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二章
スライム捕獲依頼2/3
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朝一でミッドロウの町を出発して、昼頃には目的のホウの村に辿り着くことができた。
ホウの村は、ミッドロウの町から北に行った所にある山間部の村だ。かなり小さな村であり、エデン村といい勝負かもしれない。産業スライムの放牧地として、ここらへんでは古くから知られているようだ。
「とりあえず、日が暮れるまでに何匹か捕まえるぞ。お前ら初めてらしいからな。今日の内に仕事を教えておくぜ」
「はい、ありがとうございます」
日暮れまでの間、ライムからスライム捕獲のレクチャーを受けることになった。
スライム捕獲作業は明日から本格的にやるらしい。そこらへんの段取りは、先達であるライムに任せておけばいいだろう。
入村の手続きを終えた後、俺たちは村を出て、スライム谷なる場所に向かった。
「着いたぜ」
村から山に分け入ると、しばらくして、草木も生えない岩肌で覆われた谷に辿りついた。ここがスライム谷と呼ばれる場所らしい。
「この谷がスライムの谷ですか?」
「ああそうだ。自然のスライム放牧地であり、ゴミ処理場でもあるな」
「ゴミ処理場?」
「ほら、あんな感じにな」
ライムが指差した先には、村人らしき人たちが屯していた。
「落ちるなよ。気をつけろ」
「わかってる」
村人たちは、大きな箱から大量のゴミを取り出す作業をしていた。
あの箱は魔法の鞄と同じ原理で大量の物が入るらしい。箱からは、次から次へと周囲を埋め尽くすような大量のゴミが出てくる。
おそらく、あのゴミは村人たちが出したものだけじゃないな。ミッドロウの町とか他の地域から運ばれてきたゴミもあるんだろう。
「そらっ」
村人たちはゴミを箱から出し終えると、続いて、取り出した大量のゴミを谷底に向かって落としていく。
谷底はよく見えないが、おそらく底にはスライムたちがうじゃうじゃといるのだろう。あの大量に廃棄されているゴミが、スライムたちの餌になっているようだ。
「谷底にいるスライムは逃げ出さないんですか?」
「谷を覆うように魔物避けの魔道具が設置されてるからな。基本的には大丈夫だ。といっても、たまに上がってくる個体がいるがな。魔道具が故障してたり、魔物避けなんてものともしないくらいの面倒なスライムが逃げ出したりする。そん時はギルドに緊急の討伐依頼が出たりするぜ。まあそんなこと、滅多にないがな」
「へえそうですか」
魔道具によってスライムたちを谷底に閉じ込めているわけか。
スライムの放牧地兼ゴミ処理施設か。ファンタジー世界ならではの施設だな。
「それじゃ谷底に下りる場所に向かうぞ」
「はい」
ライムに連れられ、俺たちは谷に併設されるように設置された小屋に向かった。
「ライムさんか。今日からしばらくスライム狩りか?」
「ああそうだ」
「後ろは見ない顔だな」
「新人だよ。愛想良くて悪い奴じゃねえよ」
小屋の周囲には門番のような者が待機していた。おそらく村の住人だろう。ライムとは顔見知りのようだ。
(悪い奴じゃないか。パープル君以外は最悪な面子だというのにな)
ライムから悪い奴じゃないと紹介されるが、思わず笑いそうになってしまうな。
パープル以外は、極悪吸血鬼二人と悪人の血を持つ三人だ。悪い奴しかいないというのに。
外面の良い俺たちに、ライムもすっかり騙されているようだ。朗らかに挨拶する俺たちを見て、門番たちも警戒を解いていた。
「どうぞ」
「ああ」
門番が扉を開け、俺たちは小屋の中に入っていく。
「これは?」
厳重に管理された小屋の中に何があるかと思いきや、トーテムポールのようなものが置いてあるだけだった。そのトーテムポールの下には、薄っすらと魔方陣のようなものが描かれていた。
