閉鎖都市

世界の真実

２２

　
窓は膨ふくれ上あがり、
そこからストラムと呼ばれる監視かんしロボが、
球形のボディーを震ふるわせ窓から、
突き抜けてくる所だった。

いったいノングレア処理しょりされた、
パイレックスの窓ってどんな仕組みだよ！？


【説明が必要か？】


信じられない事にナビがその思考しこうに答えた。


【信じられなくても真実だ】


もしかしてナビは僕の思考しこうが読めるのか？

【もしかしなくても読める。
　簡単かんたんに言えば、
そのバイザーに取り付けられたセンサーが、
脳内の電気信号の流れを読み取り解読かいどくする】

【その後コンパイルされ、
　トラフィックされる 】


全然簡単ぜんぜんかんたんじゃない答えがかえってきた！？


ただそれでも解わかった事が１つだけある。

この瞬間、僕のプライバシーは、
丸裸まるはだかにされたと言う事だ！

真まっ先さきに少女の事が脳裏に過よぎった。

ダメだ考えるな！？

僕は悟さとりを開いた坊主さながらに、
煩悩ぼんのうを頭から叩き出す事に奔走ほんそうしていた。


【心配しなくても現時点で彼女は、
　時系列じけいれつ的てきにも彼女は、
　君の事を悪く思っていない 】

無神経むしんけいな追おい討うちが流れてくる。


 これはBGMだ。

 考えるな俺♪

 強いぞ俺♪


【案ずるな。プライバシーにかかわる事には
　規制きせいがかかっている】

【君の奥底おくそこに眠る煩悩ぼんのうを、
　僕が彼女に告つげなければ問題ない】


このとき僕の理性は、
ヒビが入り崩壊ほうかいして行くのを感じた。


「うっぐっぐ」


どこからか奇怪きかいな音が漏もれ出ていた。

少女が心配しんぱいそうに僕の顔を覗のぞいている。

この暗闇で表情が読まれないのが、
せめてもの救すくいだ。


暫しばしゲシュタルト崩壊ほうかいした世界で佇たたずんでると、何かの陰影いんえいが走るのを感じた。