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「これ植え替えって出来るかな?」
アシュマルナからもらった例のあの場所、『拠点』とでも呼ぼうと思うが、その拠点に畑を作って栽培したいなと思い付く。自由に出来る土地はいっぱいあるんだし植物系は他の物も自家栽培すればいいのでは?苗とか種とか手に入れて……。
「リヒトは農作業の経験があるのか?」
「学級菜園くらいかな」
「がっきゅうさいえん?」
「あー、子供の頃って事だよ」
小学校の時にあったんだよ。きゅうりとかなすとかとうもろこしとかをクラス用の畑で育てて収穫した記憶がある。あと、さつまいも掘りとか校庭にあったミニ田んぼでもち米作りをやった記憶も。
「でも、やったなって記憶があるだけで細かい事とか覚えてないけど」
「その状態でよくやってみようと……」
「いや、魔法でいけるかなって」
ちょっとソランツェも呆れ顔だけど、土耕したり草抜きとか水やりとか、ほら、魔法が。肥料とかよく判んないけど魔法で(アシュマルナが)どうにかしてくれそうだし。品種改良っぽい事も出来たりするのかな?
「リヒトの場合は魔法というか、まあ……リヒトの場合は出来るんだろうからな。やってみればいいだろう」
「じゃあ、ユグイトの後に拠点に畑を作りに行こうか。あと、ついでに家もちゃんとしたの作る」
どんな感じにしようかとソランツェに希望があるか訊いていると、
「あの……拠点といいますと?」
「あ、言ってなかった?」
すっかり置いてけぼりだったライアスに総教国の遥か上空、シシュヴァルト山頂部に俺の土地があるんだよと説明。今度連れて行くよ~。
「あ、ライアスの家も建てちゃう?」
「はぁ?」
お、素が出た。めちゃくちゃ眉間に皺寄ってるぞ。あはは。
++++++
翌日、ユグイトに着くまでの間にいっぱい収穫した苺(ラリアフ)の一部でジャム作り。助手はライアス君でーす。
材料は砂糖もレモン果汁もあるし、ジャムの作り方も中学の頃リンゴジャムを調理実習で作ったので何となくは覚えているのでいけるはず。
「出来るだけ魔法は使わずやるぞ~!」
お~!と手をあげてチラッとライアスを見てみれば戸惑いながら「お~……?」ってやってくれた。いい子だな、君は。
さて、魔法を使わないので苺のヘタ取りも手作業。二人でキッチンに並んで黙々と洗った苺のヘタ部分を切り落としていく。とりあえず仕上がり一キロ分くらい?
ヘタを取り終わったら砂糖とレモン果汁を満遍なくぶっかけて水分出し。水分が出て来るまで休憩。
「リヒト様、この白い物は一体何でしょうか?」
「砂糖だけど、見た事ない?」
「さとう……、砂糖……これが」
なんか微妙な反応だったので続きを促せば、存在は知っているが口にした事がないと。
砂糖は南方の気温が高い国で生産されている物で、作るのに手間もかかるので生産国以外で手に入る物ではないという知識だけを持っているそう。それでも一応生産国以外でも国自体には入っては来ているらしいが、
「上と上の方だけのやり取りで国に入り、上だけで消費される物ですね」
「あー そういうレベルのやつかあ」
そのレベルの物をここでは何の躊躇もなく五百グラム以上使ってるんだから微妙な反応にもなるか……と、そういえば、ララタスでは皆に飴配っちゃったしイルム達にも渡したけど大丈夫かな?砂糖そのものって訳じゃないしバレないかな?
