吸血鬼のお宿~異世界転生して吸血鬼のダンジョンマスターになった男が宿屋運営する話~

夜光虫

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六章

宿泊者名簿No.19 転生者マミヤ3/7(裏切り)

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「やりましたね間宮先輩!」
「ああ今日は宴だな。吹、僕のダンジョンに遊びに来いよ。新しい施設を最近作ったんだ。どうか見ていってくれ」
「はい! 先輩のダンジョンはいつも参考になります! 是非見せてください!」

 いつしか僕は彼女のことを吹と名前で呼ぶようになった。それくらい親しい仲となった。

 無人島に二人だけでいる。前世のように会う時間に制約があるわけではない。二十四時間いつだって会うことができる。仲も良くなるというものである。

 自分で言うのもなんだが、僕はイケメンだ。超絶イケメンだ。内心は下衆な野郎なものの、傍目から見れば好青年の優等生。

 世間の目というものがないこの状況下において、普通の手段でも彼女をものにしようと思えばできる確信はあった。だがそれでは僕は満足できなかった。

(彼女を完全に僕のものにしたいな……)

 絶対に裏切らない忠臣が欲しい。絶対に裏切らない奴隷が欲しい。

 それは元の世界では決して叶わない願いだ。だがこの世界では叶えることができる。ダンジョンマスターとしての力を使えば、叶えることができるのだ。

「お口に合うかわからないけども。紅茶で良かったかな?」
「わぁ、ありがとうございます先輩!」

 自分のダンジョンに呼び寄せた彼女に、僕は紅茶に睡眠薬ポーションを仕込んで摂取させた。

「あっ、あれ、何だか気が遠く……」

 倒れ込んだ彼女を地下室へと運び込んで逃げられないように監禁する。そして彼女を眠らせている間、僕は迅速に行動を起こした。

 彼女のダンジョンに攻め込んだのだ。

「ぐあっ、何故っ、何故なのですっ、マミヤ殿……ぐっ」
「彼女を完全に僕のものとするためだよ。彼女の持つ基盤を破壊し、僕から逃げられないようにする。裏切らない絶対の駒とするためさ。同盟関係では、ちょっと満足できなくてね」
「そんな、スイ様は貴方のことを心から……くっ、ス、スイ様……も、申し訳ありませ……ん……」
「僕のハーレムに男は不要だよ。さっさと死んで僕の経験値となってくれ給え。死んで女に生まれ変わったら、僕のハーレムに加わるといいさ!」
「ぐはっ……む、無念」

 僕は彼女のサポートキャラであるハーヴという男マーマンを真っ先に殺すと、そのまま彼女の手下の全てを討ち取っていった。

「ここにある全ての物資を僕のダンジョンに運び入れるのだ。死骸もだ。死骸はスライムの餌にでもしておけ」
「はっ」

 彼女のダンジョンを完全制圧。それから手下たちに命じて、彼女のダンジョンにある全ての財産を根こそぎ頂いていった。

(ふふ、これで彼女はもう僕に従うしかなくなる)

 全ての作戦目標を完了し、僕は自分のダンジョンに戻った。

「んんぅ、ん!?」
「やあ吹。お目覚めかな?」
「あれ間宮先輩? えっ!?」

 彼女は目覚めると自身の置かれている状況に困惑していた。目覚めたら拘束具が装着されているのだから、それも当然だろう。

「ちょっと先輩、悪い冗談はよしてくださいよ!」

 彼女はこの期に及んで何かの冗談だと思ったらしく、困ったようにはにかんでいた。

 そんな彼女に、僕は絶望を叩きつけてやることにした。

「吹。メニューを開いてダンジョンログを確認してごらん」
「え?」
「いいから確認してごらん」
「いったい何が――――っ!?」

 吹は自らのダンジョンログを確認すると、驚愕に目を見開いていた。

「ハーヴが死亡……ハーヴだけじゃなくてその他の子たちも……そんな……いったい誰がこんな酷いことを!? まさか!?」
「お察しの通りさ。君のダンジョンの構成員は君を残して全て死んだ。ダンジョン内施設も全て破壊させてもらったよ。つまり君のダンジョンは滅んだも同然ということさ。ダンジョンマスターである君自身を除いて全滅というわけだ」