「鉄等級に上がったばっかなら初めて見るだろ? これは転移装置。谷底に設置された小屋に転移できる魔道具さ」
ライムが鼻を大きく広げてドヤ顔でそう解説する。転移装置は別にライムの持ち物でもないのに、まるで自分の物を自慢するかのように語ってくる。
要するに、このトーテムポールのようなものは、転移系の魔道具らしい。転移系の魔道具はかなりの貴重品らしいな。
「ここで武器を取り出したり魔法を使ったりするのは厳禁だ。そうじゃなくてもあちこち触ったり、余計なことすんなよ。ぶっ壊したら多額の賠償金背負って一発で奴隷落ちだぞ」
ドヤ顔だったライムだが、一転して神妙な顔つきとなって忠告してくる。
このトーテム、高級な魔道具だから壊したら大変なことになるそうだ。
「農奴に落ちたくなきゃ俺の言う通りにしとけ。まあ可愛いパープルちゃんの場合は農奴じゃなくて、男娼かもしれんがな。そうしたら俺が買ってやってもいいぜ。ケケケ」
新人の俺たちに脅しをかけてきたライムであるが、脅しをかけた後は場を和ませようと思ったのか、下品な冗談を飛ばしてきた。
ライムの下品な冗談を聞いて嫌な想像をしたのか、パープルは頬を引き攣らせていた。下品な冗談が嫌いなエリザも顔を顰めていた。
「それじゃ、順番に転移していけ。初めてだろうが怖がることはねえよ。ちゃんと転移できるからよ。おら、お前ら、転移処女のパープルちゃんたちに、手本見せてやれ」
「ああ、俺たちがお手本を見せてやろう」
ライムに促され、まずは男二人、タックとノリが転移していく。問題なく転移でき、その次に女二人、ウォラとセンが転移していく。
「ほら問題ねえだろ。パープルちゃんたち、さっさと潜りな。初体験しちまえ」
「は、はい」
パープルと詐欺おにぎり二人は、転移を経験するのが初めてなのか、緊張した面持ちで転移していった。
続くインディスは今までに経験があるのか、わりと平然とした表情で転移していった。
最後に残った俺とエリザもダンジョンで転移なんて何度も経験しているので平然と転移していく。
転移先は転移前と同じような小屋だった。一見同じような場所に見えるが、俺とエリザは明らかに変化を感じていた。
「ご主人様……」
「慌てるな大したことない。平然としておけ」
「はいかしこまりました」
転移した途端、皮膚がピリピリと痺れるような嫌な感覚がするのだ。といっても、耐えられないほどではないが。ステータスを開けば、HPがほんの少しだけ減っていた。その場にいると徐々に減っていく。
「小屋の中と周囲は強力な魔道具で魔物避けの結界が張られてる。だがそこを出ると魔物がうじゃうじゃいるからな。気をつけろよ」
嫌な感覚の正体がわかった。魔物避けの魔道具の効果らしい。俺やエリザも魔物だから、その効果の影響を受けたようだな。
「よし、それじゃ小屋の外に出るぞ」
小屋から出ると、独特の腐臭が漂ってくる。
「うっ」
ライムのチームの面々は慣れているようで平然としていたが、俺たちのチームの面々は一斉に顔を顰めた。
「この臭いは?」
「ああこの臭いか。ここじゃお馴染みの臭いだ。どうやらここで飼われてるスライムには好き嫌いがあるようでよ。投下されたゴミの全てを完全に消化しているわけじゃないようなんだ。消化されずに残ったものから発せられる臭いだよ。ほら、あそこの岩肌とか、気持ち悪い見た目の未消化物がこびり付いてるだろ」
「なるほど」
ライムが臭いの理由を解説してくれた。
ウチのダンジョンのスライムたちは、ダンジョンマスターである俺が命令しているからか、どんなゴミでもお残しなんて絶対にしない。命令したら完璧に綺麗に掃除してくれる。
だがここで放牧されているスライムたちは、普通の人間が管理しているからか、お残ししたりするようだ。そのせいで、谷には独特の臭気が発生しているらしい。
「それじゃまず最初に、仕事の段取りについて説明しておこう。これからこの結界の外に出て、スライムを捕まえるわけだ。と言っても、捕まえるだけが仕事じゃねえ。異常個体を発見したらそれを潰すのも仕事だ。異常個体がいたら潰しつつ、欲しい個体だけを捕まえてビンの中に入れていく」