気になったので一般の甘味料はどうなっているのか訊くと、そこそこ値は張るものだが平民でも一応買える蜂蜜か樹液を煮詰めた物らしい。樹液ってメープルシロップみたいなのかな?原材料言わない限りは多分、大丈夫そう。
「それで、このラリアフはどんな物に仕上がるんですか?」
「ジャムって判る? 果物を甘く煮てドロッとしたソースみたいなのを作って保存するやつ」
パンに塗ったりして食べるんだけど、と説明すれば首を傾げつつ少し考えて何か判ったらしく。
「あぁ、蜜煮の事ですか? 蜂蜜で果物を甘く煮て潰した物がありますね」
「蜜煮……?」
今度は俺が首を傾げる番。俺の知ってる『蜜煮』とジャムは違うけど……でも、俺の説明でライアスは『蜜煮』に辿り着くなら一緒か?蜂蜜でもジャムって作れるんだっけ?糖分で煮るって所が一緒だし作れるのかな?習ったんだろうけどそこら辺まで覚えてないからなあ。
「現物見たいな。市場とかで売ってる?」
「どうでしょうか……どちらかというと蜜煮は家庭で作られるものなので……。貴重な魔蜂の蜜の物は貴族向けの店でたまに売られていたりもしますが」
「魔蜂の蜜? 貴重?」
んん?なんだそれ。気になるぞ。
「はい。貴重な高級品ですね」
どんな物かと訊くと、普通の蜂蜜などは甘味が控えめなあっさりとした味わいのものだけど、魔蜂の蜜は甘味が強くて濃い味わいのものらしい。
で、平民でも買える価格の蜂蜜と魔蜂の蜜は違って、まず平民には手が届かない価格のもの。普通の蜂が生息しないらしい高地で蜜を集める魔蜂の巣は断崖にあり蜂蜜を手に入れるのがすごく大変なのでそこら辺も価格に反映されていると。もたもたしていたら魔蜂の猛攻を受けるそうだ。そりゃそうだ。巣だもん。
水分が出たら火にかけて、灰汁を取ってとろみがつくまで煮詰めたら出来上がり。がっつり潰さずおおまかに形は残すタイプにしてみた。
味見用に三人分小皿に取って残りを熱い内に瓶に詰める。瓶詰だけは魔法でやった。殺菌とか密封とかあるし。あと、忘れていたけど、効きはしないが薬って事ならば一応薬効成分は抜いた方がいいかもしれないと気付いて魔法で処理もしておいた。塵も積もれば山となってなんか影響出たら困るしな。クスリはリスクって言うし。
冷ますのも魔法でやって本当に完成。あとは試食だな!
アシュマルナからもらった例のあの場所、『拠点』とでも呼ぼうと思うが、その拠点に畑を作って栽培したいなと思い付く。自由に出来る土地はいっぱいあるんだし植物系は他の物も自家栽培すればいいのでは?苗とか種とか手に入れて……。
「リヒトは農作業の経験があるのか?」
「学級菜園くらいかな」
「がっきゅうさいえん?」
「あー、子供の頃って事だよ」
小学校の時にあったんだよ。きゅうりとかなすとかとうもろこしとかをクラス用の畑で育てて収穫した記憶がある。あと、さつまいも掘りとか校庭にあったミニ田んぼでもち米作りをやった記憶も。
「でも、やったなって記憶があるだけで細かい事とか覚えてないけど」
「その状態でよくやってみようと……」
「いや、魔法でいけるかなって」
ちょっとソランツェも呆れ顔だけど、土耕したり草抜きとか水やりとか、ほら、魔法が。肥料とかよく判んないけど魔法で(アシュマルナが)どうにかしてくれそうだし。品種改良っぽい事も出来たりするのかな?
「リヒトの場合は魔法というか、まあ……リヒトの場合は出来るんだろうからな。やってみればいいだろう」
「じゃあ、ユグイトの後に拠点に畑を作りに行こうか。あと、ついでに家もちゃんとしたの作る」
どんな感じにしようかとソランツェに希望があるか訊いていると、
「あの……拠点といいますと?」
「あ、言ってなかった?」
すっかり置いてけぼりだったライアスに総教国の遥か上空、シシュヴァルト山頂部に俺の土地があるんだよと説明。今度連れて行くよ~。
「あ、ライアスの家も建てちゃう?」
「はぁ?」
お、素が出た。めちゃくちゃ眉間に皺寄ってるぞ。あはは。
++++++
翌日、ユグイトに着くまでの間にいっぱい収穫した苺(ラリアフ)の一部でジャム作り。助手はライアス君でーす。
材料は砂糖もレモン果汁もあるし、ジャムの作り方も中学の頃リンゴジャムを調理実習で作ったので何となくは覚えているのでいけるはず。
「出来るだけ魔法は使わずやるぞ~!」
お~!と手をあげてチラッとライアスを見てみれば戸惑いながら「お~……?」ってやってくれた。いい子だな、君は。
さて、魔法を使わないので苺のヘタ取りも手作業。二人でキッチンに並んで黙々と洗った苺のヘタ部分を切り落としていく。とりあえず仕上がり一キロ分くらい?
