渡る世間は♂(オス)ばかり

いつも唐揚げ定食です。

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デキる先輩はちょっと可愛い No.2

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 富樫とソファに並んで腰掛け、芸人が司会をやっているバラエティ番組を眺めていると、富樫がゴクリとビールを飲み下す音が聞こえた。僕の視線を感じたのか、富樫は僕をちらりと見た。一瞬の視線の交錯が、電流のように僕の体を貫いた。脳天から股間に抜けるような瞬間的な衝撃に、酔いも重なり僕はくらりとした。いや、実際に体がふらついたかもしれなかった。

「大丈夫か?お前」

富樫が落ち着いた低い声で心配そうに聞いてきた。僕は大丈夫ですと答え、目の前のビールに口をつけた。テレビからは、甲高い出演者たちの笑いが聞こえてきた。

「最近のテレビってこんなのばっかりなのな」

「そうですね」

「相沢は普段家で何してるのよ?」

「寝たり、スマホいじったりしてます」

僕から何を聞き出したいのか分からないが、彼は当り障りのない問題を繰り返した。時間を繋いでいるような質問に、僕は少しだけイライラするような感情を抱くようになった。

「……お前、この前のこと怒ってるのか?」

富樫が声のトーンを変えた。自信家の彼にしては、情けないような声色に、僕はどきっとした。ふと富樫のほうを見ると、悲しそうな顔をしている彼がいた。彼の言う「この前のこと」とは、僕の人生で何度か経験してきている類のことであった。

 


 一か月前。会社の有志の飲み会の後の出来事であった。

 僕は酒が過ぎて、富樫の世話になってしまっていた。今となっては全くもって不覚を取った以外の何物でもなかったのだが、その時は体がふらふらで、富樫の親切心に甘えてしまったというのも否定できなかった。そして、やはり富樫は営業部のエースであったし、社員からの信頼も厚い人物であったというのも、僕を油断させた。

「相沢……、あい、ざわ……」

ぼんやりとする意識がだんだんとはっきりしていく中で、僕はいくつかの事実を知ることとなった。

一つは、僕の下半身がパンツ一枚になっていたこと。

二つ目は、富樫がパンツ越しに僕の陰部に顔を擦りつけていたこと。

そして三つ目は、彼が下半身裸になり、怒張した陰茎を手で扱いていたことであった。

あまりに頭痛がひどく、そして体も言うことを聞かなかったため、すぐに僕は手足を起動することはできず、富樫のされるがままになっていたが、いろいろ腰のあたりに彼の手が伸び、パンツを脱がそうとする動きに入ったため、僕は「先輩やめて!」とありったけの声で叫んだのだった。

 その後のことは、正直あまりはっきりと覚えてはいない。いや、視覚も聴覚もしっかりしていたから、実際はシーンを全て捉えていたはずだった。しかし、僕の脳みそからはその当時の数分の記憶が消えている。うなだれた富樫を見ながら、僕は急いで服を着て彼のマンションを出たのだった。

 家に帰ってから、僕はシャワーを念入りに浴びた。熱い湯が、身にまとわりついた何かを洗い流してくれるような気がした。

 それでも富樫が僕の腰に回した手の感覚が、いつまでも残っているように感じた。

 シャワーの音だけが聴覚を支配する世界。そんな中、僕の下腹部には血流が集中し、僕自身が屹立していくのが分かった。

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