「異常個体はどうやって見分けるんです?」
「まず、色と大きさに注目する。普通の個体はこんな風に半透明の色をしている。大きさもこれくらいだ。変な色をしていたり大きさが異なるのは、特殊なスキルを持っていたり成長しすぎている個体である可能性が高い。そういうのを見つけたら、とりあえず潰しておけ。疑わしいのも潰しておけ」
問題を起こしそうな異常個体はトイレの装置として組み込むには危険すぎる。また、この放牧場のシステムを破壊しかねない。ゆえに処分しているようだ。
「わかった。色と大きさだな」
「ああだがそれだけじゃない。色と大きさなんて馬鹿でもわかる。一番面倒なのは硬さだよ」
「硬さ?」
「ああ。特殊なスキルを持っている異常個体は、柔らかかったり硬かったりもする。だから触って確かめるしかない」
ああ、そう言えばウチのダンジョンで飼ってるスライムも、レベルの高いのだと硬かったりするな。ライムが言ってるのはそのことだろう。
レベルが低くて特殊なスキルを持っていない個体――つまりザコスライム。それがトイレ装置として利用するのに適しているというわけだ。そういう個体を探して捕らえるようだ。
「硬さはこうやって調べるんだ。手で揉んでこんな風にな」
ライムは手袋した手でそこらへんにいたスライムを掴んで揉む。スライムの分泌した酸でジュジュと焼ける音がするが、特殊な手袋のおかげで大きな問題はないようだ。
「酸の様子もよく見ておけ。特殊スキルを持っていると、分泌される酸が異常だったりするからな。これは正常個体だ。この個体の酸の様子をよく見ておけ。色、粘り具合、臭気とかをな」
ライムはスライムを苛めてスライムの酸を搾り出していく。そうやって俺たちに十分に勉強させた後、「弱らせすぎたから納品には向かない」と言い、そのスライムをそのまま握りつぶして捨てた。ただ、素材になる核だけ器用に抜き取ってポケットに仕舞っていた。手馴れているな。
「長々と説明したが、まあ特殊スキル持ちの個体なんて滅多にいねえからあんまり気にしなくていい。逆にわりといるのが、成長しすぎた個体だ。大きさでの判断は馬鹿でもできるが、初心者にとって一番面倒なのは硬さの判別だ。柔らかすぎたり硬すぎたりしたら駄目。分かりやすく例えるならば、女のケツでも男のケツでも駄目ということだ。女か男かよくわからねえ、パープルちゃんのケツくらいの柔らかさが丁度いいってわけだ」
「ちょっと、僕は男ですよ!」
「いやいや男になりきる前の少年のケツは男のケツじゃねえぜ」
「意味不明です! それと物言いが下品すぎますよ!」
よくわからない説明を展開するライムに、パープルが噛み付く。
俺たちはもとより、ライムのチームメンバーも呆れたようで苦笑していた。でもライムとしては至極真面目に言っているらしい。
「パープルちゃんのケツの感触は目当てのスライムの硬さとちょうど同じだ。これはマジな話だぜ。ヨミトのチームは全員がスライム狩り初めてなんだろ? だったら、一回、パープルちゃんのケツを揉ませてもらえ。スライムを揉むよりも安全だ」
「い、嫌ですよ!」
「パープルちゃんよ、女じゃねえから減るもんじゃねえだろ? パープルちゃんのケツはマジで良い教材なんだよ。熟練スライム狩りの俺が言うんだから間違いねえ。他のチームの奴らのためを思って、ケツくらい揉ませてやれよ」
「ぐっ、み、みんなのためですか……」
ライム曰く、パープルの尻はマジで良い教材らしい。冗談かと思ったら本当のようだ。
「大変不本意ですが、それなら……」
諭されたパープルは、渋々みんなにお尻を揉ませることになった。
「悪いなパープル君……。これも仕事だからさ……」
「は、はい……」
俺と詐欺おにぎりの少年二人は死んだような目でパープルのお尻を揉んだ。
なんで男の子のお尻を揉まなきゃいけないんだ。最悪だ。まあこれも仕事のためだから仕方ないけども。
