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三章
ブレンダ救出
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(さて。ブレンダはどこに捕らえられているやら)
地上部に出た後はすぐに変化スキルを使い、猫の姿に変化する。その状態のまま、近くにあった目的の家に向けて移動し、家の周辺を探った。
(流石は貴族の家だ。立派なもんだな。同じ貴族でもワルイーゾの家よりも立派だな。王都の貴族は一味違うぜ)
そこにあったのは二階建ての大きな屋敷だった。母屋から離れたところに作業小屋みたいなのもあるな。
まずは人気のある母屋の屋敷の方から探るとしよう。カニバルの家かどうか正確なところはわからないからな。なんせこの家がカニバルの手に渡ったのは十年以上も前の話というからな。売り払っていて誰か別人の手に渡っていてもおかしくはない。
「またあの人ったら離れに篭っているのね。毎日毎日飽きないわねぇ。しかも今日は朝食もいらないだなんて」
「しょうがないわよ。パパ、お仕事やってるんだもん。学校の校長先生として立派に働いてるんだから仕方ないよ」
「ティルは物分りが良くて可愛い娘ねぇ」
母屋には母と娘らしき人物が優雅にティータイムを過ごしていた。執事らしき人物の姿もあるな。金持ちの家って感じだ。
(状況から察して、カニバルの妻と娘ってところか。学校の校長というからには、間違いないな)
嫁も娘もかなりの美人であった。特に娘は、ハゲデブキモ親父(リオとパンシー評)の娘とは思えないくらい美人だな。母親の方の血が色濃く出たのだろう。遺伝子とはまったく不思議な存在だぜ。
(まあ御託はいい。ここはカニバルの家で間違いなさそうだな)
これで違う人の家だったら、格好つけといて一時撤退もやむなしという情けない事態になるところだった。カニバルが家を売り払わずに同じところに住み続けてくれていたおかげで助かったぜ。
(離れにいるって言ったか。あの作業小屋みたいなところで間違いなさそうだな)
ブレンダが捕らえられているとすれば、まずそこに違いない。俺は急ぎそちらに向かった。小屋の前で中の気配を探る。
(声が聞こえないな……いないのか?)
気配を探ってみるが、小屋の外からでは物音一つとして聞こえなかった。妙だと思った俺は、スキルを発動して念入りに調べることにした。
――スキル【獣の聴覚】発動。
聴覚が敏感になり、僅かな音でも拾えるようになる。小屋の真下辺りから、男の声と少女の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
「全ては君のお父上が悪いのだよ。恨むなら父上を恨んでくれたまえ」
「さっさと殺りなさいよ。うぅ……」
「そう怖がることはない。いつものこのお薬を使ってあげるから。そうすれば痛みなんか感じない。至極の快楽を味わったまま、あの世に旅立つことができるさ。さあ人生最後の交わりを楽しもうじゃないか。愛し合おうスイーツ」
「私はスイーツじゃない、ブレンダよ……」
「どっちだっていいさ」
カニバルとブレンダの声に間違いない。状況からしてかなり緊迫しているようだ。
(地下室か!)
俺は人間形態に変身すると、すぐに小屋の中に突入する。そして地下室へと向かった。
「――なっ、何だ貴様!?」
急いで現場に踏み込む。するとそこには、全裸で四肢を拘束されているブレンダと、鋭い出刃包丁を手にしたカニバルがいた。カニバルは俺の姿に気づくと、慌てふためいていた。
「おのれっ、見られたからにはっ! 死ねい!」
カニバルは包丁をこちらへと向けて襲い掛かってくる。まずは俺を始末することに決めたらしい。
――ボキリッ。
「な、なにぃい!? 素手で包丁を折るだと!? ひいいい! ば、化け物!」
俺は一瞬でカニバルの元に近づくと、手刀で包丁を叩き折った。そしてすかさず奴の鳩尾にパンチを叩き込んでやる。
「――がはっ」
パンチをくらったカニバルはドサリとその場に倒れた。
死んではいない。気絶させただけだ。カニバルは泡をぶくぶくと吐きながら意識を失っている。
「貴方は……ヨ……ミトさん……?」
カニバルを制圧して振り返る。そこには、哀れな一人の少女がいた。
「わ……たし……助かったの?」
汚濁に塗れていてその美貌が酷く翳っているが、ブレンダその人に間違いなかった。虚ろな眼でこちらを見ている。快活な村娘だった頃の面影は欠片もない。
(こいつはひでえや。ブレンダちゃん可哀想に)
まあ一ヶ月以上も変態に監禁されてたんだからそれもそうだな。命があっただけでも儲けものというやつだ。
「ああ。もう大丈夫だよ」
「そう……地獄がこれでやっと終わるのね。うぅ……あぁ」
ブレンダは安心したせいか、そのまま気を失った。
俺はそこらへんにあったタオルでブレンダの身体を拭ってやった。その上でスキル【洗浄】を発動し、風呂上りのように綺麗にしてあげる。
「とりあえずダンジョンに運ぶか」
