【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん

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4章。ベオウルフ盗賊団

25話。冒険者ランクがアップ

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「お帰りなさい、アッシュ様! 依頼を見事達成されたのですね」

 冒険者ギルド【銀翼の鷲】に戻ってくると受付嬢が、満面の笑みで迎えてくれた。

「あーっ! アッシュさんたちだ!」

 冒険者の女の子たちが、俺を取り囲んでくる。この前、【神喰らう蛇】の冒険者からギルドを守って以来、彼女たちからえらい好かれるようになってしまった。

「ただいま。えーと、道を開けてもらえると、助かるんだけど……」

 女の子たちから群がれるという状況には、まったく慣れない。緊張で変な汗が出てしまう。

「みなさん、ご主人様はエルフ王となられる偉大なお方です。申し訳ありませんが、無闇にお手を触れないでください」

 コレットがにこやかに睨みを効かせた。

「お、おい、そんな発言は……俺はただクエストの達成報告をしに来ただけだぞ」

 なるべく悪目立ちしたくないので、コレットをたしなめる。
 新参者を快く思わない者がいるのは、どこの冒険者ギルドでも一緒だ。最初はなるべく反感を買わないように振る舞わなければならない。

「チッ! なんだあの野郎、女ばかり引き連れやがって」

「バカ! 知らねえのか!? あの人が元【神喰らう蛇】一番隊隊長のアッシュさんだぞ!?」

「はぁっ!? あ、あいつが死神ギルバートに頭を下げさせたっていう闘神の息子か!?」

「それだけじゃなく、ご領主様の義理の兄貴でもあるんだぞ。口の利き方に気をつけろよ。マジでやべぇぞ」

 ギルド内で俺を噂する声が聞こえる。
 まだ、このギルドに登録して日が浅いのに注目を浴びまくっていた。

「いや、でもヤツは【神喰らう蛇】を追放されたんだろ? だったら大したことはねぇよ……」

 俺をけなす男もいたが、次の瞬間、ギルドの全員が絶句した。

「リル、お仕事がんばってきた!」

 リルが縄でグルグル巻にした【神喰らう蛇】のロゼを背負って現れたのだ。

「あれ、リル様、その方は……?」

 受付嬢が怪訝な面持ちで尋ねる。

「実はクエスト中に【神喰らう蛇】の冒険者から攻撃を受けて。自衛のために無力化したんです」

「ま、まさかこの人、【神喰らう蛇】のAランク冒険者ですか!?」

 受付嬢の悲鳴のような叫びに、ギルド内が騒然となった。

「なんだと!?」

 ロゼが首から下げているプレートには【神喰らう蛇】の紋章とAランクの文字が書かれていた。

「……【銀翼の鷲】に迷惑をかけないように、ギルバートとは穏便に話をつけたいと思います」

 ギルバートが【神喰らう蛇】ユーステルム支部の支部長も兼任している。アイツに話を通せば、大事にはならないハズだ。

「いえ!【神喰らう蛇】の冒険者は、あれからもウチのメンバーになにかと喧嘩を吹っかけてきていまして……私、正直、腹立たしかったので、感激しました!」

 受付嬢は目を輝かせる。

「すごい! アッシュさんがいてくれれば、アイツらから一方的にやられることは無いので安心です!」

 女の子たちも手を叩いて喜んでいる。
 俺の知らないところで、まだ【銀翼の鷲】への嫌がらせは続いていたようだな。

 やられっぱなしだと、相手をつけあがらせるから、反撃することは必要だが。ギルド同士の全面戦争に発展しないように気をつけなくてはならない。
 なにしろ戦力は、あちらの方が圧倒的に上だ。

「話は変わりまして。何か土地や建物の清掃作業のような依頼があったら、回してもらえないでしょうか? 報酬はいらないです」

「えっ? どういうことですか?」

「報酬はいらないだと!?」

 冒険者たちがあ然とする。

「実は【ベオウルフ盗賊団】を領主お抱えの兵として雇うことにしました。罪は兵として最前で戦うことで償ってもらいますが。
 それとは別に、彼らを領民たちに受け入れてもらうために、ボランティア活動的なことをしてもらうつもりです」

