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二章
レイラとメリッサ眷属化
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六人娘の他にもインディスによる哀れな被害者を発見したので、そんな彼女らを打算込みで救済したり、インディスが毎週末産みまくるゴブリンの赤ちゃんの育児施設を整えたり、ダンジョンの畑を耕したり、ダンジョン内防衛設備を整えたり、エレーナやカーネラの宿の仕事を手伝ったり、チームメンバーが欠けたせいで鉄等級任務が全然受けられないと嘆くパープルの愚痴を聞いて慰めたり、レイラたちの身請け資金を稼いだり――。
そんなことをしていると、年の瀬が迫り来る時期となった。もうすぐで新しい暦に切り替える必要があるな。
この世界に転生してから初めての年越しだな。なんか感慨深いものがあるぞ。
年越しに関連してちなみにだが、この世界は一ヶ月が三十日で、十二ヶ月(三百六十日)で一年という計算になるらしい。それは毎年変わらないみたいだ。
それで毎年天体の動きの周期のずれとかがないらしいから、なんとも不思議な世界である。この世界の太陽と月と星の関係はどうなっているのやら。
まあ閏年とかの面倒な計算がなくていいばかりではある。わかりやすい世界で助かると言えば助かるな。
――コンコン。
「どうぞ」
現在、カーネラの花宿の奥の執務室に、俺とカーネラはいる。その執務室の扉をノックする音が聞こえてきて、カーネラが応答する。
「失礼します」
「邪魔すんぞ」
扉が開き、お腹を出すスタイルの妖艶な衣装に身を包んだ見目麗しい二人の娘が部屋に入ってくる。レイラとメリッサだ。
売れっ子娼婦である彼女たち――いや、であったと言った方が正確だろうか。もう間もなく、彼女たちは娼婦ではなくなるからだ。
そう、今日は彼女たち二人が花宿を卒業する記念すべき日だ。一年の終わりを前にして、彼女たちを身請けする資金がようやく貯まったのだ。
「それじゃ、契約の印を解除するわよ」
「はい」
カーネラは一声かけてから、水晶玉のような形の魔道具の操作を始める。レイラとメリッサが若干そわそわしたような面持ちでそれを見つめる。
「うぅ」
「あぁ」
操作が佳境に入ると、レイラとメリッサのお腹に浮かび上がっていた蝶々みたいな形の文様が徐々に薄くなって消えていく。痛みはないようだが魔力による熱でも感じるのか、二人はやや熱っぽい表情で耐えていた。
「はい終了」
やがて紋様が完全に消えてなくなると、カーネラがにっこりと笑った。
「これで貴方たちは自由の身よ。本当は売れっ子の貴方たちをこの稼ぎ時の年の瀬に解放なんてしたくないのだけれどね。ねえ、せっかくだし、奴隷じゃなくなっても働いていかない? 年明けまででいいから、給金弾むわよ?」
「ははは、お断りしますね」
「そんな事情知るかよ。こっちは清々するだけだぜ。誰が二度と娼婦なんてなるか」
カーネラの言葉に、レイラは乾いたような笑みを浮かべて苦笑し、メリッサは男勝りの口調で吐き捨てるように言って肩を竦めた。そんな二人の反応を見て、カーネラは「生真面目な貴方たちにはこの業界は合わなかったわね」と残念そうに呟く。
「ここに貴方たちの服は用意してあるわ。武器の整備もしてあるから」
カーネラがそう言って衣服の入った籠を指し示す。そこにはレイラたちの本来の衣装が入っていた。
レイラとメリッサの二人は、身に纏っていた妖艶な衣装をその場で脱ぎ捨てると、用意された自分たちの服に着替えていく。
レイラはサロペット型のミニスカート、メリッサはゆったりとした魔法使いのローブをそれぞれ身に着けていく。
(おー、綺麗な女の子が着替えてる。生着替えってやつか。でもまったく感動しないな。こういうのを賢者モードっていうのか?)
