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六章
港町イティーバ18/19(船上の戦い)
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「レイラとライトが中心になって皆をまとめてくれ。さあいけッ!」
「「はい!」」
タイミングを合わせ、レイラたちが森の方へと駆けていく。
魔道砲の嵐の中、レイラとライトが先陣を切り、続いてノビルとハヤ、さらに続いてカイリ、メリッサ、セイン、パープルが走り抜ける。
「さあて」
「私たちもいきましょうか」
レイラたちが森の方に退避したのに合わせ、俺とエリザはより海岸の方へと出る。スキル【海人】のおかげか、海に近づくほどパワーが迸るな。このスキルを習得させてくれたマリンには感謝だ。
「ギシャア!(馬鹿め!)
「シシャア!(囮になろうというのか!)」
さっきまで力の差に怯えていたマーマンたちであるが、魔道砲の援護があって勝利を確信したのか、勢いづく。すぐに黙らせてやろう。
「エリザ、吸血鬼形態になって一気にいくぞ。向かうはあの海上の船だ。所々浮いている小船を足場にして行こう」
「かしこまりましたわ」
スキル【跳躍】を発動して、一気に空へと飛び上がる。それと同時に吸血鬼本来の姿になり、空を滑空する。
「パープルがいないから、やっと全力で戦えるな」
「ふふそうですわね。さっさとこの鬱陶しい雑魚共を蹴散らしましょう」
上空からスキル【雷撃】を使い、海面に向かって雷魔法を放っていく。
「シシャアア!?(なんだ!?)」
「シャシャア!?(雷だと!?)」
マーマンにとって最大の弱点である雷。それを浴びたマーマンたちは、一斉に痺れて絶命していく。
「シャアシャアッ!?(こっちまで来たぞ!?)」
「アズナ――ブルッ!(当たらなければどうと――がはっ!)」
雷撃は小船の上に乗っているマーマンにまで波及し、彼らは痺れて海面に落ちていく。
ワンクッション置かれている分威力が弱まり、死んでいるやつとそうでないやつがいるようだ。だが戦闘不能に追い込めたようなので十分だ。
「さてと。もういっちょ」
「まだまだ終わりませんわよ」
俺たちは無人になった小船に着地し、そしてまたスキル【跳躍】を使って大空へと飛び上がる。そして同じことを繰り返してマーマンを屠り、無人の小船を経由して武装船に近づいていく。
「シャッシャア!?(こいつら悪魔!?)」
「シャアァア!(吸血鬼だ!)」
「シャシイイ!?(ひぃいいい!?)」
暗闇の空中を素早く移動する俺たちを相手に、魔道砲は狙いを定められていないようだ。無駄撃ちをしてマーマンの被害を増やすだけである。
砂浜を覆いつくすだけだったマーマンの死骸は、やがて海上にまで広がっていく。青い海がマーマンの血で染まっていく。
美しい光景だな。美味しそうな血の匂いも堪らない。ぞくぞくするぜ。
「エリザ、武装船三隻の内、まずは小さい方の二隻を沈めるぞ」
「かしこまりましたわ」
やがて武装船の元に辿り着く。大きな一隻に敵の指令が乗っていると判断し、残りの二隻を先に沈めることにした。
「飛びっきりの嵐をくらいな」
「大嵐ですわよ」
風魔法を使って船体にズタズタに亀裂を入れた後、水魔法による砲弾のような一撃をぶちかましていく。
「シッシャア!?(浸水しているぞ!?)」
「シーシャアア!(もう無理だ!)」
船体に次々に穴が開いていき、海水が入っていく。ダメージの限界を迎えた武装船はやがてゆっくりと沈んでいく。
そうして二隻を沈めることができた。
「さて敵将の面を拝みに行くとするか」
「ええそうしましょう」
残る一隻も船体が沈まない程度に攻撃を加え、魔道砲を無力化する。船上にいるマーマン兵を雷魔法で一掃し、俺たちは優雅に船に降り立った。
「ギシャアア!(撤退だ! 撤退しろ!)」