パープルは俺たちよりもさらに死んだような目で、自分のお尻を自分で揉んでいた。
「うふふ、失礼しますわ」
エリザはわりと楽しそうにパープルの尻を揉んでいた。
たぶん、苦痛に耐えているパープルの姿がお気に召したのだろう。エリザは嗜虐的な所があるからな。
「はは、失礼しますね」
インディスは苦笑しながら揉んでいた。男の尻を揉むことに、男の俺たちよりは抵抗感がないようだ。
「よし、みんな、しっかり揉んで覚えたな。それが捕獲に適したスライムの硬さだ。よく覚えておけよ」
パープルの尊い犠牲によって、俺たちは捕獲に適したスライムの感触を掌に覚えさせることができた。
「最後に言っておく。この任務での死亡者は滅多にいねえがたまにいる。スライムなんて基本ザコだからと油断してると大変な目に遭うぞ。単独行動は厳禁だぜ。スライムが屯しているような岩穴には迂闊に近づくなよ。単独の時に引きずり込まれたら命はねえからな」
レクチャーの最後に、ライムは脅かすようにそんなことを言った。
パープルの尻揉みのせいで一時ふざけた空気となったが、その言葉を聞いて、俺たちは緩んだ気持ちを再度引き締める。
「それじゃ、実際に一人十匹くらい捕まえてみろ。時間もねえし、今日はそれで終わりにしよう。重ねて言うが単独行動はすんじゃねえぞ」
「はい」
後は実践あるのみらしい。ライムのレクチャーをおさらいしながら、俺たちはスライムの捕獲作業に移った。
(まずは色と大きさ。揉んでみて、硬さと酸の具合を調べる。これは適した個体のようだな)
適した個体と判断した個体をビンに詰めていく。ビンに詰めたら、それを箱に載せる。
箱に一定量のビンが積載されると、箱は昇降機のようなもので崖の上へと吊り上げられていく。上には村の係り員がいるようで、後は村が手配した運び屋が仕事をしてくれるようだ。俺たちがやる仕事は、スライムを捕まえて上に送るまでだ。
「ここの谷のスライム、臆病ですね」
「学習しているようでな。俺たちを見つけると逃げたり隠れたりするんだよ。家畜のスライムらしい習性だ」
飼われてるスライムだけあって、野生や俺のダンジョンにいるのとは、少し習性が違うようだな。
そんなことを面白く思いながら、淡々と作業を進めていく。
「へえヨミトとエリザっつったか。やるじゃねえか」
「本当に今日が初めてか?」
「大したもんだ」
「やるわね」
「期待の新人ね」
吸血鬼の身体能力を持つ俺とエリザは、ライムたちのチームの面々と同じくらいのペースでスライムを捕まえることができた。あっという間にノルマの十匹を捕まえることができて、ライムたちに褒められることになった。
「パープルちゃんもやるねえ。お礼にお尻揉んでやろうか?」
「いえ結構です」
「つれねえな」
俺たちほどではないが、パープルも仕事が早かった。パープルの手際を見て、ライムは賞賛しがてら下品な冗談を言っていた。どんだけパープルのお尻がお気に入りなんだか。
「ぐわっ!」
「あーあー、こりゃ酷いや」
スライム捕獲に苦戦していたのは、インディスと詐欺おにぎりたちだった。彼女たちはスライムを中々捕まえられなくて、大量の汗を流していた。
酷いと転んで、未消化物のドロっとしたのに頭から突っ込んでいて、大変なことになっていた。後で水浴び必須だな。
「よし、今日はもう終わりにしよう」
結局、インディスたちはノルマの十匹には到達しなかった。だがライムチームや俺とエリザとパープルが余分に捕獲したので、合計するとかなりの数を捕まえることができた。百匹くらいは捕まえることができただろう。
「パープルちゃんたちが思った以上に使えた。良いペースだ。インディス、トライ、オバール。お前らは明日からもっと頑張れよ」
「「「はい……」」」
「それじゃ今日はもうあがろうや」
日没が近づき、ライムが撤収を告げる。俺たちは来た道を戻り、転移装置を使って谷上に戻る。それから村に戻っていった。