目の前で見目麗しい女の子が生着替えをしているわけだが、前世の俺はともかく、今の俺の心はピクリとも動かなかった。
転生当初は少しはあったはずの性欲が、今は皆無となっている。レベリングを重ねて吸血鬼として成長していくにしたがって、人間としての本能が完全に削ぎ落とされたようである。
(美味そうだなあ。苦界に落ちてても美味かったんだから、娑婆に戻ったこれからはどんどん美味くなっていくに違いないぞ)
レイラたちの裸を見ても、相変わらず美味しそうな血をしてそうだな、また今度吸いたいな、としか思わない。吸血欲しか湧かない。
性欲を超越した偉大なる夜の王になったのだと、改めて実感できるな。素晴らしい限りだ。
これなら転生当初にエリザと約束したお互い童貞と処女で永遠の時を楽しく過ごそうという約束も余裕で果たせそうだ。永遠の時を生きる偉大なるホテル王の童貞吸血鬼に、俺はなって見せるぞ!
そんなことを考えている間に、二人は着替えを終えた。
「この服を着るのはどれくらいぶりかしら……」
「やっと冒険者に戻れたんだな……」
クールな女剣士といった風貌のレイラ。髪型と口調はヤンキーみたいで馬鹿そうなのに、知的な魔法使い姿のメリッサ。二人は身に着けた衣装の感触を確かめながら感慨に耽っていた。
「事前に話をしたように、貴方たちの借金はここにいるヨミト様が返してくださったのよ。花宿所有の奴隷としては解放されたけど、貴方たちは今日からヨミト様の僕となるのよ。わかってるわね?」
カーネラの言葉に、二人が頷く。
「それは構いませんけど……」
「アタシもいいけどよ、それよりも確認しておきたいことがある。本当にこいつって、吸血鬼なのかよ? 不老不死って本当かよ?」
二人は訝るような目線を俺に送ってくる。
二人は奴隷身分から解放してくれた俺にとても感謝しているようで、カーネラが事前に話を通したこともあって俺のために働く云々については納得してくれているようである。
ただ、俺が吸血鬼であるということについては訝っているようだな。
そういえば、二人の前で真の姿を見せたことはなかったな。実際に見せてやるとするか。
「そうだな。今日から君たちは俺の眷属になるわけだし、本当の俺の姿を見せてあげようか」
さあとくと見るがいい。これが偉大なる夜の王の姿だぜ!
「ぅ……これが吸血鬼……伝説のモンスター……」
「す、すげえ、漏らしちまいそうだ……」
二人は冷や汗を掻きながらも、吸血鬼のプレッシャーに耐えて見せた。普通に喋れて粗相をしていない分、インディスの時の反応よりも随分マシだ。
二人はインディスよりもかなり強いらしいな。やはり優秀な冒険者に間違いない。優秀な眷属が増えて嬉しいぜ。
「ダンジョンマスターの吸血鬼って本当だったのかよ。まあ本当だとは薄々思ってたけどさ。カーネラや他の婆が婆じゃなくなってんだもんな……そんなの普通の存在には無理だぜ」
しばらくして俺のプレッシャーに慣れた後、二人は普通に過ごせるようになった。メリッサに至っては軽口まで叩く始末である。
「ねえメリッサ。今聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど、私の聞き間違いかしら?」
「ま、間違いです。アタシは何も言ってません、美しいお姉様。カーネラお姉様は今日もお美しい」
「そう、ならいいわ」
婆呼ばわりされたカーネラは笑顔でありながらも額の血管を浮き上がらせてピクついていた。メリッサは慌てた表情で言葉を取り繕った。
「さてそれじゃ眷属契約を結ぼうか。二人共、俺に真の忠誠を誓っているか確かめさせてもらうよ?」
「はい」
「ああ」
二人は騎士のようにその場にしゃがみ込んで傅く。その間、俺は彼女たちの肩に触れつつ、メニューコマンドを操作し、二人を眷属設定に組み込むべく手続きをする。
――レイラ、メリッサと眷属契約を結んだ。
問題なく眷属に出来たようで、眷属一覧の中に、二人の名前が追加された。眷属契約は完了だ。
――ステータス・オープン。
名前:レイラ(lv.31) 種族:人間
HP:133/133 MP:77/77
【天才】【農耕】【料理】【裁縫】【剣術】【売春】【性技】
名前:メリッサ(lv.24) 種族:人間
HP:68/68 MP:112/112
【火球】【売春】【性技】
早速とばかりに眷属にした彼女たちのステータスを覗いてみる。
俺やエリザのステータスと比べるとどうしてもしょぼいように見えてしまうが、そんなことはない。
ゴブリンであるタロウたちよりよっぽど強い。既に眷属にしているチュウなどの人間と比べても圧倒的に強い。元冒険者のカーネラたちよりも強い。流石、鉄等級でありながら二つ名持ちだった子たちだ。
血を吸った時にラーニングしたスキルから考えて、彼女たちの保有している【天才】や【火球】のスキルについては大方察しはついていた。俺たちが既にラーニングしているスキルを保有している可能性があることも察してはいた。
だが【売春】と【性技】についてはわからなかったな。どうやら娼婦として働いている内にゲットしたスキルらしい。
カーネラたちも持っていたから、花宿でそれなりに長く働いているとスキル経験値がたまって自然と身に着くスキルなのだろう。
【売春】は売春する際に恩恵のあるスキルで、【性技】は性交の際に恩恵があるスキルだ。いずれも名称はあれだが、バッドスキルではない。恩恵しかないスキルだ。
まあ娼婦を卒業する彼女たちには、今後実質死にスキルとなるのであろうが。【性技】に関しては、旦那や恋人でも出来た時に役立ちそうではあるがな。
「君たちは優秀だね。将来有望そうだから、さらに投資しちゃおっかな」
優秀な手駒を手に入れて気分の良くなった俺は、奮発して新しいスキルを彼女たちに付与することにした。
いつもはある程度働いてくれた後に褒美として与えるんだけどね。彼女たちは一緒に冒険者活動をやってもらう予定だし、特別に早めに与えてあげよう。
「レイラ、君には新たに【癒光】という魔法スキルを与える。メリッサには【杖術】を授けよう」
レイラはそれなりに最大MPが高かったものの、それを消費するスキルを持っていなかったので、【癒光】という回復魔法スキルを覚えさせた。これで回復魔法が使える剣士という、隙のない強そうなキャラになった。
メリッサは魔法使いで基本後衛だが、万が一敵に接近された時にある程度対処できるよう、【杖術】という杖を扱う上で恩恵のあるスキルを与えることにした。
【杖術】は杖の扱いの成長が早まるので、訓練していれば接近戦の実力がその内身に着くだろう。攻防隙のない魔法使いとなってくれるはずだ。
「嘘、私、エビス教の神官みたいな癒しの術が使えるようになったんですか? 信じられない……」
「スキルを小遣い与えるみたいにぽんっと与えられるなんて、ダンジョンマスターって神かよ……」
スキルを授けられたレイラとメリッサは、驚愕に目を見開く。感謝することも忘れて驚いていた。
二人のびっくりした表情は面白くていいね。サプライズプレゼントはこういう面白い表情が見れるから最高だね。
レイラ、メリッサ卒業おめでとさん。そしてようこそ我がダンジョンへ。
そんなことをしていると、年の瀬が迫り来る時期となった。もうすぐで新しい暦に切り替える必要があるな。
この世界に転生してから初めての年越しだな。なんか感慨深いものがあるぞ。
年越しに関連してちなみにだが、この世界は一ヶ月が三十日で、十二ヶ月(三百六十日)で一年という計算になるらしい。それは毎年変わらないみたいだ。
それで毎年天体の動きの周期のずれとかがないらしいから、なんとも不思議な世界である。この世界の太陽と月と星の関係はどうなっているのやら。
まあ閏年とかの面倒な計算がなくていいばかりではある。わかりやすい世界で助かると言えば助かるな。
――コンコン。
「どうぞ」
現在、カーネラの花宿の奥の執務室に、俺とカーネラはいる。その執務室の扉をノックする音が聞こえてきて、カーネラが応答する。
「失礼します」
「邪魔すんぞ」
扉が開き、お腹を出すスタイルの妖艶な衣装に身を包んだ見目麗しい二人の娘が部屋に入ってくる。レイラとメリッサだ。
売れっ子娼婦である彼女たち――いや、であったと言った方が正確だろうか。もう間もなく、彼女たちは娼婦ではなくなるからだ。