もう敵わないと思ったのだろう。生き残っている水兵マーマンたちが、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。船の奥に逃げる奴と、海に飛び込む奴の二パターンあるようだ。
逃げる兵たちの行き先のどっちか、あるいは両方に、敵ダンジョンに繋がる入口があるに違いない。
だから二手に分かれようかとも思ったが、ここで戦力を分けるのはリスクがあると思い、船内の敵だけに集中することにした。
「逃がすかよ」
「逃がしませんわ」
船内が血の匂いで充満していく。海上とは違って風がないので、濃厚な匂いだ。
返り血を浴びて血塗れになったエリザがとっても良い笑顔を浮かべている。きっと俺もそうなのだろう。
「貴様らっ、よくも!」
狩りを楽しんでいると、俺たちの行く手を阻むかのように新手が現れる。
「ここから先はいかせん! イカだけに!」
騎士のような雰囲気のある女型マーマンだ。下半身が魚の尾鰭ではなく、イカの触手である。マーマンの特殊個体、イカ型マーマンのようだ。
どうやら大将格のお出ましのようだな。
「これでもくらいなさい!」
イカ女は黒いドロドロとしたスライムのような液体を吐き出す。イカ墨のようだが、それよりも粘着力があって禍々しいものだ。
「きゃああ!?」
「エリザ!?」
俺はなんとか避けれたが、エリザが捕らわれてしまう。
「くぅ、目がぁっ!?」
黒いドロドロに捕らわれたエリザは身動きがとれなくなり、もがき苦しむ。
「死になさい!」
「させるか!」
イカ女は下半身から伸びた触手を使い、エリザの首を絞めようとしてくる。だが俺はそれを叩き切った。
「ぐっ!?」
ご自慢の触手をちょん切られたイカ女が痛みに呻く。
「エリザ大丈夫か?」
「助かりましたわご主人様」
その隙に、俺はスキル【洗浄】を連発して使い、エリザの身体についた汚濁を流してやった。
「この女、許しませんわ!」
「許さないのはこっちだ! よくも仲間を!」
復活したエリザは激オコだ。ぶちギレてマーマンに突進していく。
激しく切り結び、お互いの武器がぶっ壊れた後は、勢いそのままに素手でボコボコに殴り合う。
「女の子は女の子同士で遊ばせてあげよう」
女同士の激しい争いが繰り広げられる中、俺はイカ女の側仕えの騎士っぽい奴らを倒していく。こちらは普通のマーマンよりちょっと強いくらいで、大したことなかった。
やはりあのイカ女が別格なようだ。もしかしたら敵マスターのサポートキャラかもしれんな。
「ひぐぅっ、がはぁッ!」
「ほらほら、さっきの威勢の良さはどうしましたんですの!」
しばし互角の戦いを繰り広げていたのでヒヤッとしたものの、素のステータスではエリザの方が上回っていたようだ。
「ぐふぅっ!」
槍がへし折れ、盾が破け、指輪が壊れ、貝殻ブラが弾け飛ぶ――身に着けていた装備品が負荷に耐え切れず壊れると、イカ女は見るからに弱体化して動きが悪くなった。もうエリザに一方的にボコられるだけとなった。
半裸で嬲られるイカ女。敗者とはなんとも惨めだね。勝負あったかな。
「エリザ。お遊びはそこらへんで」
「ええこのまま仕留めて差し上げますわ」
「があぁああ……」
エリザはノックダウンしたマーマンの首を締め上げると、そのまま絶命させた。
「はぁはぁ、鬱陶しい敵でしたわ」
「うん。なかなかやる相手だったねこのイカ女」
このイカ女、他のマーマンよりかなり強かった。俺とエリザの二人がかりなのでわりとあっけなく討ち取れたが、他と比べると異常な強さだった。墨を吐く変わった攻撃もしてきたしな。人語も喋っていたし。
もしかしたらサポートキャラかもしれないので、魔石を確保しておくことにした。
死体のお尻付け根から魔石を剥ぎ取る。ついでに千切れてる触手にがぶりと齧り付き、吸血もしておく。
――スキル【吸血】発動。経験値獲得。
――初めての対象であるのでボーナスを獲得。
――スキル【墨吐】を獲得。
墨吐:墨を吐いて攻撃する。視界と動きを阻害する追加効果がある。
新しいスキルが手に入った。さっきエリザがくらっていたイカ墨みたいな攻撃が使えるようになるスキルっぽい。
