社長の奴隷

星野しずく

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社長の奴隷.10

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「今度遊びに行ってもいいですか?」

「ええっ?何で」

「駄目ですか・・・」

「いや、まだ今日初めて会ったばかりですし」

「そうですか・・・、駄目ですか・・・」



 妙に残念そうに言われると、まるで自分が悪者にでもなった様な気持ちになる。

「か・・・、考えておきます」

「本当ですか!よいお返事待ってます」

 信楽はこのオフィスに入って初めてささやかながら笑顔を見せた。

 か、可愛いな・・・、信楽君。

 美緒は、年上のハイスペックな男性にそんな感情を持つのは失礼だと思いつつも、素直にそう思ってしまうのだから仕方なかった。



「おやおや、何だか賑やかだね」

 いつの間にか外から帰ってきていた寛成が、声を掛けてきた。

「社長、お帰りなさい」

「やっぱり体の触れ合いは、距離を縮めるのには最適だな。うん、いい傾向だ」

 寛成は何やら満足げにうなずいていた。



「信楽君はハピネスのウェブサイトを見て、男性用のサイトのデザインを考えてくれるかな」

「はい、分かりました」

 信楽君は、ウェブデザインの知識があるらしく、男性用商品の試作品要員であると同時に、サイトのデザインの仕事を任されるらしい。

 でも、あの綺麗な体だと、男性用下着のモデルとしても十分いけるのでは・・・などと、不埒なことを考えてしまう。



 かく言う美緒も、オツムの方は自慢できないけれど、スタイルだけは自信があった。

 胸は形の良いCカップ、肉付きも形も良いおしりは、学生時代に体操部にいたおかげだ。

 そのおかげで、寛成の厳しい審査を通過できたといっても過言ではない。

 残念ながら顔の方は、見ていられない程のブスでもなければ、道行く人が振り返る程の美人でもない。

 ごく平凡な造りだ。

 ただ、セクシーランジェリーの写真撮影で、顔は映さない。

 だから、言ってみれば顔はブスでもかまわない。

 カラダさえ綺麗ならそれでOKなのだ。



「藤巻君は昼から写真撮影だからね。確か、新しいのがそこの段ボール箱に入ってるから出しておいてくれるかな」

「はい、分かりました」

 美緒はオフィスの入り口のところに置いてある段ボール箱を開けると、撮影用の新しいランジェリーを取り出した。

「じゃあ、最初はこれね」

 寛成に手渡されたランジェリーを持って、美緒はロッカールームに入った。

 一応そこが着替えるための部屋になっている。



「しゃ、社長、これ・・・、おっぱい見えちゃってるんですけど・・・」

 美緒は両手で胸を隠しながらロッカールームを出てきた。

「うん、大胆なデザインだろう?」

 そういうことを言ってるんじゃないんですけど・・・。



「ポーズはどんなのがいいかな」

「それは、やはり両手を上にあげて胸を突き出すのがいいと思いますね」

「きゃあ!!」

 美緒は咄嗟に胸を隠してその場にうずくまった。

 パソコンに向かって仕事をしているはずの信楽君が突然パーテーション越しに声を掛けてきたのだ。
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