映っていなくて。
まるで僕はこの場にいないとでも言いたげに。
なら、僕は?
僕ってなんなの?
僕の存在って血影家にとって一体なんなの?
そう言いたくなったけどどうにか抑えた。
周囲の使用人達が可哀想にと言いたげな視線が僕に付きまとう。
やめてよ。
やめてよ、そんな目で見ないでよ。
憐れむような目で僕を見ないでほしい。
まるで自分が可哀想な存在だと思ってしまうから。
思ってしまったら我慢できなそうだから。
涙を一生懸命堪えた。
泣いたらそこでおしまいだろうから。
そのまましばらく我慢していると、パーティーの始まる時間になったみたいで人が入ってきた。
僕のことを指差す人も一部いたが。
大抵の人は無関心で通りすぎていくのだ。
他人には無関心とでも言いたげに。
そして僕の父にごまを擦りにいく。
あぁ、本当に汚れた光景だ。
「あぁ、あれですか?あれは雪の付き人ですよ。今まで一緒にいたから勘違いしたと思いますけど」
そう父が笑顔で説明する。
この中で階級が一番高いのは父だ。
だからみんな何も言えない。
一部の人はそうですか、と苦虫を噛み潰したような顔をして去っていった。
僕の周りには誰も来ない。
来るはずがない。
僕は雪の付き人と言う事になった。
その印象は覆せないものになってしまった。
その事にもう何にも感じなくて。
ただこの人達の中では僕なんて要らなかったんだという。
どうにもならない事実が残った。
パーティー会場の音がゆっくりと流れていく。
早く終われば良いのに。
雪はずっと何か言いたげな顔をしているけれど、さっきの母の言葉を思い出して何も言えなくなっている。
「誕生日、おめでとう!雪」
そう言って母は雪の頭を撫でる。
父も笑顔で頷いている。
それが心をゆっくり犯していく。
ゆっくり、ゆっくりと。
どくどくどくどくどくどく。
苦しくて仕方がない。
まるで神経毒のように。
痛みの消えない傷となって僕の中に残った。
消えれば良いのに。
今でも時々夢に見る。
それでも復讐だとか。
そう言う言葉が出ないのは。
きっと僕にそんな意志がないからだ。
そんな思想も持てないほど弱くて。
それくらい飼い殺されているってことだ。
反逆の牙を抜かれて、無力に従うだけだって。
そんな弱い自分が許せなかった。
強くなりたいと思った。
だから勉強をして、一生懸命力を身につけようとした。
自分の力をつけて仕舞えば、その分僕の自信に繋がると思ったから。
本当に幸せとでも良いたげに。
それが全てだと言いたげに。
慈愛のこもった瞳は雪だけに注がれて。
僕なんて一切映っていなくて。
まるで僕はこの場にいないとでも言いたげに。
なら、僕は?
僕ってなんなの?
僕の存在って血影家にとって一体なんなの?
そう言いたくなったけどどうにか抑えた。
周囲の使用人達が可哀想にと言いたげな視線が僕に付きまとう。
やめてよ。
やめてよ、そんな目で見ないでよ。
憐れむような目で僕を見ないでほしい。
まるで自分が可哀想な存在だと思ってしまうから。
思ってしまったら我慢できなそうだから。
涙を一生懸命堪えた。
泣いたらそこでおしまいだろうから。
そのまましばらく我慢していると、パーティーの始まる時間になったみたいで人が入ってきた。
僕のことを指差す人も一部いたが。
大抵の人は無関心で通りすぎていくのだ。
他人には無関心とでも言いたげに。
そして僕の父にごまを擦りにいく。
あぁ、本当に汚れた光景だ。
「あぁ、あれですか?あれは雪の付き人ですよ。今まで一緒にいたから勘違いしたと思いますけど」
そう父が笑顔で説明する。
この中で階級が一番高いのは父だ。
だからみんな何も言えない。
一部の人はそうですか、と苦虫を噛み潰したような顔をして去っていった。
僕の周りには誰も来ない。
来るはずがない。
僕は雪の付き人と言う事になった。
その印象は覆せないものになってしまった。
その事にもう何にも感じなくて。
ただこの人達の中では僕なんて要らなかったんだという。
どうにもならない事実が残った。
パーティー会場の音がゆっくりと流れていく。
早く終われば良いのに。
雪はずっと何か言いたげな顔をしているけれど、さっきの母の言葉を思い出して何も言えなくなっている。
「誕生日、おめでとう!雪」
そう言って母は雪の頭を撫でる。
父も笑顔で頷いている。
それが心をゆっくり犯していく。
ゆっくり、ゆっくりと。
どくどくどくどくどくどく。
苦しくて仕方がない。
まるで神経毒のように。
痛みの消えない傷となって僕の中に残った。
消えれば良いのに。
今でも時々夢に見る。
それでも復讐だとか。
そう言う言葉が出ないのは。
きっと僕にそんな意志がないからだ。
そんな思想も持てないほど弱くて。
それくらい飼い殺されているってことだ。
反逆の牙を抜かれて、無力に従うだけだって。
そんな弱い自分が許せなかった。
強くなりたいと思った。
だから勉強をして、一生懸命力を身につけようとした。
自分の力をつけて仕舞えば、その分僕の自信に繋がると思ったから。
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—
水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。
幼い日、高校、そして大学。
高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。
運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年後。
静は玲に復讐するために近づくが…
奇跡に祝福を
善奈美
BL
家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。
※不定期更新になります。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる