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4章。聖王都の攻略
38話。聖者ヨハンの罪を公開し、地獄に突き落とす
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俺は今すぐ、コレットをこの手に抱きたい衝動を懸命に抑える。
ヨハンがコレットにかけた【聖縛鎖(ホーリーチェイン)】の呪いは、未だに健在。まずは、ヨハンを仕留めることだ。
それにしても、まさか、ヨハンがアンジェリカ王女を人質に取るという愚行を犯すとは、思わなかった。
……これは使えるな。
ヨハンを破滅させ、俺とコレットが幸せに生きる未来を作る。そのための方策が浮かんだ。
『【イヴィル・ポイント】1000を消費して、スキル【ハッキング】を修得しました!
敵の魔導具を乗っ取って使えるようになるスキルです。クールタイム24時間。』
俺は修得したスキル【ハッキング】を使って、城内にある【投影魔法発生装置】にアクセスした。
複雑な魔法回路の構造が、頭に飛び込んでくるが……黒魔術師を極めた俺には、その使い方が直感的に理解できた。
魔力を流してやると、王都上空に、先程と同じように聖者ヨハンの映像が映し出される。俺はそれを窓から外をチラッと見ることで確認した。
「2週目の世界に連れて行ってやるとは……? どいう意味ですか、魔王カイ?」
ヨハンは俺の振った話に興味を惹かれたようだった。
俺たちの会話は、聖王都中に放送されていたがヨハンはそれに気づかない。
俺は闇の結界を張って、この周辺に他人が入ってこれないようにした。この結界には、遮音性もある。
「お前がコレットを拉致したのは、魔王から人々を守るためじゃなくて、コレットの能力を私的に利用したかったからだろう? だから一目散にコレットを連れて逃げようとした。違うか?」
「ふんッ、その通りですが……何を今さら」
ヨハンはいぶかしながらも、致命的な一言を発した。
「そ、それは本当なのですか、聖者ヨハン様! そ、そそそのために、わたくしまで人質に取って……!?」
アンジェリカ王女が震える声で、問い質した。
彼女にはナイスアシストと、拍手を送りたい心境だ。
「そんなことはどうでも、よろしい。魔王カイ、あなたは2週目の世界に行くためのアイテムを持っているそうですね? もしや、あなたの狙いは、和平ですか? くくくっ……そのアイテムを私に与えてくれるなら、聖王陛下に掛け合って、和平を実現しようではありませんか?」
「わたくしの質問に答えてくださいませ、ヨハン様! あなたには国家反逆罪の容疑がかかっているのですよ。お父様への目通りなど、今さら許すとお思いですか!?」
「うるさいお方ですね、アンジェリカ王女。女子供の出る幕ではありません。引っ込んでいなさい!」
「なっ……!」
ヨハンはますます墓穴を掘る。
王女に対する不遜な物言い。聖王や民たちの反感を買うには十分だ。
「アンジェリカ様、ヨハン殿には何を言っても無駄です。2週目の世界に行ければ他人など、どうなっても良いというのが、彼の考えなのですから……」
コレットが王女を安心させるように抱きしめた。
「うううっ……では、やはり、カイ様が助けてくれなければ、わたくしは拷問されていたかも知れないのですね」
「クハハハハッ! その通り。ですが、この私に聖者の証たる【光の紋章】がある限り、人々は私を神の代弁者と崇め、ひざまずきます。聖王が信じるのは、あなたの言葉ではなく、私の言葉ですよアンジェリカ王女!」
おめでたいことに、ヨハンは未だに自分が優位に立っていると思い込んでいるらしい。
「くっ……なんじゃ、この男。勇者アレスも下衆じゃったが、それに輪を掛けて下衆じゃのう」
グリゼルダが顔をしかめた。
「ヨハン、俺の目的はコレットと平和に暮らすことだ。聖王国と俺との間に、恒久的な平和を結ぶことができるなら、お前の望みの品を与えてやっても良いぞ」
「くくくっ……これは願ったりです。しかし、ご存知でしょうが、私は【アイテム鑑定】のスキルを持っています。もし、偽物など掴まさせれたら、和平など叶わいと知りなさい」
もちろん、知ってるさ。
『【イヴィル・ポイント】1000を消費して、スキル【鑑定偽装】を修得しました!
【アイテム鑑定】の結果を一部書き換え、偽装できるスキルです。有効時間1時間。クールタイム3時間』
俺は新たに【鑑定偽装】のスキルを修得して、コレットの【時のミサンガ】の鑑定テキストの一部を書き換えた。
『【時のミサンガ】。愛する人と再び会いたいという【時の聖女】の願いがこもったミサンガ。2週目に入るために必要なアイテム。握りしめて祈ると、5年前の世界にタイムリープできる』
実際には、このアイテムの効果はすでに失われており、祈ったところで何も起こらない。
【時のミサンガ】は、コレットと俺とを繋ぐアイテムだ。
本来なら、ヨハンになど決して触らせたくないが……俺とコレットが幸せに生きていくために必要なことだと割り切る。
「……これだ。受け取れ」
「こ、これは本物……!? 本物の2週目の世界に入るためのアイテムですか!」
ヨハンは【時のミサンガ】を手にすると、爆発的な歓喜に打ち震えた。
「ハハハハッ! これさえあれば、これさえあれば……!」
「それじゃ、さっそく魔王軍と聖王国軍の和平の仲介をしてもらおうか?」
「くはッ! そんなことをする訳が無いでしょう!? 愚か者同士で、勝手に殺し合っていなさい。私は2週目の世界に行く! これで世界は我が物だぁ!」
ヨハンは【時のミサンガ】を恍惚とした表情で握りしめる。
……だが、しばらく待っても何も起こらなかった。
「はっ……? な、なぜ?」
「残念だったなヨハン。それは確かに本物だが、もう効果は失われているんだ。それに、お前の本音は
【投影魔法発生装置】をハッキングして、聖王都中に放送させてもらった。みんなが知ったぞ。聖者ヨハンの本性をな」
俺は闇の結界を解除した。
それによって、外界の音も聞こえてくるようになる。
「おのれぇえええ! 皆の者、裏切り者の聖者ヨハンを拘束せよ!」
「ハッ!」
ドヤドヤと大勢の兵士が押し寄せてくる。彼らを率いているのは、聖王だった。
ヨハンの破滅は、今、この瞬間、決定したのだ。
ヨハンがコレットにかけた【聖縛鎖(ホーリーチェイン)】の呪いは、未だに健在。まずは、ヨハンを仕留めることだ。
それにしても、まさか、ヨハンがアンジェリカ王女を人質に取るという愚行を犯すとは、思わなかった。
……これは使えるな。
ヨハンを破滅させ、俺とコレットが幸せに生きる未来を作る。そのための方策が浮かんだ。
『【イヴィル・ポイント】1000を消費して、スキル【ハッキング】を修得しました!
敵の魔導具を乗っ取って使えるようになるスキルです。クールタイム24時間。』
俺は修得したスキル【ハッキング】を使って、城内にある【投影魔法発生装置】にアクセスした。
複雑な魔法回路の構造が、頭に飛び込んでくるが……黒魔術師を極めた俺には、その使い方が直感的に理解できた。
魔力を流してやると、王都上空に、先程と同じように聖者ヨハンの映像が映し出される。俺はそれを窓から外をチラッと見ることで確認した。
「2週目の世界に連れて行ってやるとは……? どいう意味ですか、魔王カイ?」
ヨハンは俺の振った話に興味を惹かれたようだった。
俺たちの会話は、聖王都中に放送されていたがヨハンはそれに気づかない。
俺は闇の結界を張って、この周辺に他人が入ってこれないようにした。この結界には、遮音性もある。
「お前がコレットを拉致したのは、魔王から人々を守るためじゃなくて、コレットの能力を私的に利用したかったからだろう? だから一目散にコレットを連れて逃げようとした。違うか?」
「ふんッ、その通りですが……何を今さら」
ヨハンはいぶかしながらも、致命的な一言を発した。
「そ、それは本当なのですか、聖者ヨハン様! そ、そそそのために、わたくしまで人質に取って……!?」
アンジェリカ王女が震える声で、問い質した。
彼女にはナイスアシストと、拍手を送りたい心境だ。
「そんなことはどうでも、よろしい。魔王カイ、あなたは2週目の世界に行くためのアイテムを持っているそうですね? もしや、あなたの狙いは、和平ですか? くくくっ……そのアイテムを私に与えてくれるなら、聖王陛下に掛け合って、和平を実現しようではありませんか?」
「わたくしの質問に答えてくださいませ、ヨハン様! あなたには国家反逆罪の容疑がかかっているのですよ。お父様への目通りなど、今さら許すとお思いですか!?」
「うるさいお方ですね、アンジェリカ王女。女子供の出る幕ではありません。引っ込んでいなさい!」
「なっ……!」
ヨハンはますます墓穴を掘る。
王女に対する不遜な物言い。聖王や民たちの反感を買うには十分だ。
「アンジェリカ様、ヨハン殿には何を言っても無駄です。2週目の世界に行ければ他人など、どうなっても良いというのが、彼の考えなのですから……」
コレットが王女を安心させるように抱きしめた。
「うううっ……では、やはり、カイ様が助けてくれなければ、わたくしは拷問されていたかも知れないのですね」
「クハハハハッ! その通り。ですが、この私に聖者の証たる【光の紋章】がある限り、人々は私を神の代弁者と崇め、ひざまずきます。聖王が信じるのは、あなたの言葉ではなく、私の言葉ですよアンジェリカ王女!」
おめでたいことに、ヨハンは未だに自分が優位に立っていると思い込んでいるらしい。
「くっ……なんじゃ、この男。勇者アレスも下衆じゃったが、それに輪を掛けて下衆じゃのう」
グリゼルダが顔をしかめた。
「ヨハン、俺の目的はコレットと平和に暮らすことだ。聖王国と俺との間に、恒久的な平和を結ぶことができるなら、お前の望みの品を与えてやっても良いぞ」
「くくくっ……これは願ったりです。しかし、ご存知でしょうが、私は【アイテム鑑定】のスキルを持っています。もし、偽物など掴まさせれたら、和平など叶わいと知りなさい」
もちろん、知ってるさ。
『【イヴィル・ポイント】1000を消費して、スキル【鑑定偽装】を修得しました!
【アイテム鑑定】の結果を一部書き換え、偽装できるスキルです。有効時間1時間。クールタイム3時間』
俺は新たに【鑑定偽装】のスキルを修得して、コレットの【時のミサンガ】の鑑定テキストの一部を書き換えた。
『【時のミサンガ】。愛する人と再び会いたいという【時の聖女】の願いがこもったミサンガ。2週目に入るために必要なアイテム。握りしめて祈ると、5年前の世界にタイムリープできる』
実際には、このアイテムの効果はすでに失われており、祈ったところで何も起こらない。
【時のミサンガ】は、コレットと俺とを繋ぐアイテムだ。
本来なら、ヨハンになど決して触らせたくないが……俺とコレットが幸せに生きていくために必要なことだと割り切る。
「……これだ。受け取れ」
「こ、これは本物……!? 本物の2週目の世界に入るためのアイテムですか!」
ヨハンは【時のミサンガ】を手にすると、爆発的な歓喜に打ち震えた。
「ハハハハッ! これさえあれば、これさえあれば……!」
「それじゃ、さっそく魔王軍と聖王国軍の和平の仲介をしてもらおうか?」
「くはッ! そんなことをする訳が無いでしょう!? 愚か者同士で、勝手に殺し合っていなさい。私は2週目の世界に行く! これで世界は我が物だぁ!」
ヨハンは【時のミサンガ】を恍惚とした表情で握りしめる。
……だが、しばらく待っても何も起こらなかった。
「はっ……? な、なぜ?」
「残念だったなヨハン。それは確かに本物だが、もう効果は失われているんだ。それに、お前の本音は
【投影魔法発生装置】をハッキングして、聖王都中に放送させてもらった。みんなが知ったぞ。聖者ヨハンの本性をな」
俺は闇の結界を解除した。
それによって、外界の音も聞こえてくるようになる。
「おのれぇえええ! 皆の者、裏切り者の聖者ヨハンを拘束せよ!」
「ハッ!」
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