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御曹司のやんごとなき恋愛事情.12
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「どういうことだよ」
「彼女はお前も知ってのとおり優秀だ。うちに来てもらった当時はお前の教育に専念してもらうこと、そして十年くらいでその役目は終わるだろうから、その後は我が社でそれなりのポストに就いてもらう約束になっていた」
「だけど、何でそれを俺に言わないんだよ」
「さあな・・・。お前に言ってもただ面倒が増えると思ったんじゃないか。どのみち決まってることだから、お前が何と言おうと関係ないんだが・・・。まあ、彼女もお前のお守りにもいい加減疲れたんだろう」
親子だから全く遠慮がない。
自分の甘ちゃんなところを指摘され、返す言葉がない。
「まあそれは冗談だ。彼女もお前が一人前になったと判断したんだから、それはそれで喜ばしいことじゃないか?」
前言をフォローするようなことを行成に言われても、俊介は全く別の意味で落ち込んでいるのだ。
優子が自分のそばにいなくなったということに。
「一人前になったと思ったんなら、ちゃんとそういう話も面と向かってして欲しいんだけどな」
「お前との関係は普通の社員とのそれとは違うんだ。佐竹君がその辺のことを配慮しないと思うか?彼女とはこれからいくらでも職場で顔を合わせることになるんだ。その時はお前は彼女の上司として振る舞うことになるのを忘れるなよ」
ついムキになってその話を続けようとする俊介に、行成はピシャリと言った。
優子の上司・・・。
いや、そんなもんじゃない。
取締役なのだから、全社員の人生を背負うのだ。
いつかそのうち・・・、そんな風に思っていたけれど、優子の教育係が終わったということは、自分もいよいよ本格的に親父の仕事を継ぐ覚悟をしなくてはいけない段階に入ったということなのだろう。
ただ、こんなことはとても言えないけれど、正直、親父の後継ぎとして社長に就任することは俊介にとってはそんなに重要なことではなかった。
そんなことより、どんなに本気になっても、するりとかわしてしまう優子の方が俊介にとっては余程手ごわい相手だ。
「優子は毎日本社に出社してるの?」
「そうだが、それがどうかしたのか」
俊介が土日に顔を出す事務所は関東支部だ。
本社ではない。
それじゃあ、ずっと優子に会えないじゃないか・・・。
「いや何でもない」
そんなことを父に言うわけにもいかず、俊介は何とかして自力で優子に会うことを画策するはめになる。
しかし、平日はまだデザイン会社に勤めている。
今の俊介の時間は圧倒的にデザイン会社の方に奪われている。
もちろん楽しくてやっている仕事だからそれは問題ない。
だけど、このままではいつになったら優子に会えるか見当もつかない。
優子が本気で仕事を始めれば、並みの男以上に働くだろう。
そうなれば、もっと捕まえるのが難しくなることは目に見えている。
父と別れ、俊介は事務所に戻った。
栗本が出迎えてくれたが、まったく気が休まらない。
いつもだったら、これから優子と濃密な時間を過ごしていたというのに。
優子に会いたい・・・。
俊介の頭の中はそのことでいっぱいだった。
「桑原取締役、これからのご予定は・・・」
書ける様な内容じゃないからな・・・。
優子から引継ぎをした栗本はその先を言いよどんでいる。
「彼女はお前も知ってのとおり優秀だ。うちに来てもらった当時はお前の教育に専念してもらうこと、そして十年くらいでその役目は終わるだろうから、その後は我が社でそれなりのポストに就いてもらう約束になっていた」
「だけど、何でそれを俺に言わないんだよ」
「さあな・・・。お前に言ってもただ面倒が増えると思ったんじゃないか。どのみち決まってることだから、お前が何と言おうと関係ないんだが・・・。まあ、彼女もお前のお守りにもいい加減疲れたんだろう」
親子だから全く遠慮がない。
自分の甘ちゃんなところを指摘され、返す言葉がない。
「まあそれは冗談だ。彼女もお前が一人前になったと判断したんだから、それはそれで喜ばしいことじゃないか?」
前言をフォローするようなことを行成に言われても、俊介は全く別の意味で落ち込んでいるのだ。
優子が自分のそばにいなくなったということに。
「一人前になったと思ったんなら、ちゃんとそういう話も面と向かってして欲しいんだけどな」
「お前との関係は普通の社員とのそれとは違うんだ。佐竹君がその辺のことを配慮しないと思うか?彼女とはこれからいくらでも職場で顔を合わせることになるんだ。その時はお前は彼女の上司として振る舞うことになるのを忘れるなよ」
ついムキになってその話を続けようとする俊介に、行成はピシャリと言った。
優子の上司・・・。
いや、そんなもんじゃない。
取締役なのだから、全社員の人生を背負うのだ。
いつかそのうち・・・、そんな風に思っていたけれど、優子の教育係が終わったということは、自分もいよいよ本格的に親父の仕事を継ぐ覚悟をしなくてはいけない段階に入ったということなのだろう。
ただ、こんなことはとても言えないけれど、正直、親父の後継ぎとして社長に就任することは俊介にとってはそんなに重要なことではなかった。
そんなことより、どんなに本気になっても、するりとかわしてしまう優子の方が俊介にとっては余程手ごわい相手だ。
「優子は毎日本社に出社してるの?」
「そうだが、それがどうかしたのか」
俊介が土日に顔を出す事務所は関東支部だ。
本社ではない。
それじゃあ、ずっと優子に会えないじゃないか・・・。
「いや何でもない」
そんなことを父に言うわけにもいかず、俊介は何とかして自力で優子に会うことを画策するはめになる。
しかし、平日はまだデザイン会社に勤めている。
今の俊介の時間は圧倒的にデザイン会社の方に奪われている。
もちろん楽しくてやっている仕事だからそれは問題ない。
だけど、このままではいつになったら優子に会えるか見当もつかない。
優子が本気で仕事を始めれば、並みの男以上に働くだろう。
そうなれば、もっと捕まえるのが難しくなることは目に見えている。
父と別れ、俊介は事務所に戻った。
栗本が出迎えてくれたが、まったく気が休まらない。
いつもだったら、これから優子と濃密な時間を過ごしていたというのに。
優子に会いたい・・・。
俊介の頭の中はそのことでいっぱいだった。
「桑原取締役、これからのご予定は・・・」
書ける様な内容じゃないからな・・・。
優子から引継ぎをした栗本はその先を言いよどんでいる。
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