使いどころが限られるが、悪くはないスキルだな。非殺傷の捕縛攻撃として使えそうだし、相手の動きを邪魔するのにも使えそうだからな。
ふふ、また強くなってしまったぜ。
「さてと、捜索の続きだ」
「ええ」
イカ女を倒した後、船内の捜索を再開する。すると船室の奥に転移陣を発見した。
「お、転移陣だ。ここがダンジョンの入口と見て間違いないな――あ、消えた」
隣の船室を探っていたエリザを呼んでこのまま飛び込んでいこうかと迷った刹那、転移陣は消失していく。
「転移陣を消したか。判断が早いな」
おそらく撤退した先でメニューを開いてダンジョン作成機能を使い、転移陣を消したんだろう。
「エリザ、そっちはどうだ?」
「ご主人様! 転移陣を発見しましたわ!」
「お、本当か!」
隣の船室を確認していたエリザも転移陣を発見したようだ。慌ててそちらへと向かう。
「あら、ありませんわ。さっきまで確かにここにあったのですが……」
「そうか一足遅かったか。ここにあった転移陣も消したんだろうな」
エリザが発見した転移陣もすぐさま消されてしまった。判断が早い。なかなか手ごわい敵のようだ。
「この船にこれ以上の成果はないな。島に戻ろう」
「ええそうですわね」
船内をくまなく探したが、これ以上の成果はなかった。撤退しよう。
「何か海賊になった気分だな」
「お宝いっぱいで嬉しいですわ」
船内から目ぼしいものを回収して小船にこれでもかと積み上げ、それから脱出する。先ほどまでいた武装船には魔法を放って沈めておく。
残念ながらダンジョンマスターを討つまでには至らなかった。だが武装船三隻を沈め、幾百のマーマンを討ち、サポートキャラと思われるイカ女を討ってその魔石を手に入れたんだ。
相手にかなりの打撃を与えられたに違いない。成果としては十分すぎるだろう。
「マーマンの血は微妙だね。あのイカ女の血は美味かったけどさ」
「そうですわね。ゴブリンよりかはちょっとだけ美味しいですけど、全体的に微妙ですわ」
俺たちは小船を漕ぎ、時折海上に浮かぶマーマンの死体から血をつまみ食いして栄養補給しつつ、島へと帰還したのであった。
「「はい!」」
タイミングを合わせ、レイラたちが森の方へと駆けていく。
魔道砲の嵐の中、レイラとライトが先陣を切り、続いてノビルとハヤ、さらに続いてカイリ、メリッサ、セイン、パープルが走り抜ける。
「さあて」
「私たちもいきましょうか」
レイラたちが森の方に退避したのに合わせ、俺とエリザはより海岸の方へと出る。スキル【海人】のおかげか、海に近づくほどパワーが迸るな。このスキルを習得させてくれたマリンには感謝だ。
「ギシャア!(馬鹿め!)
「シシャア!(囮になろうというのか!)」
さっきまで力の差に怯えていたマーマンたちであるが、魔道砲の援護があって勝利を確信したのか、勢いづく。すぐに黙らせてやろう。
「エリザ、吸血鬼形態になって一気にいくぞ。向かうはあの海上の船だ。所々浮いている小船を足場にして行こう」
「かしこまりましたわ」
スキル【跳躍】を発動して、一気に空へと飛び上がる。それと同時に吸血鬼本来の姿になり、空を滑空する。
「パープルがいないから、やっと全力で戦えるな」
「ふふそうですわね。さっさとこの鬱陶しい雑魚共を蹴散らしましょう」
上空からスキル【雷撃】を使い、海面に向かって雷魔法を放っていく。
「シシャアア!?(なんだ!?)」
「シャシャア!?(雷だと!?)」
マーマンにとって最大の弱点である雷。それを浴びたマーマンたちは、一斉に痺れて絶命していく。
「シャアシャアッ!?(こっちまで来たぞ!?)」
「アズナ――ブルッ!(当たらなければどうと――がはっ!)」
雷撃は小船の上に乗っているマーマンにまで波及し、彼らは痺れて海面に落ちていく。
ワンクッション置かれている分威力が弱まり、死んでいるやつとそうでないやつがいるようだ。だが戦闘不能に追い込めたようなので十分だ。