ホウの村は、ミッドロウの町から北に行った所にある山間部の村だ。かなり小さな村であり、エデン村といい勝負かもしれない。産業スライムの放牧地として、ここらへんでは古くから知られているようだ。
「とりあえず、日が暮れるまでに何匹か捕まえるぞ。お前ら初めてらしいからな。今日の内に仕事を教えておくぜ」
「はい、ありがとうございます」
日暮れまでの間、ライムからスライム捕獲のレクチャーを受けることになった。
スライム捕獲作業は明日から本格的にやるらしい。そこらへんの段取りは、先達であるライムに任せておけばいいだろう。
入村の手続きを終えた後、俺たちは村を出て、スライム谷なる場所に向かった。
「着いたぜ」
村から山に分け入ると、しばらくして、草木も生えない岩肌で覆われた谷に辿りついた。ここがスライム谷と呼ばれる場所らしい。
「この谷がスライムの谷ですか?」
「ああそうだ。自然のスライム放牧地であり、ゴミ処理場でもあるな」
「ゴミ処理場?」
「ほら、あんな感じにな」
ライムが指差した先には、村人らしき人たちが屯していた。
「落ちるなよ。気をつけろ」
「わかってる」
村人たちは、大きな箱から大量のゴミを取り出す作業をしていた。
あの箱は魔法の鞄と同じ原理で大量の物が入るらしい。箱からは、次から次へと周囲を埋め尽くすような大量のゴミが出てくる。
おそらく、あのゴミは村人たちが出したものだけじゃないな。ミッドロウの町とか他の地域から運ばれてきたゴミもあるんだろう。
「そらっ」
村人たちはゴミを箱から出し終えると、続いて、取り出した大量のゴミを谷底に向かって落としていく。
谷底はよく見えないが、おそらく底にはスライムたちがうじゃうじゃといるのだろう。あの大量に廃棄されているゴミが、スライムたちの餌になっているようだ。
「谷底にいるスライムは逃げ出さないんですか?」
「谷を覆うように魔物避けの魔道具が設置されてるからな。基本的には大丈夫だ。といっても、たまに上がってくる個体がいるがな。魔道具が故障してたり、魔物避けなんてものともしないくらいの面倒なスライムが逃げ出したりする。そん時はギルドに緊急の討伐依頼が出たりするぜ。まあそんなこと、滅多にないがな」
「へえそうですか」
魔道具によってスライムたちを谷底に閉じ込めているわけか。
スライムの放牧地兼ゴミ処理施設か。ファンタジー世界ならではの施設だな。
「それじゃ谷底に下りる場所に向かうぞ」
「はい」
ライムに連れられ、俺たちは谷に併設されるように設置された小屋に向かった。
「ライムさんか。今日からしばらくスライム狩りか?」
「ああそうだ」
「後ろは見ない顔だな」
「新人だよ。愛想良くて悪い奴じゃねえよ」
小屋の周囲には門番のような者が待機していた。おそらく村の住人だろう。ライムとは顔見知りのようだ。
(悪い奴じゃないか。パープル君以外は最悪な面子だというのにな)
ライムから悪い奴じゃないと紹介されるが、思わず笑いそうになってしまうな。
パープル以外は、極悪吸血鬼二人と悪人の血を持つ三人だ。悪い奴しかいないというのに。
外面の良い俺たちに、ライムもすっかり騙されているようだ。朗らかに挨拶する俺たちを見て、門番たちも警戒を解いていた。
「どうぞ」
「ああ」
門番が扉を開け、俺たちは小屋の中に入っていく。
「これは?」
厳重に管理された小屋の中に何があるかと思いきや、トーテムポールのようなものが置いてあるだけだった。そのトーテムポールの下には、薄っすらと魔方陣のようなものが描かれていた。
「鉄等級に上がったばっかなら初めて見るだろ? これは転移装置。谷底に設置された小屋に転移できる魔道具さ」
ライムが鼻を大きく広げてドヤ顔でそう解説する。転移装置は別にライムの持ち物でもないのに、まるで自分の物を自慢するかのように語ってくる。
要するに、このトーテムポールのようなものは、転移系の魔道具らしい。転移系の魔道具はかなりの貴重品らしいな。