 事実を突きつけてやると、彼女はえらく狼狽した様子だった。

「何で!? 何でそんな酷いことをっ!」
「何故? そんなの決まっているだろう、君をこうして僕のものにするためさッ!」
「えっ、きゃあああッ!?」

 僕は彼女の上に無理やり圧し掛かっていった。

「先輩!? 何してるんですか!? やめてくださいッ!」

 僕は野獣と化して彼女を襲う。

 暴れる彼女だが拘束具に捕らえられていては何もできない。抵抗も空しく僕になされるがままだった。

「ずっとこうしてやりたかった。君の全てを! この僕の手に!」
「いやっ、どうしてこんなことぉっ、やめてぇえッ!」
「君だって僕に心を寄せていただろう? ならいいじゃないかッ!」
「だからってそんなのっ、こんなのってない!」
「君は僕のものにすると決めたんだ。元の世界では無理だっただろうけど、この世界ならできる! 君を絶対従順な奴隷へと変えることができるんだよ! この世界ならね!」
「いやぁあ! やめてぇえええッ!」

 前世で触れたくても触れられなかった彼女の身体を蹂躙する。

「魚の下半身なのが残念だよ。だがスキル【変化】を使えば人間の下半身になれるはずだね。さあスキルを使うんだ吹!」
「いや! そんなの嫌ッ!」
「無駄な抵抗はよせ。これでも飲んでいろ」
「んんっ、ぐえぅっ」

 僕はとどめとばかりに暴れる彼女の口に混乱ポーションを捻じ込んだ。

 メニューの“ショップ”で購入した一品だ。少なくないDMがかかってしまったが、彼女をものにするためには必要経費というものだ。

「君は僕の歌うアカペラ曲が好きだったね。この世界でも存分に聞かせてあげるさ。マ~ミ~ヤ~♪♪」
「っ!?」

 意識が朦朧とするスイに向けて歌を歌う。歌に乗せてスキルを発動する。【幻唱】というスキルだ。

 これは歌を介して対象に干渉することができる催眠術の一種だ。このスキルを使えば対象を魅了することができる。上手くやれば対象を操ることだって可能だ。今までに野生のマーマン相手にずっと試していたので間違いない。

 ダンジョンマスター相手に通じるかは疑問だったが、実力差が大きかったようで、問題なく通じた。

「吹、人間になれ。下半身を前世の君のものと同じにするんだ」
「……はい」
「そうだ。いい子だ」

 変化魔法を使い、彼女は完全なる人間の姿となった。人魚ではない、前世の彼女そのものの姿だ。

「私、百螺吹は、間宮先輩に全てを捧げます」

 幻術に囚われた彼女は、虚ろな目でそう宣言する。蕩けた表情で言う彼女を見て、僕はもう我慢なんてできなかった。

 それからは言うまでもない。僕は彼女の全てを蹂躙した。

 フリーダムなこの世界では何も恐れる必要はない。不純異性交遊、犯罪行為――全部許される。中世未満の野蛮な社会システムであるこの世界では許されるのだ!

「――はぁはぁ、あの馬鹿面を晒していた同級生の気持ちがッ、今ならわかるぞぉッ!」

 もはや名前も忘れて顔だけしか覚えていない前世の馬鹿クラスメイト。「週末カノジョとパコる」が口癖だったアイツ。

 あのゴミの気持ちが今ならわかる。こんな気持ちいいことなら、週末だけじゃなく毎日経験したっていい!

「パコパコ最高だッ! おぅふっぅぅうッ~~! 異世界転生パコパコライフ最高だぁああッ!」

 僕は歓喜の雄叫びを上げながら、彼女を蹂躙する。

 エリートにありまじき下品な言葉遣いだが、構いやしない。異世界は自由なのだから。前の世界のように何かに囚われる必要はないのだ。

「パコってパコるぜえッ! パコりまくるぜええッ! ひゃっほぉおおおッ!」

 僕は前世の鬱憤を全て吐き出すかのように、かつての可愛い後輩を蹂躙し、気狂ったように叫び続けたのであった。
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