6 / 23
6
しおりを挟む
肯定になるらしかった。
ヴァールハイトが邪竜を斃したという噂はその日のうちに国中を駆け巡り、気づけばエレオラは彼と結婚することになっていた。
神に仕えるべき聖女が結婚するなど許されない、というエレオラの抗弁は、神官や貴族たちの「でも竜殺しの騎士だしなあ……」というなんとも曖昧な理由によって却下された。
幸いだったのは結婚式が催されなかったことだ。そんなものを盛大に開いてしまったら本当に後戻りできない。竜殺しの騎士と聖女の結婚は、第一王子のノインを証人として神殿で結婚契約書を取り交わして終わった。
しかし正式な式典を開いたとて、互いに家族から祝福を受けることはできなかったかもしれない。叔父のアレンは話を伝えると「エッ⁉︎」と白目を剥いて叫んだきり昏倒してしまい、とても参列できるような状態ではなかった。
ヴァールハイトの方も、母親はすでに他界し、ブラン伯爵家の当主である彼の父親は現在肺炎で入院中とのことだった。
エレオラは呆然としたまま荷物をまとめ、鳥籠を抱え、神殿の人々に涙ながらに見送られて、ヴァールハイトの住むブラン伯爵家のタウンハウスの一つに移り住むことになった。
王都の一角に建つタウンハウスは歴史をまとってそびえる石造りの大邸宅で、花々の咲き乱れる庭もあり、神殿の簡素な相部屋に慣れたエレオラを圧倒した。
一歩足を踏み入れた玄関ホールは舞踏会でも開けそうなほど広く、床には幾何学模様を描くモザイクタイルが端正に敷き詰められている。大広間の天井からは水晶のシャンデリアが吊り下がり、光の粒を集めたようにきらめいていた。バルコニーの大理石の手すりは磨き込まれていて、使用人がどれほど真面目に仕えているかを感じさせる。
いちいち感嘆の声をあげるエレオラに、案内してくれたメイド長のハンナは不思議そうに首をひねった。
「エレオラ様はエレオノーレ公爵家のご令嬢でしょう。これくらいの邸は見慣れたものでは?」
「まさか。私は九歳のときに神殿に入ってから、一度も公爵家と関わったことがないのです。だから見るもの全てが綺麗で、ついはしゃぎすぎてしまいました」
「あらまあ。そうしていると、聖女様も年頃の娘っ子みたいですねえ。それじゃ、お部屋も気に入ってもらえるといいんですが」
横幅のある体を揺らし、ハンナが階段をのぼっていく。その背を慌てて追いながら、エレオラは訊ねた。
「お部屋とは?」
「聖女様のお部屋ですよ。ヴァールハイト様がずいぶん熱心に整えていらしてね。聖女様に喜んでもらえれば、苦労して家具を運んだこっちも報われるってもんです」
「ヴァールハイト様が……」
エレオラは呟いて、唇を引き結ぶ。まだ彼の思考を掴みきれていなかった。太古の竜を殺して聖女を娶った騎士。そんな男が、たかだか花嫁の部屋一つを自ら整えたという。一体どんな心境でそうしたのだろう。そしてどんな部屋が待ち構えているのだろうか。今度は悪魔の首でも飾ってあったらどうしよう、と顔を曇らせる。もしくは魔獣の血で壁一面が塗られているとか。
不安に駆られるエレオラをよそに、ハンナはすたすたと廊下を歩いていく。それから、一番奥の扉を指し示した。
「ほら、こちらですよ」
大きな黒檀の扉だった。真鍮のドアノブはよく磨かれていて、覗き込むエレオラの顔が映るほど。扉に近づいて耳をそばだてても変な呻き声は聞こえないし、くんくん鼻を動かしても妙なにおいはしない。とりあえずは安全そうだ。ハンナがそんなエレオラに訝しげな目を向けた。
「聖女様? 扉をお開けしましょうか?」
「いえ、危険かもしれないので下がっていてください。私が開けます」
「はあ……」
不審そうなハンナを下がらせ、エレオラはドアノブに手を置く。少しひんやりしていた。それをぎゅっと握りしめ、何が出てきても対応できるように、扉を盾にするように部屋に押し入った。
そして、立ち尽くした。
目の前にあるのは、広々とした居心地の良さそうな部屋だった。