そう、今日は彼女たち二人が花宿を卒業する記念すべき日だ。一年の終わりを前にして、彼女たちを身請けする資金がようやく貯まったのだ。
「それじゃ、契約の印を解除するわよ」
「はい」
カーネラは一声かけてから、水晶玉のような形の魔道具の操作を始める。レイラとメリッサが若干そわそわしたような面持ちでそれを見つめる。
「うぅ」
「あぁ」
操作が佳境に入ると、レイラとメリッサのお腹に浮かび上がっていた蝶々みたいな形の文様が徐々に薄くなって消えていく。痛みはないようだが魔力による熱でも感じるのか、二人はやや熱っぽい表情で耐えていた。
「はい終了」
やがて紋様が完全に消えてなくなると、カーネラがにっこりと笑った。
「これで貴方たちは自由の身よ。本当は売れっ子の貴方たちをこの稼ぎ時の年の瀬に解放なんてしたくないのだけれどね。ねえ、せっかくだし、奴隷じゃなくなっても働いていかない? 年明けまででいいから、給金弾むわよ?」
「ははは、お断りしますね」
「そんな事情知るかよ。こっちは清々するだけだぜ。誰が二度と娼婦なんてなるか」
カーネラの言葉に、レイラは乾いたような笑みを浮かべて苦笑し、メリッサは男勝りの口調で吐き捨てるように言って肩を竦めた。そんな二人の反応を見て、カーネラは「生真面目な貴方たちにはこの業界は合わなかったわね」と残念そうに呟く。
「ここに貴方たちの服は用意してあるわ。武器の整備もしてあるから」
カーネラがそう言って衣服の入った籠を指し示す。そこにはレイラたちの本来の衣装が入っていた。
レイラとメリッサの二人は、身に纏っていた妖艶な衣装をその場で脱ぎ捨てると、用意された自分たちの服に着替えていく。
レイラはサロペット型のミニスカート、メリッサはゆったりとした魔法使いのローブをそれぞれ身に着けていく。
(おー、綺麗な女の子が着替えてる。生着替えってやつか。でもまったく感動しないな。こういうのを賢者モードっていうのか?)
目の前で見目麗しい女の子が生着替えをしているわけだが、前世の俺はともかく、今の俺の心はピクリとも動かなかった。
転生当初は少しはあったはずの性欲が、今は皆無となっている。レベリングを重ねて吸血鬼として成長していくにしたがって、人間としての本能が完全に削ぎ落とされたようである。
(美味そうだなあ。苦界に落ちてても美味かったんだから、娑婆に戻ったこれからはどんどん美味くなっていくに違いないぞ)
レイラたちの裸を見ても、相変わらず美味しそうな血をしてそうだな、また今度吸いたいな、としか思わない。吸血欲しか湧かない。
性欲を超越した偉大なる夜の王になったのだと、改めて実感できるな。素晴らしい限りだ。
これなら転生当初にエリザと約束したお互い童貞と処女で永遠の時を楽しく過ごそうという約束も余裕で果たせそうだ。永遠の時を生きる偉大なるホテル王の童貞吸血鬼に、俺はなって見せるぞ!
そんなことを考えている間に、二人は着替えを終えた。
「この服を着るのはどれくらいぶりかしら……」
「やっと冒険者に戻れたんだな……」
クールな女剣士といった風貌のレイラ。髪型と口調はヤンキーみたいで馬鹿そうなのに、知的な魔法使い姿のメリッサ。二人は身に着けた衣装の感触を確かめながら感慨に耽っていた。
「事前に話をしたように、貴方たちの借金はここにいるヨミト様が返してくださったのよ。花宿所有の奴隷としては解放されたけど、貴方たちは今日からヨミト様の僕となるのよ。わかってるわね?」
カーネラの言葉に、二人が頷く。
「それは構いませんけど……」
「アタシもいいけどよ、それよりも確認しておきたいことがある。本当にこいつって、吸血鬼なのかよ? 不老不死って本当かよ?」
二人は訝るような目線を俺に送ってくる。
二人は奴隷身分から解放してくれた俺にとても感謝しているようで、カーネラが事前に話を通したこともあって俺のために働く云々については納得してくれているようである。
ただ、俺が吸血鬼であるということについては訝っているようだな。
そういえば、二人の前で真の姿を見せたことはなかったな。実際に見せてやるとするか。
「そうだな。今日から君たちは俺の眷属になるわけだし、本当の俺の姿を見せてあげようか」
さあとくと見るがいい。これが偉大なる夜の王の姿だぜ!
