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御曹司のやんごとなき恋愛事情.84
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「優子のこと、一生諦めるつもりはない。それは変わらない。だけど、気持ちだけじゃダメだって気づいたんだ。いつになるか分からないけど、俺が優子のことを迎えに行くとき、周りの誰にも文句を言わせない位の人間になってなきゃならないってこと」
優子はいつもとはあまりに違う俊介の態度に、言葉が入って来ない。
「だから、俺はアメリカに行って一から商社の仕事を勉強して、そしてみんなにトップになってしかるべき人間だと認めてもらえる男になってくる」
「坊ちゃん・・・」
それはまさに優子が望んだ俊介の姿だった。
だけど、その原動力が自分であるということを、どう受け止めたらいいのかは分からない。
そして、いざそう言われてしまうと、俊介がひどく遠くに行ってしまった様な寂しさに襲われる。
自分から突き放しておいて、ようやく自分の足で立とうとしている姿を見たら、置いて行かれたような気持ちになるなんて・・・。
自分も恋に溺れているのだと気づいても、どうすることもできない・・・。
ただ、ひどく胸が苦しくて・・・、これからの長い時間を乗り越えて行けるだろうかという不安が押し寄せてくる。
もう、坊ちゃんに私は必要ないのだ・・・。
その証拠に、自分の感情に振り回されることなく、しっかりと前を見つめている。
「優子、俺のこと待っててくれるか?」
そんな酷な事を聞かないで欲しい。
「・・・それにはお答えしかねます」
「・・・最後ぐらい、素直に『はい』って言えよ」
俊介は笑いながら言った。
最後という言葉が心に深く突き刺さる。
優子は最後の気力を振り絞って、何とか笑顔を作った。
「俺はもう帰るよ。じゃあ、元気でな・・・」
俊介は踵を返すと、そのまま優子の部屋を出て行ってしまった。
俊介が去った部屋で、優子は膝から崩れ落ちるように床に座り込んだ。
「ああっ・・・、坊ちゃん・・・。離れたくない・・・、坊ちゃんに触れたい・・・」
優子の感情の糸がプツリと切れた。
後から後から溢れてくる涙をどうすることもできなかった。
ただ泣くことしか出来ない自分が情けなくて・・・、みじめで・・・。
だけど、これは喜ばしいことなのだ・・・。
自分の感情なんてどうでもいい・・・。
どれほど恋しくても、悲しくても、苦しくても・・・。
坊ちゃんさえ、自分の道を迷わずすすんでくれたらそれでいい。
だから、今もこれからも、何度も泣いてしまうかもしれないけれど、そんなことはどうでもいいことだ。
坊ちゃんの幸せが優子の願いなのだから。
俊介はホテルのキャンセル料を支払うと、そのまま駅に向かった。
口ではああ言ったものの、同じホテルに優子がいては、自分の決心が揺らぐ恐れがある。
アメリカに行くことを決めたからこそ、より強く自分を制する必要があった。
きっと、つい揺らいでしまうような場面は何度も訪れるだろうから。
今は便利な社会で、海外にいたって簡単に繋がることができる。
そしていくら出向するといっても、年に何度かは日本に帰ってくるだろう。
その度に、揺らいで仕事に支障をきたすことは避けたかったのだ。
自分も随分大人になったなと、俊介は一人帰りの電車の中で窓に映る横顔を見つめた。
優子はいつもとはあまりに違う俊介の態度に、言葉が入って来ない。
「だから、俺はアメリカに行って一から商社の仕事を勉強して、そしてみんなにトップになってしかるべき人間だと認めてもらえる男になってくる」
「坊ちゃん・・・」
それはまさに優子が望んだ俊介の姿だった。
だけど、その原動力が自分であるということを、どう受け止めたらいいのかは分からない。
そして、いざそう言われてしまうと、俊介がひどく遠くに行ってしまった様な寂しさに襲われる。
自分から突き放しておいて、ようやく自分の足で立とうとしている姿を見たら、置いて行かれたような気持ちになるなんて・・・。
自分も恋に溺れているのだと気づいても、どうすることもできない・・・。
ただ、ひどく胸が苦しくて・・・、これからの長い時間を乗り越えて行けるだろうかという不安が押し寄せてくる。
もう、坊ちゃんに私は必要ないのだ・・・。
その証拠に、自分の感情に振り回されることなく、しっかりと前を見つめている。
「優子、俺のこと待っててくれるか?」
そんな酷な事を聞かないで欲しい。
「・・・それにはお答えしかねます」
「・・・最後ぐらい、素直に『はい』って言えよ」
俊介は笑いながら言った。
最後という言葉が心に深く突き刺さる。
優子は最後の気力を振り絞って、何とか笑顔を作った。
「俺はもう帰るよ。じゃあ、元気でな・・・」
俊介は踵を返すと、そのまま優子の部屋を出て行ってしまった。
俊介が去った部屋で、優子は膝から崩れ落ちるように床に座り込んだ。
「ああっ・・・、坊ちゃん・・・。離れたくない・・・、坊ちゃんに触れたい・・・」
優子の感情の糸がプツリと切れた。
後から後から溢れてくる涙をどうすることもできなかった。
ただ泣くことしか出来ない自分が情けなくて・・・、みじめで・・・。
だけど、これは喜ばしいことなのだ・・・。
自分の感情なんてどうでもいい・・・。
どれほど恋しくても、悲しくても、苦しくても・・・。
坊ちゃんさえ、自分の道を迷わずすすんでくれたらそれでいい。
だから、今もこれからも、何度も泣いてしまうかもしれないけれど、そんなことはどうでもいいことだ。
坊ちゃんの幸せが優子の願いなのだから。
俊介はホテルのキャンセル料を支払うと、そのまま駅に向かった。
口ではああ言ったものの、同じホテルに優子がいては、自分の決心が揺らぐ恐れがある。
アメリカに行くことを決めたからこそ、より強く自分を制する必要があった。
きっと、つい揺らいでしまうような場面は何度も訪れるだろうから。
今は便利な社会で、海外にいたって簡単に繋がることができる。
そしていくら出向するといっても、年に何度かは日本に帰ってくるだろう。
その度に、揺らいで仕事に支障をきたすことは避けたかったのだ。
自分も随分大人になったなと、俊介は一人帰りの電車の中で窓に映る横顔を見つめた。
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