片側の壁際にライティングデスクが据えられ、その上にガラスの花瓶が置いてあった。満開の白い薔薇が一輪だけ挿してある。繊細なレースカーテンのかかった窓辺には猫脚のティーテーブルと椅子が設られていて、ぽかぽかと日を浴びながらお茶をするにも本を読むにもちょうど良さそうだった。かたわらには鳥籠を吊るすためのスタンドが立てられている。天井のシャンデリアは百合の花を模した形で、夜になって明かりを灯せば白百合が咲き群れたように映るだろう。
ぐるりと部屋を見回したエレオラの唇から、ほう、とため息が漏れる。
「素敵……」
毛織りの絨毯を踏み、部屋の真ん中まで歩を進める。入り口では、ハンナが子供を見るような目で優しく笑った。
「気に入っていただけたようで何よりです」
「ええ、とっても過ごしやすそうで……これを全部、ヴァールハイトさまが?」
「そうですよ。聖女様は何がお好きか、どんなふうに過ごされるか、ひどく悩んでおられましたねえ。ノイン殿下とあれこれ相談されたり、商人を呼んで色々見繕ったり」
それは想像もつかない姿だった。エレオラの知っているヴァールハイトは、いつも不機嫌そうで、睨み殺してきそうで、自分を嫌っているとしか思えない素っ気なさだった。そしてなぜか、急に邪竜を弑して求婚してきた。
そんな男が、花嫁に心を砕くなんて。まるで歓迎されているかのように思い違いをしてしまう。
(ヴァールハイトさまが一体何を考えているのか……きちんと話して、確かめてみたい。神殿での求婚以降、お話しできていないし)
竜殺しはもはや古の文献に残るのみの偉業で、それを果たしたヴァールハイトは社交界や王立研究院などに引っ張りだこになっているようだった。エレオラはエレオラで邪竜の血で汚染された神殿の浄化に忙しい。ヴァールハイトは、ティオール山から神殿まで、邪竜の首を荷馬車で運ぶという理性は残っていたようで、汚穢が町中に広がっていないのだけは幸いだった。
ハンナが眩しそうにエレオラを見つめる。
「散々悩んで一度決めても、やっぱり違うとか言い出して。何が違うもんかと思ってましたが、こうして聖女様がこの部屋にいるのを見ると、確かにそうなんだと思いますよ。この部屋は、聖女様のためだけに作られたみたいにぴったりですもの」
「……ありがとうございます」
胸の底がこそばゆくなって、エレオラははにかんで俯く。
ハンナが窓辺を指差した。
「そこの鳥籠立てなんかもねえ、あたしたちは聖女様が鳥を飼ってらっしゃることも知らなかったから用意してなかったんですがね。ヴァールハイト様が気づかれて、特注で作らせたんですよ。せっかくだから吊るしてみてくださいな」
「まあ……」
エレオラの顔が引きつった。鳥を飼っていることは神殿の人間しか知らない。それをどうしてヴァールハイトが知っているのだろう。部屋を整えるために身辺調査を行ったのだろうか。背中を嫌な汗が流れる。
ハンナが笑顔で促すので、エレオラは窓際に歩いていってスタンドに鳥籠をかけた。簡素な鳥籠も、優美な線を描くスタンドに吊るされると、まるでそこが終の住処であるかのようにしっくりと馴染んだ。
籠の中で鳥がチチッと鳴く。ハンナが覗き込み、おやと眉を上げた。
「この子、翼が片方ないんですねえ」
ハンナの言葉に、エレオラは仄かに笑う。この籠を見たものは一様に同じ反応をする。もう慣れていた。
「ええ、この子は私が聖女になる前に拾ったんですが、そのときから片翼だったんですよ。怪我をしているわけでもなく……生まれつきみたいです」
これを聞いたあとの反応はだいたい二つに分かれる。大げさに可哀想がるか、聖女エレオラの優しさを褒めたたえるか。エレオラはどちらの反応にも息苦しさを覚えた。
片翼の鳥は止まり木に乗り、機嫌良さそうにピィと声をあげる。ハンナはそれを見ながら、口を大きく開けて、
「まあ、そんなに長く一緒にいるなんて仲良しで良いですねえ。名前はなんていうんです?」
あっけらかんとした返事に、エレオラは言葉に詰まった。
「……ドーナツです。羽がふかふかして茶色くて、ちょっとまだらに白っぽくなってるでしょう? 粉砂糖をまぶしたみたいに」
「うーん、聖女様はお子様の名付けはなさらない方がよろしいかもしれませんね」
「なぜ⁉︎」
狼狽えるエレオラに、ハンナが腰に手を当てて笑う。それでエレオラはハンナのことがいっぺんに好きになってしまった。
(それにしても……子供って!)
