同居人は王子様。

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戸惑いのハッピーバースデー。

#24

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「レオンはさ、こういうネクタイ好き?」

「あ、でもネクタイってさ、ちょっと照れくさいよね?だって相手が付けてくるたびに意識しちゃうし、付けてくれなかったら切ないし」

「じゃあこのネクタイピンは?」

「あっでも今の時期クールビズだから....」




今、俺たちがいるのは、日曜日のデパートの一角。

さっきから、ものすごい勢いであおいは独り言を呟いている。


「もー!レオンなんか喋ってよ。全然頼りにならないんだから」

なんて、挙句の果てに文句まで言い始めた。

「......は?勝手にキレられても困る」

適当に舌打ちして返すと、あおいは思いっきり眉間に皺を寄せた。

「イライラしてるのはレオンのほうじゃん.....!」

「そりゃそうだろ。ただでさえこの人混みで疲れるのに、お前はギャーギャー騒ぎすぎだ!」

「私のせいってこと?じゃあもういい、別行動しよ」

「ああ、望むところだ!」

そう言って、2人はお互い別方向に歩き始めた。



が、しかし。別方向に歩き始めた途端、あおいの後ろがガヤガヤとうるさくなった。

何の騒ぎだ?

あおいは振り返ってみると、大勢の女性にレオンが囲まれていた。

「お兄さん、かっこいいですね」
「あっ、この後ご飯とかどうですか?」

なんて逆ナンパされている。

けっ、あんな男しょせん顔だけですよーだ!

そう心の中で暴言を吐いた時、人混みの中心にいたレオンと視線が合った。

______見てみろよ、やっぱ俺イケメンだからさ。

まるでそう言いたげなスカした顔をしてる。

何だか得意げなレオンの表情に、あおいは余計苛立ちが増した。

「あんな男!もう知らない!!!!」

あおいは踵を返して、ズンズンとレオンのいる反対方向へと歩き始めた。



「ねえ、お兄さん?」

知らない女がレオンの腕に触れた。

「...おい、触んじゃねえよ」

レオンは勢いよく女の腕を払いのけて、あおいが歩いて行った方向へと駆ける。

「....くそ、見失ったか」

ちょっと妬かせようと思ったが、やりすぎたか?

.....まあ、あいつ、なんだかんだ俺のこと好きだもんな。

嫌よ嫌よも好きのうち、ってやつだ。


なぜか得意げな顔をして、一人でフラフラとデパートを歩き始めたレオンだった。




「あ、このエプロン、レオンが喜ぶかもしれない」

「このフライパンもいいなー。あ、でも新しいやつあげたらキリがないか」

あおいは気づけばキッチン用具のお店にふらりと立ち寄っていた。

「いや、待て私。今あいつとは喧嘩中だぞ」

憎っくきレオン!!!!

なんて心の中で再び暴言を吐いてみるが、さっきから、これレオン喜ぶだろうなぁってものばっかりチェックしちゃう。


....ま、レオンと過ごしてる時間のほうが目黒さんと過ごしてる時間より長いから。仕方ないよね。

買ってあげるべきかな?うーん、どうしよう。

あおいは、一人でうーんと頭をひねっていた。
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