ヘタを取り終わったら砂糖とレモン果汁を満遍なくぶっかけて水分出し。水分が出て来るまで休憩。
「リヒト様、この白い物は一体何でしょうか?」
「砂糖だけど、見た事ない?」
「さとう……、砂糖……これが」
なんか微妙な反応だったので続きを促せば、存在は知っているが口にした事がないと。
砂糖は南方の気温が高い国で生産されている物で、作るのに手間もかかるので生産国以外で手に入る物ではないという知識だけを持っているそう。それでも一応生産国以外でも国自体には入っては来ているらしいが、
「上と上の方だけのやり取りで国に入り、上だけで消費される物ですね」
「あー そういうレベルのやつかあ」
そのレベルの物をここでは何の躊躇もなく五百グラム以上使ってるんだから微妙な反応にもなるか……と、そういえば、ララタスでは皆に飴配っちゃったしイルム達にも渡したけど大丈夫かな?砂糖そのものって訳じゃないしバレないかな?
気になったので一般の甘味料はどうなっているのか訊くと、そこそこ値は張るものだが平民でも一応買える蜂蜜か樹液を煮詰めた物らしい。樹液ってメープルシロップみたいなのかな?原材料言わない限りは多分、大丈夫そう。
「それで、このラリアフはどんな物に仕上がるんですか?」
「ジャムって判る? 果物を甘く煮てドロッとしたソースみたいなのを作って保存するやつ」
パンに塗ったりして食べるんだけど、と説明すれば首を傾げつつ少し考えて何か判ったらしく。
「あぁ、蜜煮の事ですか? 蜂蜜で果物を甘く煮て潰した物がありますね」
「蜜煮……?」
今度は俺が首を傾げる番。俺の知ってる『蜜煮』とジャムは違うけど……でも、俺の説明でライアスは『蜜煮』に辿り着くなら一緒か?蜂蜜でもジャムって作れるんだっけ?糖分で煮るって所が一緒だし作れるのかな?習ったんだろうけどそこら辺まで覚えてないからなあ。
「現物見たいな。市場とかで売ってる?」
「どうでしょうか……どちらかというと蜜煮は家庭で作られるものなので……。貴重な魔蜂の蜜の物は貴族向けの店でたまに売られていたりもしますが」
「魔蜂の蜜? 貴重?」
んん?なんだそれ。気になるぞ。
「はい。貴重な高級品ですね」
どんな物かと訊くと、普通の蜂蜜などは甘味が控えめなあっさりとした味わいのものだけど、魔蜂の蜜は甘味が強くて濃い味わいのものらしい。
で、平民でも買える価格の蜂蜜と魔蜂の蜜は違って、まず平民には手が届かない価格のもの。普通の蜂が生息しないらしい高地で蜜を集める魔蜂の巣は断崖にあり蜂蜜を手に入れるのがすごく大変なのでそこら辺も価格に反映されていると。もたもたしていたら魔蜂の猛攻を受けるそうだ。そりゃそうだ。巣だもん。
水分が出たら火にかけて、灰汁を取ってとろみがつくまで煮詰めたら出来上がり。がっつり潰さずおおまかに形は残すタイプにしてみた。
味見用に三人分小皿に取って残りを熱い内に瓶に詰める。瓶詰だけは魔法でやった。殺菌とか密封とかあるし。あと、忘れていたけど、効きはしないが薬って事ならば一応薬効成分は抜いた方がいいかもしれないと気付いて魔法で処理もしておいた。塵も積もれば山となってなんか影響出たら困るしな。クスリはリスクって言うし。
冷ますのも魔法でやって本当に完成。あとは試食だな!
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