「ここで武器を取り出したり魔法を使ったりするのは厳禁だ。そうじゃなくてもあちこち触ったり、余計なことすんなよ。ぶっ壊したら多額の賠償金背負って一発で奴隷落ちだぞ」
ドヤ顔だったライムだが、一転して神妙な顔つきとなって忠告してくる。
このトーテム、高級な魔道具だから壊したら大変なことになるそうだ。
「農奴に落ちたくなきゃ俺の言う通りにしとけ。まあ可愛いパープルちゃんの場合は農奴じゃなくて、男娼かもしれんがな。そうしたら俺が買ってやってもいいぜ。ケケケ」
新人の俺たちに脅しをかけてきたライムであるが、脅しをかけた後は場を和ませようと思ったのか、下品な冗談を飛ばしてきた。
ライムの下品な冗談を聞いて嫌な想像をしたのか、パープルは頬を引き攣らせていた。下品な冗談が嫌いなエリザも顔を顰めていた。
「それじゃ、順番に転移していけ。初めてだろうが怖がることはねえよ。ちゃんと転移できるからよ。おら、お前ら、転移処女のパープルちゃんたちに、手本見せてやれ」
「ああ、俺たちがお手本を見せてやろう」
ライムに促され、まずは男二人、タックとノリが転移していく。問題なく転移でき、その次に女二人、ウォラとセンが転移していく。
「ほら問題ねえだろ。パープルちゃんたち、さっさと潜りな。初体験しちまえ」
「は、はい」
パープルと詐欺おにぎり二人は、転移を経験するのが初めてなのか、緊張した面持ちで転移していった。
続くインディスは今までに経験があるのか、わりと平然とした表情で転移していった。
最後に残った俺とエリザもダンジョンで転移なんて何度も経験しているので平然と転移していく。
転移先は転移前と同じような小屋だった。一見同じような場所に見えるが、俺とエリザは明らかに変化を感じていた。
「ご主人様……」
「慌てるな大したことない。平然としておけ」
「はいかしこまりました」
転移した途端、皮膚がピリピリと痺れるような嫌な感覚がするのだ。といっても、耐えられないほどではないが。ステータスを開けば、HPがほんの少しだけ減っていた。その場にいると徐々に減っていく。
「小屋の中と周囲は強力な魔道具で魔物避けの結界が張られてる。だがそこを出ると魔物がうじゃうじゃいるからな。気をつけろよ」
嫌な感覚の正体がわかった。魔物避けの魔道具の効果らしい。俺やエリザも魔物だから、その効果の影響を受けたようだな。
「よし、それじゃ小屋の外に出るぞ」
小屋から出ると、独特の腐臭が漂ってくる。
「うっ」
ライムのチームの面々は慣れているようで平然としていたが、俺たちのチームの面々は一斉に顔を顰めた。
「この臭いは?」
「ああこの臭いか。ここじゃお馴染みの臭いだ。どうやらここで飼われてるスライムには好き嫌いがあるようでよ。投下されたゴミの全てを完全に消化しているわけじゃないようなんだ。消化されずに残ったものから発せられる臭いだよ。ほら、あそこの岩肌とか、気持ち悪い見た目の未消化物がこびり付いてるだろ」
「なるほど」
ライムが臭いの理由を解説してくれた。
ウチのダンジョンのスライムたちは、ダンジョンマスターである俺が命令しているからか、どんなゴミでもお残しなんて絶対にしない。命令したら完璧に綺麗に掃除してくれる。
だがここで放牧されているスライムたちは、普通の人間が管理しているからか、お残ししたりするようだ。そのせいで、谷には独特の臭気が発生しているらしい。
「それじゃまず最初に、仕事の段取りについて説明しておこう。これからこの結界の外に出て、スライムを捕まえるわけだ。と言っても、捕まえるだけが仕事じゃねえ。異常個体を発見したらそれを潰すのも仕事だ。異常個体がいたら潰しつつ、欲しい個体だけを捕まえてビンの中に入れていく」
「異常個体はどうやって見分けるんです?」
「まず、色と大きさに注目する。普通の個体はこんな風に半透明の色をしている。大きさもこれくらいだ。変な色をしていたり大きさが異なるのは、特殊なスキルを持っていたり成長しすぎている個体である可能性が高い。そういうのを見つけたら、とりあえず潰しておけ。疑わしいのも潰しておけ」
