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キミとふたり、ときはの恋。【第二話】
立葵に、想いをのせて【6.5−7】side奏人
しおりを挟む「……都築」
「ごめんなさい、こんなところまで来て。でも、少しだけ話したくて」
「あ、私、お邪魔よねー。仕事に戻ってきまーす」
俺を追いかけてきた都築に向き直ると、その切羽詰まった表情に気を使ったのか、あずささんが早口で言い置いてホールに戻っていった。
「あの、ごめんなさい。先輩たちを止められなくて。かーくんが困ってるのはわかってたんだけど……」
「別にいい。それよりお前、さっきからアレで呼んでるぞ。無意識か?」
「え? ……あ! ごめんなさい。私、何回か呼んでた? 気をつけてたつもりだったのに……本当に、ごめんなさい」
やっぱり無意識だったのか。
しかし、俺ももう小学生のあの頃のように呼び名に意固地になってるわけじゃないから、都築に頭を下げさせる気はない。
「それも、別にいい。それから、先輩たちのことも気にするな。お前が謝ることじゃないだろ?」
ここまで話したところで、ホールから聞こえてきた橘先生の声に、都築と顔を見合わせた。少し大きめのその声は、平井先輩たちを叱りつけ、他のお客様方に謝罪する声だった。
「やれやれ。これで静かになるな。じゃあ俺、休憩に入るから……」
「待って。もうひとつ言いたいことがあるの」
ホッとしながら背中を向けかけたところ、また引き留められた。今度は何だ?
「こっちが本題なの。今日の平井先輩たちのこと、白藤さんには話さないようにしてあげてほしくて。それを言いに来たのよ」
「……涼香に?」
どういうことだ?
怪訝な気持ちが、僅かに目を細めさせ、眉間にしわを刻んでいく。
すると、都築が慌てて口を開いた。
「か……土岐くん、『部活のマネージャーがお店に来て、こんなことがあった』って話を普通に白藤さんにしそうなんだもの。だから、先に釘を刺しとこうと思って」
「は? それの、どこが悪い?」
その言い方だと、俺に涼香に隠し事をしろって言ってるように聞こえるが?
「あのね、勘違いしないで聞いてね? 私が彼女の立場なら、こういうことは聞かされたくないのよ」
「こういうこと、とは?」
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いや、全然、ピンとこない。そういうものなのか? というのが正直な感想だ。
しかし、俺にはわからないからこそのアドバイスなんだろう。きっと。
「わかった」
短く、了承の言葉を告げた。
良く考えれば、隠し事というほどのことでもない。先輩マネたちには、迷惑な人たちだという感想しか湧いてこないんだからな。
それに、こんな些末なことで涼香に嫌な思いをさせたくない。あの子には、いつも笑っていてもらいたいんだ。
俺と一緒にいる時だけじゃなく、どんな時も笑顔でいてほしい。常に、そう願っているから。
――*――
10
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