「さてと。もういっちょ」
「まだまだ終わりませんわよ」
俺たちは無人になった小船に着地し、そしてまたスキル【跳躍】を使って大空へと飛び上がる。そして同じことを繰り返してマーマンを屠り、無人の小船を経由して武装船に近づいていく。
「シャッシャア!?(こいつら悪魔!?)」
「シャアァア!(吸血鬼だ!)」
「シャシイイ!?(ひぃいいい!?)」
暗闇の空中を素早く移動する俺たちを相手に、魔道砲は狙いを定められていないようだ。無駄撃ちをしてマーマンの被害を増やすだけである。
砂浜を覆いつくすだけだったマーマンの死骸は、やがて海上にまで広がっていく。青い海がマーマンの血で染まっていく。
美しい光景だな。美味しそうな血の匂いも堪らない。ぞくぞくするぜ。
「エリザ、武装船三隻の内、まずは小さい方の二隻を沈めるぞ」
「かしこまりましたわ」
やがて武装船の元に辿り着く。大きな一隻に敵の指令が乗っていると判断し、残りの二隻を先に沈めることにした。
「飛びっきりの嵐をくらいな」
「大嵐ですわよ」
風魔法を使って船体にズタズタに亀裂を入れた後、水魔法による砲弾のような一撃をぶちかましていく。
「シッシャア!?(浸水しているぞ!?)」
「シーシャアア!(もう無理だ!)」
船体に次々に穴が開いていき、海水が入っていく。ダメージの限界を迎えた武装船はやがてゆっくりと沈んでいく。
そうして二隻を沈めることができた。
「さて敵将の面を拝みに行くとするか」
「ええそうしましょう」
残る一隻も船体が沈まない程度に攻撃を加え、魔道砲を無力化する。船上にいるマーマン兵を雷魔法で一掃し、俺たちは優雅に船に降り立った。
「ギシャアア!(撤退だ! 撤退しろ!)」
もう敵わないと思ったのだろう。生き残っている水兵マーマンたちが、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。船の奥に逃げる奴と、海に飛び込む奴の二パターンあるようだ。
逃げる兵たちの行き先のどっちか、あるいは両方に、敵ダンジョンに繋がる入口があるに違いない。
だから二手に分かれようかとも思ったが、ここで戦力を分けるのはリスクがあると思い、船内の敵だけに集中することにした。
「逃がすかよ」
「逃がしませんわ」
船内が血の匂いで充満していく。海上とは違って風がないので、濃厚な匂いだ。
返り血を浴びて血塗れになったエリザがとっても良い笑顔を浮かべている。きっと俺もそうなのだろう。
「貴様らっ、よくも!」
狩りを楽しんでいると、俺たちの行く手を阻むかのように新手が現れる。
「ここから先はいかせん! イカだけに!」
騎士のような雰囲気のある女型マーマンだ。下半身が魚の尾鰭ではなく、イカの触手である。マーマンの特殊個体、イカ型マーマンのようだ。
どうやら大将格のお出ましのようだな。
「これでもくらいなさい!」
イカ女は黒いドロドロとしたスライムのような液体を吐き出す。イカ墨のようだが、それよりも粘着力があって禍々しいものだ。
「きゃああ!?」
「エリザ!?」
俺はなんとか避けれたが、エリザが捕らわれてしまう。
「くぅ、目がぁっ!?」
黒いドロドロに捕らわれたエリザは身動きがとれなくなり、もがき苦しむ。
「死になさい!」
「させるか!」
イカ女は下半身から伸びた触手を使い、エリザの首を絞めようとしてくる。だが俺はそれを叩き切った。
「ぐっ!?」
ご自慢の触手をちょん切られたイカ女が痛みに呻く。
「エリザ大丈夫か?」
「助かりましたわご主人様」
その隙に、俺はスキル【洗浄】を連発して使い、エリザの身体についた汚濁を流してやった。
「この女、許しませんわ!」
「許さないのはこっちだ! よくも仲間を!」
復活したエリザは激オコだ。ぶちギレてマーマンに突進していく。
激しく切り結び、お互いの武器がぶっ壊れた後は、勢いそのままに素手でボコボコに殴り合う。
「女の子は女の子同士で遊ばせてあげよう」
