2 / 4
デキる先輩はちょっと可愛い No.2
しおりを挟む
富樫とソファに並んで腰掛け、芸人が司会をやっているバラエティ番組を眺めていると、富樫がゴクリとビールを飲み下す音が聞こえた。僕の視線を感じたのか、富樫は僕をちらりと見た。一瞬の視線の交錯が、電流のように僕の体を貫いた。脳天から股間に抜けるような瞬間的な衝撃に、酔いも重なり僕はくらりとした。いや、実際に体がふらついたかもしれなかった。
「大丈夫か?お前」
富樫が落ち着いた低い声で心配そうに聞いてきた。僕は大丈夫ですと答え、目の前のビールに口をつけた。テレビからは、甲高い出演者たちの笑いが聞こえてきた。
「最近のテレビってこんなのばっかりなのな」
「そうですね」
「相沢は普段家で何してるのよ?」
「寝たり、スマホいじったりしてます」
僕から何を聞き出したいのか分からないが、彼は当り障りのない問題を繰り返した。時間を繋いでいるような質問に、僕は少しだけイライラするような感情を抱くようになった。
「……お前、この前のこと怒ってるのか?」
富樫が声のトーンを変えた。自信家の彼にしては、情けないような声色に、僕はどきっとした。ふと富樫のほうを見ると、悲しそうな顔をしている彼がいた。彼の言う「この前のこと」とは、僕の人生で何度か経験してきている類のことであった。
一か月前。会社の有志の飲み会の後の出来事であった。
僕は酒が過ぎて、富樫の世話になってしまっていた。今となっては全くもって不覚を取った以外の何物でもなかったのだが、その時は体がふらふらで、富樫の親切心に甘えてしまったというのも否定できなかった。そして、やはり富樫は営業部のエースであったし、社員からの信頼も厚い人物であったというのも、僕を油断させた。
「相沢……、あい、ざわ……」
ぼんやりとする意識がだんだんとはっきりしていく中で、僕はいくつかの事実を知ることとなった。
一つは、僕の下半身がパンツ一枚になっていたこと。
二つ目は、富樫がパンツ越しに僕の陰部に顔を擦りつけていたこと。
そして三つ目は、彼が下半身裸になり、怒張した陰茎を手で扱いていたことであった。
あまりに頭痛がひどく、そして体も言うことを聞かなかったため、すぐに僕は手足を起動することはできず、富樫のされるがままになっていたが、いろいろ腰のあたりに彼の手が伸び、パンツを脱がそうとする動きに入ったため、僕は「先輩やめて!」とありったけの声で叫んだのだった。
その後のことは、正直あまりはっきりと覚えてはいない。いや、視覚も聴覚もしっかりしていたから、実際はシーンを全て捉えていたはずだった。しかし、僕の脳みそからはその当時の数分の記憶が消えている。うなだれた富樫を見ながら、僕は急いで服を着て彼のマンションを出たのだった。
家に帰ってから、僕はシャワーを念入りに浴びた。熱い湯が、身にまとわりついた何かを洗い流してくれるような気がした。
それでも富樫が僕の腰に回した手の感覚が、いつまでも残っているように感じた。
シャワーの音だけが聴覚を支配する世界。そんな中、僕の下腹部には血流が集中し、僕自身が屹立していくのが分かった。
「大丈夫か?お前」
富樫が落ち着いた低い声で心配そうに聞いてきた。僕は大丈夫ですと答え、目の前のビールに口をつけた。テレビからは、甲高い出演者たちの笑いが聞こえてきた。
「最近のテレビってこんなのばっかりなのな」
「そうですね」
「相沢は普段家で何してるのよ?」
「寝たり、スマホいじったりしてます」
僕から何を聞き出したいのか分からないが、彼は当り障りのない問題を繰り返した。時間を繋いでいるような質問に、僕は少しだけイライラするような感情を抱くようになった。
「……お前、この前のこと怒ってるのか?」
富樫が声のトーンを変えた。自信家の彼にしては、情けないような声色に、僕はどきっとした。ふと富樫のほうを見ると、悲しそうな顔をしている彼がいた。彼の言う「この前のこと」とは、僕の人生で何度か経験してきている類のことであった。
一か月前。会社の有志の飲み会の後の出来事であった。
僕は酒が過ぎて、富樫の世話になってしまっていた。今となっては全くもって不覚を取った以外の何物でもなかったのだが、その時は体がふらふらで、富樫の親切心に甘えてしまったというのも否定できなかった。そして、やはり富樫は営業部のエースであったし、社員からの信頼も厚い人物であったというのも、僕を油断させた。
「相沢……、あい、ざわ……」
ぼんやりとする意識がだんだんとはっきりしていく中で、僕はいくつかの事実を知ることとなった。
一つは、僕の下半身がパンツ一枚になっていたこと。
二つ目は、富樫がパンツ越しに僕の陰部に顔を擦りつけていたこと。
そして三つ目は、彼が下半身裸になり、怒張した陰茎を手で扱いていたことであった。
あまりに頭痛がひどく、そして体も言うことを聞かなかったため、すぐに僕は手足を起動することはできず、富樫のされるがままになっていたが、いろいろ腰のあたりに彼の手が伸び、パンツを脱がそうとする動きに入ったため、僕は「先輩やめて!」とありったけの声で叫んだのだった。
その後のことは、正直あまりはっきりと覚えてはいない。いや、視覚も聴覚もしっかりしていたから、実際はシーンを全て捉えていたはずだった。しかし、僕の脳みそからはその当時の数分の記憶が消えている。うなだれた富樫を見ながら、僕は急いで服を着て彼のマンションを出たのだった。
家に帰ってから、僕はシャワーを念入りに浴びた。熱い湯が、身にまとわりついた何かを洗い流してくれるような気がした。
それでも富樫が僕の腰に回した手の感覚が、いつまでも残っているように感じた。
シャワーの音だけが聴覚を支配する世界。そんな中、僕の下腹部には血流が集中し、僕自身が屹立していくのが分かった。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【BL】俺様な先輩と下僕なぼく
久遠院 純
BL
俺様なイケメンベストセラー作家な先輩×下僕な平凡童顔刑事
事件が起きると僕は先輩に意見を聞きに行く。
ある日、事件が解決した事を先輩に報告に言ったら何故か押し倒されて⋯⋯?
他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる