同居人は王子様。

mnkn

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はじめまして、王子様。

#8

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昨日の夜はいろいろあった。

家に帰ると見ず知らずの男が倒れていた。

見ず知らず...いや、一回だけ夢で見たことはある。

そいつ、自分は王子様だ!お前はスパイだろ!ってうるさいし。

自分が作った絵本のキャラクターと名前とかいろいろ一致したのは驚いたけど。

まあ、百歩譲ってそれだけならまだいい。



そこから寝るまでがとてつもなく長かった。

勝手にシャワー浴びるし、

シャワーを浴びた後も上半身裸で部屋をうろつくの。

どこを見ていいか分からなくて俯いてたら、お前男に免疫ないんだなってクスクス笑っていやがる。

...悔しいことに、反論できなかった。

その後少ししたら、腹が減ったから料理食わせろってうるさいし。

仕方なくおにぎりを作ろうと手にご飯を乗せた時、汚いとか文句言うからイラッとして、全部私が食べてやった。

するとシュンとしてたから、ちょっとかわいそうになって、バイトで貰って帰ってきたケーキをあげた。

ショートケーキの苺、なかなか食べないから嫌いなのかなって思って食べてあげたら、ふざけんな!って怒られた。

こんな大男が小さな苺一つでムキになって怒ってたのはちょっと笑えちゃったなぁ。

でも、さすが王子ってだけあって、食べ方がすごい綺麗だった。きちんと教育されてきたのかな。

風邪引いちゃうと良くないから、寝る前には弟が泊まった時に置いて行ったスウェットを王子に着せた。

といっても、この王子185センチも背があるらしく、弟が着たらちょうどのスウェットも窮屈そうだった。

あ、あとテレビとか見たことなかったみたいで、「お前は何者だ」って険しい顔で話しかけてたのは本当に笑えた。

この男がテレビに夢中になっている隙に、食器を洗って、私もお風呂に入って、さあ寝れる!



そう思った時だった。

スヤスヤと寝息が聞こえてきたのは。


そう。私の大切な寝床であるシングルベッドをこの大男に奪われていた。


「くっそ.....!!!このワガママ変態自己中王子が.....!!!!」


冷たい床に寝転がり、1人毛布に包まる。

.....早くこの王子様が帰りますように。あわよくば、どうかただの長い夢でありますように。

そう願いながら、あおいは深い眠りについた。
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