予想外に飛び出てきた単語に鼓動が速まる。もちろん夫婦になったのだからそういうこともあるのだろうが、エレオラにはまだ想像もつかない遠い未来のことだった。
そうしてふと気づいて、ハンナに問う。
「そういえば、ベッドは?」
「まあ」
ハンナが悪戯っぽく歯を見せる。子供に当たり前のことを教える軽やかさで、あっさりと答えた。
「夫婦の寝室は、別にあるに決まっているじゃないですか」
「……はいっ?」
エレオラの口から、悲鳴じみた声が漏れ出た。
ヴァールハイトが邪竜を斃したという噂はその日のうちに国中を駆け巡り、気づけばエレオラは彼と結婚することになっていた。
神に仕えるべき聖女が結婚するなど許されない、というエレオラの抗弁は、神官や貴族たちの「でも竜殺しの騎士だしなあ……」というなんとも曖昧な理由によって却下された。
幸いだったのは結婚式が催されなかったことだ。そんなものを盛大に開いてしまったら本当に後戻りできない。竜殺しの騎士と聖女の結婚は、第一王子のノインを証人として神殿で結婚契約書を取り交わして終わった。
しかし正式な式典を開いたとて、互いに家族から祝福を受けることはできなかったかもしれない。叔父のアレンは話を伝えると「エッ⁉︎」と白目を剥いて叫んだきり昏倒してしまい、とても参列できるような状態ではなかった。
ヴァールハイトの方も、母親はすでに他界し、ブラン伯爵家の当主である彼の父親は現在肺炎で入院中とのことだった。
エレオラは呆然としたまま荷物をまとめ、鳥籠を抱え、神殿の人々に涙ながらに見送られて、ヴァールハイトの住むブラン伯爵家のタウンハウスの一つに移り住むことになった。
王都の一角に建つタウンハウスは歴史をまとってそびえる石造りの大邸宅で、花々の咲き乱れる庭もあり、神殿の簡素な相部屋に慣れたエレオラを圧倒した。
一歩足を踏み入れた玄関ホールは舞踏会でも開けそうなほど広く、床には幾何学模様を描くモザイクタイルが端正に敷き詰められている。大広間の天井からは水晶のシャンデリアが吊り下がり、光の粒を集めたようにきらめいていた。バルコニーの大理石の手すりは磨き込まれていて、使用人がどれほど真面目に仕えているかを感じさせる。
いちいち感嘆の声をあげるエレオラに、案内してくれたメイド長のハンナは不思議そうに首をひねった。
「エレオラ様はエレオノーレ公爵家のご令嬢でしょう。これくらいの邸は見慣れたものでは?」
「まさか。私は九歳のときに神殿に入ってから、一度も公爵家と関わったことがないのです。だから見るもの全てが綺麗で、ついはしゃぎすぎてしまいました」
「あらまあ。そうしていると、聖女様も年頃の娘っ子みたいですねえ。それじゃ、お部屋も気に入ってもらえるといいんですが」
横幅のある体を揺らし、ハンナが階段をのぼっていく。その背を慌てて追いながら、エレオラは訊ねた。
「お部屋とは?」
「聖女様のお部屋ですよ。ヴァールハイト様がずいぶん熱心に整えていらしてね。聖女様に喜んでもらえれば、苦労して家具を運んだこっちも報われるってもんです」
「ヴァールハイト様が……」
エレオラは呟いて、唇を引き結ぶ。まだ彼の思考を掴みきれていなかった。太古の竜を殺して聖女を娶った騎士。そんな男が、たかだか花嫁の部屋一つを自ら整えたという。一体どんな心境でそうしたのだろう。そしてどんな部屋が待ち構えているのだろうか。今度は悪魔の首でも飾ってあったらどうしよう、と顔を曇らせる。もしくは魔獣の血で壁一面が塗られているとか。