問題を起こしそうな異常個体はトイレの装置として組み込むには危険すぎる。また、この放牧場のシステムを破壊しかねない。ゆえに処分しているようだ。
「わかった。色と大きさだな」
「ああだがそれだけじゃない。色と大きさなんて馬鹿でもわかる。一番面倒なのは硬さだよ」
「硬さ?」
「ああ。特殊なスキルを持っている異常個体は、柔らかかったり硬かったりもする。だから触って確かめるしかない」
ああ、そう言えばウチのダンジョンで飼ってるスライムも、レベルの高いのだと硬かったりするな。ライムが言ってるのはそのことだろう。
レベルが低くて特殊なスキルを持っていない個体――つまりザコスライム。それがトイレ装置として利用するのに適しているというわけだ。そういう個体を探して捕らえるようだ。
「硬さはこうやって調べるんだ。手で揉んでこんな風にな」
ライムは手袋した手でそこらへんにいたスライムを掴んで揉む。スライムの分泌した酸でジュジュと焼ける音がするが、特殊な手袋のおかげで大きな問題はないようだ。
「酸の様子もよく見ておけ。特殊スキルを持っていると、分泌される酸が異常だったりするからな。これは正常個体だ。この個体の酸の様子をよく見ておけ。色、粘り具合、臭気とかをな」
ライムはスライムを苛めてスライムの酸を搾り出していく。そうやって俺たちに十分に勉強させた後、「弱らせすぎたから納品には向かない」と言い、そのスライムをそのまま握りつぶして捨てた。ただ、素材になる核だけ器用に抜き取ってポケットに仕舞っていた。手馴れているな。
「長々と説明したが、まあ特殊スキル持ちの個体なんて滅多にいねえからあんまり気にしなくていい。逆にわりといるのが、成長しすぎた個体だ。大きさでの判断は馬鹿でもできるが、初心者にとって一番面倒なのは硬さの判別だ。柔らかすぎたり硬すぎたりしたら駄目。分かりやすく例えるならば、女のケツでも男のケツでも駄目ということだ。女か男かよくわからねえ、パープルちゃんのケツくらいの柔らかさが丁度いいってわけだ」
「ちょっと、僕は男ですよ!」
「いやいや男になりきる前の少年のケツは男のケツじゃねえぜ」
「意味不明です! それと物言いが下品すぎますよ!」
よくわからない説明を展開するライムに、パープルが噛み付く。
俺たちはもとより、ライムのチームメンバーも呆れたようで苦笑していた。でもライムとしては至極真面目に言っているらしい。
「パープルちゃんのケツの感触は目当てのスライムの硬さとちょうど同じだ。これはマジな話だぜ。ヨミトのチームは全員がスライム狩り初めてなんだろ? だったら、一回、パープルちゃんのケツを揉ませてもらえ。スライムを揉むよりも安全だ」
「い、嫌ですよ!」
「パープルちゃんよ、女じゃねえから減るもんじゃねえだろ? パープルちゃんのケツはマジで良い教材なんだよ。熟練スライム狩りの俺が言うんだから間違いねえ。他のチームの奴らのためを思って、ケツくらい揉ませてやれよ」
「ぐっ、み、みんなのためですか……」
ライム曰く、パープルの尻はマジで良い教材らしい。冗談かと思ったら本当のようだ。
「大変不本意ですが、それなら……」
諭されたパープルは、渋々みんなにお尻を揉ませることになった。
「悪いなパープル君……。これも仕事だからさ……」
「は、はい……」
俺と詐欺おにぎりの少年二人は死んだような目でパープルのお尻を揉んだ。
なんで男の子のお尻を揉まなきゃいけないんだ。最悪だ。まあこれも仕事のためだから仕方ないけども。
パープルは俺たちよりもさらに死んだような目で、自分のお尻を自分で揉んでいた。
「うふふ、失礼しますわ」
エリザはわりと楽しそうにパープルの尻を揉んでいた。
たぶん、苦痛に耐えているパープルの姿がお気に召したのだろう。エリザは嗜虐的な所があるからな。
「はは、失礼しますね」