部屋の一部分をダンジョン化させ、そこに仮の転移陣を設置する。その転移陣を使い、俺は気絶したブレンダとカニバルをダンジョンに運び入れたのであった。
地上部に出た後はすぐに変化スキルを使い、猫の姿に変化する。その状態のまま、近くにあった目的の家に向けて移動し、家の周辺を探った。
(流石は貴族の家だ。立派なもんだな。同じ貴族でもワルイーゾの家よりも立派だな。王都の貴族は一味違うぜ)
そこにあったのは二階建ての大きな屋敷だった。母屋から離れたところに作業小屋みたいなのもあるな。
まずは人気のある母屋の屋敷の方から探るとしよう。カニバルの家かどうか正確なところはわからないからな。なんせこの家がカニバルの手に渡ったのは十年以上も前の話というからな。売り払っていて誰か別人の手に渡っていてもおかしくはない。
「またあの人ったら離れに篭っているのね。毎日毎日飽きないわねぇ。しかも今日は朝食もいらないだなんて」
「しょうがないわよ。パパ、お仕事やってるんだもん。学校の校長先生として立派に働いてるんだから仕方ないよ」
「ティルは物分りが良くて可愛い娘ねぇ」
母屋には母と娘らしき人物が優雅にティータイムを過ごしていた。執事らしき人物の姿もあるな。金持ちの家って感じだ。
(状況から察して、カニバルの妻と娘ってところか。学校の校長というからには、間違いないな)
嫁も娘もかなりの美人であった。特に娘は、ハゲデブキモ親父(リオとパンシー評)の娘とは思えないくらい美人だな。母親の方の血が色濃く出たのだろう。遺伝子とはまったく不思議な存在だぜ。
(まあ御託はいい。ここはカニバルの家で間違いなさそうだな)
これで違う人の家だったら、格好つけといて一時撤退もやむなしという情けない事態になるところだった。カニバルが家を売り払わずに同じところに住み続けてくれていたおかげで助かったぜ。
(離れにいるって言ったか。あの作業小屋みたいなところで間違いなさそうだな)
ブレンダが捕らえられているとすれば、まずそこに違いない。俺は急ぎそちらに向かった。小屋の前で中の気配を探る。
(声が聞こえないな……いないのか?)
気配を探ってみるが、小屋の外からでは物音一つとして聞こえなかった。妙だと思った俺は、スキルを発動して念入りに調べることにした。
――スキル【獣の聴覚】発動。
聴覚が敏感になり、僅かな音でも拾えるようになる。小屋の真下辺りから、男の声と少女の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
「全ては君のお父上が悪いのだよ。恨むなら父上を恨んでくれたまえ」
「さっさと殺りなさいよ。うぅ……」
「そう怖がることはない。いつものこのお薬を使ってあげるから。そうすれば痛みなんか感じない。至極の快楽を味わったまま、あの世に旅立つことができるさ。さあ人生最後の交わりを楽しもうじゃないか。愛し合おうスイーツ」
「私はスイーツじゃない、ブレンダよ……」
「どっちだっていいさ」
カニバルとブレンダの声に間違いない。状況からしてかなり緊迫しているようだ。
(地下室か!)
俺は人間形態に変身すると、すぐに小屋の中に突入する。そして地下室へと向かった。
「――なっ、何だ貴様!?」
急いで現場に踏み込む。するとそこには、全裸で四肢を拘束されているブレンダと、鋭い出刃包丁を手にしたカニバルがいた。カニバルは俺の姿に気づくと、慌てふためいていた。
「おのれっ、見られたからにはっ! 死ねい!」
カニバルは包丁をこちらへと向けて襲い掛かってくる。まずは俺を始末することに決めたらしい。
――ボキリッ。
「な、なにぃい!? 素手で包丁を折るだと!? ひいいい! ば、化け物!」
俺は一瞬でカニバルの元に近づくと、手刀で包丁を叩き折った。そしてすかさず奴の鳩尾にパンチを叩き込んでやる。
「――がはっ」
パンチをくらったカニバルはドサリとその場に倒れた。
死んではいない。気絶させただけだ。カニバルは泡をぶくぶくと吐きながら意識を失っている。
「貴方は……ヨ……ミトさん……?」
カニバルを制圧して振り返る。そこには、哀れな一人の少女がいた。
「わ……たし……助かったの?」
汚濁に塗れていてその美貌が酷く翳っているが、ブレンダその人に間違いなかった。虚ろな眼でこちらを見ている。快活な村娘だった頃の面影は欠片もない。
(こいつはひでえや。ブレンダちゃん可哀想に)
まあ一ヶ月以上も変態に監禁されてたんだからそれもそうだな。命があっただけでも儲けものというやつだ。
「ああ。もう大丈夫だよ」
「そう……地獄がこれでやっと終わるのね。うぅ……あぁ」
ブレンダは安心したせいか、そのまま気を失った。
俺はそこらへんにあったタオルでブレンダの身体を拭ってやった。その上でスキル【洗浄】を発動し、風呂上りのように綺麗にしてあげる。
「とりあえずダンジョンに運ぶか」
部屋の一部分をダンジョン化させ、そこに仮の転移陣を設置する。その転移陣を使い、俺は気絶したブレンダとカニバルをダンジョンに運び入れたのであった。
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