女同士の激しい争いが繰り広げられる中、俺はイカ女の側仕えの騎士っぽい奴らを倒していく。こちらは普通のマーマンよりちょっと強いくらいで、大したことなかった。
やはりあのイカ女が別格なようだ。もしかしたら敵マスターのサポートキャラかもしれんな。
「ひぐぅっ、がはぁッ!」
「ほらほら、さっきの威勢の良さはどうしましたんですの!」
しばし互角の戦いを繰り広げていたのでヒヤッとしたものの、素のステータスではエリザの方が上回っていたようだ。
「ぐふぅっ!」
槍がへし折れ、盾が破け、指輪が壊れ、貝殻ブラが弾け飛ぶ――身に着けていた装備品が負荷に耐え切れず壊れると、イカ女は見るからに弱体化して動きが悪くなった。もうエリザに一方的にボコられるだけとなった。
半裸で嬲られるイカ女。敗者とはなんとも惨めだね。勝負あったかな。
「エリザ。お遊びはそこらへんで」
「ええこのまま仕留めて差し上げますわ」
「があぁああ……」
エリザはノックダウンしたマーマンの首を締め上げると、そのまま絶命させた。
「はぁはぁ、鬱陶しい敵でしたわ」
「うん。なかなかやる相手だったねこのイカ女」
このイカ女、他のマーマンよりかなり強かった。俺とエリザの二人がかりなのでわりとあっけなく討ち取れたが、他と比べると異常な強さだった。墨を吐く変わった攻撃もしてきたしな。人語も喋っていたし。
もしかしたらサポートキャラかもしれないので、魔石を確保しておくことにした。
死体のお尻付け根から魔石を剥ぎ取る。ついでに千切れてる触手にがぶりと齧り付き、吸血もしておく。
――スキル【吸血】発動。経験値獲得。
――初めての対象であるのでボーナスを獲得。
――スキル【墨吐】を獲得。
墨吐:墨を吐いて攻撃する。視界と動きを阻害する追加効果がある。
新しいスキルが手に入った。さっきエリザがくらっていたイカ墨みたいな攻撃が使えるようになるスキルっぽい。
使いどころが限られるが、悪くはないスキルだな。非殺傷の捕縛攻撃として使えそうだし、相手の動きを邪魔するのにも使えそうだからな。
ふふ、また強くなってしまったぜ。
「さてと、捜索の続きだ」
「ええ」
イカ女を倒した後、船内の捜索を再開する。すると船室の奥に転移陣を発見した。
「お、転移陣だ。ここがダンジョンの入口と見て間違いないな――あ、消えた」
隣の船室を探っていたエリザを呼んでこのまま飛び込んでいこうかと迷った刹那、転移陣は消失していく。
「転移陣を消したか。判断が早いな」
おそらく撤退した先でメニューを開いてダンジョン作成機能を使い、転移陣を消したんだろう。
「エリザ、そっちはどうだ?」
「ご主人様! 転移陣を発見しましたわ!」
「お、本当か!」
隣の船室を確認していたエリザも転移陣を発見したようだ。慌ててそちらへと向かう。
「あら、ありませんわ。さっきまで確かにここにあったのですが……」
「そうか一足遅かったか。ここにあった転移陣も消したんだろうな」
エリザが発見した転移陣もすぐさま消されてしまった。判断が早い。なかなか手ごわい敵のようだ。
「この船にこれ以上の成果はないな。島に戻ろう」
「ええそうですわね」
船内をくまなく探したが、これ以上の成果はなかった。撤退しよう。
「何か海賊になった気分だな」
「お宝いっぱいで嬉しいですわ」
船内から目ぼしいものを回収して小船にこれでもかと積み上げ、それから脱出する。先ほどまでいた武装船には魔法を放って沈めておく。
残念ながらダンジョンマスターを討つまでには至らなかった。だが武装船三隻を沈め、幾百のマーマンを討ち、サポートキャラと思われるイカ女を討ってその魔石を手に入れたんだ。
相手にかなりの打撃を与えられたに違いない。成果としては十分すぎるだろう。
「マーマンの血は微妙だね。あのイカ女の血は美味かったけどさ」
「そうですわね。ゴブリンよりかはちょっとだけ美味しいですけど、全体的に微妙ですわ」
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