インディスは苦笑しながら揉んでいた。男の尻を揉むことに、男の俺たちよりは抵抗感がないようだ。
「よし、みんな、しっかり揉んで覚えたな。それが捕獲に適したスライムの硬さだ。よく覚えておけよ」
パープルの尊い犠牲によって、俺たちは捕獲に適したスライムの感触を掌に覚えさせることができた。
「最後に言っておく。この任務での死亡者は滅多にいねえがたまにいる。スライムなんて基本ザコだからと油断してると大変な目に遭うぞ。単独行動は厳禁だぜ。スライムが屯しているような岩穴には迂闊に近づくなよ。単独の時に引きずり込まれたら命はねえからな」
レクチャーの最後に、ライムは脅かすようにそんなことを言った。
パープルの尻揉みのせいで一時ふざけた空気となったが、その言葉を聞いて、俺たちは緩んだ気持ちを再度引き締める。
「それじゃ、実際に一人十匹くらい捕まえてみろ。時間もねえし、今日はそれで終わりにしよう。重ねて言うが単独行動はすんじゃねえぞ」
「はい」
後は実践あるのみらしい。ライムのレクチャーをおさらいしながら、俺たちはスライムの捕獲作業に移った。
(まずは色と大きさ。揉んでみて、硬さと酸の具合を調べる。これは適した個体のようだな)
適した個体と判断した個体をビンに詰めていく。ビンに詰めたら、それを箱に載せる。
箱に一定量のビンが積載されると、箱は昇降機のようなもので崖の上へと吊り上げられていく。上には村の係り員がいるようで、後は村が手配した運び屋が仕事をしてくれるようだ。俺たちがやる仕事は、スライムを捕まえて上に送るまでだ。
「ここの谷のスライム、臆病ですね」
「学習しているようでな。俺たちを見つけると逃げたり隠れたりするんだよ。家畜のスライムらしい習性だ」
飼われてるスライムだけあって、野生や俺のダンジョンにいるのとは、少し習性が違うようだな。
そんなことを面白く思いながら、淡々と作業を進めていく。
「へえヨミトとエリザっつったか。やるじゃねえか」
「本当に今日が初めてか?」
「大したもんだ」
「やるわね」
「期待の新人ね」
吸血鬼の身体能力を持つ俺とエリザは、ライムたちのチームの面々と同じくらいのペースでスライムを捕まえることができた。あっという間にノルマの十匹を捕まえることができて、ライムたちに褒められることになった。
「パープルちゃんもやるねえ。お礼にお尻揉んでやろうか?」
「いえ結構です」
「つれねえな」
俺たちほどではないが、パープルも仕事が早かった。パープルの手際を見て、ライムは賞賛しがてら下品な冗談を言っていた。どんだけパープルのお尻がお気に入りなんだか。
「ぐわっ!」
「あーあー、こりゃ酷いや」
スライム捕獲に苦戦していたのは、インディスと詐欺おにぎりたちだった。彼女たちはスライムを中々捕まえられなくて、大量の汗を流していた。
酷いと転んで、未消化物のドロっとしたのに頭から突っ込んでいて、大変なことになっていた。後で水浴び必須だな。
「よし、今日はもう終わりにしよう」
結局、インディスたちはノルマの十匹には到達しなかった。だがライムチームや俺とエリザとパープルが余分に捕獲したので、合計するとかなりの数を捕まえることができた。百匹くらいは捕まえることができただろう。
「パープルちゃんたちが思った以上に使えた。良いペースだ。インディス、トライ、オバール。お前らは明日からもっと頑張れよ」
「「「はい……」」」
「それじゃ今日はもうあがろうや」
日没が近づき、ライムが撤収を告げる。俺たちは来た道を戻り、転移装置を使って谷上に戻る。それから村に戻っていった。
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しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
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