「ぅ……これが吸血鬼……伝説のモンスター……」
「す、すげえ、漏らしちまいそうだ……」
二人は冷や汗を掻きながらも、吸血鬼のプレッシャーに耐えて見せた。普通に喋れて粗相をしていない分、インディスの時の反応よりも随分マシだ。
二人はインディスよりもかなり強いらしいな。やはり優秀な冒険者に間違いない。優秀な眷属が増えて嬉しいぜ。
「ダンジョンマスターの吸血鬼って本当だったのかよ。まあ本当だとは薄々思ってたけどさ。カーネラや他の婆が婆じゃなくなってんだもんな……そんなの普通の存在には無理だぜ」
しばらくして俺のプレッシャーに慣れた後、二人は普通に過ごせるようになった。メリッサに至っては軽口まで叩く始末である。
「ねえメリッサ。今聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど、私の聞き間違いかしら?」
「ま、間違いです。アタシは何も言ってません、美しいお姉様。カーネラお姉様は今日もお美しい」
「そう、ならいいわ」
婆呼ばわりされたカーネラは笑顔でありながらも額の血管を浮き上がらせてピクついていた。メリッサは慌てた表情で言葉を取り繕った。
「さてそれじゃ眷属契約を結ぼうか。二人共、俺に真の忠誠を誓っているか確かめさせてもらうよ?」
「はい」
「ああ」
二人は騎士のようにその場にしゃがみ込んで傅く。その間、俺は彼女たちの肩に触れつつ、メニューコマンドを操作し、二人を眷属設定に組み込むべく手続きをする。
――レイラ、メリッサと眷属契約を結んだ。
問題なく眷属に出来たようで、眷属一覧の中に、二人の名前が追加された。眷属契約は完了だ。
――ステータス・オープン。
名前:レイラ(lv.31) 種族:人間
HP:133/133 MP:77/77
【天才】【農耕】【料理】【裁縫】【剣術】【売春】【性技】
名前:メリッサ(lv.24) 種族:人間
HP:68/68 MP:112/112
【火球】【売春】【性技】
早速とばかりに眷属にした彼女たちのステータスを覗いてみる。
俺やエリザのステータスと比べるとどうしてもしょぼいように見えてしまうが、そんなことはない。
ゴブリンであるタロウたちよりよっぽど強い。既に眷属にしているチュウなどの人間と比べても圧倒的に強い。元冒険者のカーネラたちよりも強い。流石、鉄等級でありながら二つ名持ちだった子たちだ。
血を吸った時にラーニングしたスキルから考えて、彼女たちの保有している【天才】や【火球】のスキルについては大方察しはついていた。俺たちが既にラーニングしているスキルを保有している可能性があることも察してはいた。
だが【売春】と【性技】についてはわからなかったな。どうやら娼婦として働いている内にゲットしたスキルらしい。
カーネラたちも持っていたから、花宿でそれなりに長く働いているとスキル経験値がたまって自然と身に着くスキルなのだろう。
【売春】は売春する際に恩恵のあるスキルで、【性技】は性交の際に恩恵があるスキルだ。いずれも名称はあれだが、バッドスキルではない。恩恵しかないスキルだ。
まあ娼婦を卒業する彼女たちには、今後実質死にスキルとなるのであろうが。【性技】に関しては、旦那や恋人でも出来た時に役立ちそうではあるがな。
「君たちは優秀だね。将来有望そうだから、さらに投資しちゃおっかな」
優秀な手駒を手に入れて気分の良くなった俺は、奮発して新しいスキルを彼女たちに付与することにした。
いつもはある程度働いてくれた後に褒美として与えるんだけどね。彼女たちは一緒に冒険者活動をやってもらう予定だし、特別に早めに与えてあげよう。
「レイラ、君には新たに【癒光】という魔法スキルを与える。メリッサには【杖術】を授けよう」
レイラはそれなりに最大MPが高かったものの、それを消費するスキルを持っていなかったので、【癒光】という回復魔法スキルを覚えさせた。これで回復魔法が使える剣士という、隙のない強そうなキャラになった。
メリッサは魔法使いで基本後衛だが、万が一敵に接近された時にある程度対処できるよう、【杖術】という杖を扱う上で恩恵のあるスキルを与えることにした。
【杖術】は杖の扱いの成長が早まるので、訓練していれば接近戦の実力がその内身に着くだろう。攻防隙のない魔法使いとなってくれるはずだ。
「嘘、私、エビス教の神官みたいな癒しの術が使えるようになったんですか? 信じられない……」
「スキルを小遣い与えるみたいにぽんっと与えられるなんて、ダンジョンマスターって神かよ……」
スキルを授けられたレイラとメリッサは、驚愕に目を見開く。感謝することも忘れて驚いていた。
二人のびっくりした表情は面白くていいね。サプライズプレゼントはこういう面白い表情が見れるから最高だね。
レイラ、メリッサ卒業おめでとさん。そしてようこそ我がダンジョンへ。
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