 【銀翼の鷲】の依頼として受ければ、ギルドの評価も上がって一石二鳥だ。

「は、はい?」

 受付嬢は目をパチクリさせた。

「【ベオウルフ盗賊団】っと言いますと、最近、流れてきた大規模な野盗集団ですよね?」

「はい。ご主人様は彼らを打ち倒して交渉の末、配下とされました。このことはミリア・ユーステルム様もご承知です」

 コレットが得意顔で説明する。

「マ、マジか? たった3人で、【ベオウルフ盗賊団】を打ち負かしたってのかよ!?」

「ご主人様にとっては造作もないことです」

「リルもがんばった!」

 冒険者たちは、呆然としていた。

「それで、【ベオウルフ盗賊団】の首領だったレイナも俺のパーティメンバーとして登録したいんですけど……レイナ入って来てくれ」

 俺が促すと頭を帽子で隠したレイナが、おっかなびっくりした様子で入ってきた。

「どうもレイナよ……」

「彼女はハーフエルフで、野盗でしたけど。これからは心を入れ替えて普段はユーステルムの兵として。非番の時は、【銀翼の鷲】を通して、清掃ボランティアとして働くので仲良くしてやってください」

「ハ、ハーフエルフで野盗集団の首領ですか……!」

 受付嬢が笑顔を引きつらせている。

「ええっ!? アッシュさんのパーティに入れてもらえるなんて、うやましい!」

「私たち、何度もアッシュさんに仲間にして欲しいってお願いしているのに!? くっ! ハーフエルフのクセにズルいわよ!」

 女の子たちからブーイングが上がる。
 『ハーフエルフのクセに』という罵倒に、レイナの表情が険しくなった。

 レイナが野盗を続けていた理由のひとつは、ハーフエルフは人から疎まれる存在だからだ。

 ハーフエルフは人間より寿命が長く、外見も美しく、魔力も高いという点から、嫉妬の対象となる。エルフが人間を嫌っていることもあり、その感情は容易に迫害に結びついた。
 
 レイナは札付きのアウトローであるが故に、アウトローたちに好かれていたのだ。

「おい、ハーフエルフという理由で、レイナに。俺の仲間になにかしたら、俺が黙っていないからな」
 
 俺は憤然と叫んだ。

「えっ……!? いや、その、そういうつもりじゃ!? ご、ごめんなさい」

 レイナを罵倒した女の子は、慌てて頭を下げる。

「アッシュ団長……っ!」

 レイナは感激の目で俺を見た。

「わたくしもご主人様と同じ思いです。やがてご主人様がエルフ王の座についたあかつきには、ハーフエルフへの不当な差別を無くしたいと思います。だって、わたくしとご主人様の子供はハーフエルフですから!」

「リルもリルも黙っていない!」

 コレットがアホなことを言い、リルも意味がわかっているのかいないのか、賛同の声を上げた。
 
「……まあ、アッシュさんの仲間に手出しするような奴なんざ。このギルドにいるわけねぇですよ」

「ここまで、力の差を見せつけられちゃな」

 冒険者たちが頷き合う。

「それにレイナちゃんて、かなりの美少女じゃねえか!? な、今度、俺と酒でも飲まねぇか?」

「はっ? 何言ってのよ。殺すわよ」

 レイナにチョッカイを出そうとした男がいたが、彼女に睨まれて怯んだ。
 100人近い荒くれ者を率いていたレイナを甘く見るとは、命知らずな奴だな。
 
「わ、わかりました。では、清掃のお仕事などを紹介させていただきます。
 それとアッシュ様とリル様とコレット様は今回のクエスト達成で、冒険者ランクがEランクにアップしました。新しいプレートを発行させていただきますね!」

「わーい!」

 リルが無邪気に喜ぶ。
 こうして俺たちはEランク冒険者へとランクアップした。
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