不安に駆られるエレオラをよそに、ハンナはすたすたと廊下を歩いていく。それから、一番奥の扉を指し示した。
「ほら、こちらですよ」
大きな黒檀の扉だった。真鍮のドアノブはよく磨かれていて、覗き込むエレオラの顔が映るほど。扉に近づいて耳をそばだてても変な呻き声は聞こえないし、くんくん鼻を動かしても妙なにおいはしない。とりあえずは安全そうだ。ハンナがそんなエレオラに訝しげな目を向けた。
「聖女様? 扉をお開けしましょうか?」
「いえ、危険かもしれないので下がっていてください。私が開けます」
「はあ……」
不審そうなハンナを下がらせ、エレオラはドアノブに手を置く。少しひんやりしていた。それをぎゅっと握りしめ、何が出てきても対応できるように、扉を盾にするように部屋に押し入った。
そして、立ち尽くした。
目の前にあるのは、広々とした居心地の良さそうな部屋だった。
片側の壁際にライティングデスクが据えられ、その上にガラスの花瓶が置いてあった。満開の白い薔薇が一輪だけ挿してある。繊細なレースカーテンのかかった窓辺には猫脚のティーテーブルと椅子が設られていて、ぽかぽかと日を浴びながらお茶をするにも本を読むにもちょうど良さそうだった。かたわらには鳥籠を吊るすためのスタンドが立てられている。天井のシャンデリアは百合の花を模した形で、夜になって明かりを灯せば白百合が咲き群れたように映るだろう。
ぐるりと部屋を見回したエレオラの唇から、ほう、とため息が漏れる。
「素敵……」
毛織りの絨毯を踏み、部屋の真ん中まで歩を進める。入り口では、ハンナが子供を見るような目で優しく笑った。
「気に入っていただけたようで何よりです」
「ええ、とっても過ごしやすそうで……これを全部、ヴァールハイトさまが?」
「そうですよ。聖女様は何がお好きか、どんなふうに過ごされるか、ひどく悩んでおられましたねえ。ノイン殿下とあれこれ相談されたり、商人を呼んで色々見繕ったり」
それは想像もつかない姿だった。エレオラの知っているヴァールハイトは、いつも不機嫌そうで、睨み殺してきそうで、自分を嫌っているとしか思えない素っ気なさだった。そしてなぜか、急に邪竜を弑して求婚してきた。
そんな男が、花嫁に心を砕くなんて。まるで歓迎されているかのように思い違いをしてしまう。
(ヴァールハイトさまが一体何を考えているのか……きちんと話して、確かめてみたい。神殿での求婚以降、お話しできていないし)
竜殺しはもはや古の文献に残るのみの偉業で、それを果たしたヴァールハイトは社交界や王立研究院などに引っ張りだこになっているようだった。エレオラはエレオラで邪竜の血で汚染された神殿の浄化に忙しい。ヴァールハイトは、ティオール山から神殿まで、邪竜の首を荷馬車で運ぶという理性は残っていたようで、汚穢が町中に広がっていないのだけは幸いだった。
ハンナが眩しそうにエレオラを見つめる。
「散々悩んで一度決めても、やっぱり違うとか言い出して。何が違うもんかと思ってましたが、こうして聖女様がこの部屋にいるのを見ると、確かにそうなんだと思いますよ。この部屋は、聖女様のためだけに作られたみたいにぴったりですもの」
「……ありがとうございます」
胸の底がこそばゆくなって、エレオラははにかんで俯く。
ハンナが窓辺を指差した。
「そこの鳥籠立てなんかもねえ、あたしたちは聖女様が鳥を飼ってらっしゃることも知らなかったから用意してなかったんですがね。ヴァールハイト様が気づかれて、特注で作らせたんですよ。せっかくだから吊るしてみてくださいな」
「まあ……」
エレオラの顔が引きつった。鳥を飼っていることは神殿の人間しか知らない。それをどうしてヴァールハイトが知っているのだろう。部屋を整えるために身辺調査を行ったのだろうか。背中を嫌な汗が流れる。
ハンナが笑顔で促すので、エレオラは窓際に歩いていってスタンドに鳥籠をかけた。簡素な鳥籠も、優美な線を描くスタンドに吊るされると、まるでそこが終の住処であるかのようにしっくりと馴染んだ。
籠の中で鳥がチチッと鳴く。ハンナが覗き込み、おやと眉を上げた。
「この子、翼が片方ないんですねえ」
ハンナの言葉に、エレオラは仄かに笑う。この籠を見たものは一様に同じ反応をする。もう慣れていた。
「ええ、この子は私が聖女になる前に拾ったんですが、そのときから片翼だったんですよ。怪我をしているわけでもなく……生まれつきみたいです」
これを聞いたあとの反応はだいたい二つに分かれる。大げさに可哀想がるか、聖女エレオラの優しさを褒めたたえるか。エレオラはどちらの反応にも息苦しさを覚えた。
片翼の鳥は止まり木に乗り、機嫌良さそうにピィと声をあげる。ハンナはそれを見ながら、口を大きく開けて、
「まあ、そんなに長く一緒にいるなんて仲良しで良いですねえ。名前はなんていうんです?」
あっけらかんとした返事に、エレオラは言葉に詰まった。
「……ドーナツです。羽がふかふかして茶色くて、ちょっとまだらに白っぽくなってるでしょう? 粉砂糖をまぶしたみたいに」
「うーん、聖女様はお子様の名付けはなさらない方がよろしいかもしれませんね」
「なぜ⁉︎」
狼狽えるエレオラに、ハンナが腰に手を当てて笑う。それでエレオラはハンナのことがいっぺんに好きになってしまった。
(それにしても……子供って!)
予想外に飛び出てきた単語に鼓動が速まる。もちろん夫婦になったのだからそういうこともあるのだろうが、エレオラにはまだ想像もつかない遠い未来のことだった。
そうしてふと気づいて、ハンナに問う。
「そういえば、ベッドは?」
「まあ」
ハンナが悪戯っぽく歯を見せる。子供に当たり前のことを教える軽やかさで、あっさりと答えた。
「夫婦の寝室は、別にあるに決まっているじゃないですか」
「……はいっ?」
エレオラの口から、悲鳴じみた声が漏れ出た。
1
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
聖女は秘密の皇帝に抱かれる
アルケミスト
恋愛
神が皇帝を定める国、バラッハ帝国。
『次期皇帝は国の紋章を背負う者』という神託を得た聖女候補ツェリルは昔見た、腰に痣を持つ男を探し始める。
行き着いたのは権力を忌み嫌う皇太子、ドゥラコン、
痣を確かめたいと頼むが「俺は身も心も重ねる女にしか肌を見せない」と迫られる。
戸惑うツェリルだが、彼を『その気』にさせるため、寝室で、浴場で、淫らな逢瀬を重ねることになる。
快楽に溺れてはだめ。
そう思いつつも、いつまでも服を脱がない彼に焦れたある日、別の人間の腰に痣を見つけて……。
果たして次期皇帝は誰なのか?
ツェリルは無事聖女になることはできるのか?
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる