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第二十一話 告白
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そして翌日。死神ちゃんの運命を決める最終日だ。
姉さんが起きてきたのは昼過ぎだった。
「おはよう」
寝過ぎたからかぼんやりとした目を擦りながら姉さんがリビングにやってくる。
「おはよう!」
死神ちゃんはソファから飛び起きると姉さんの元へ駆けよった。
「お腹空いてない? 朝ごはんたべる?」
「まだいいかな。今寝起きでそんなにお腹空いてないし」
「そっか」
早くプリンを食べさせたかった死神ちゃんは残念そうに言った。
「ねえ、死神ちゃんこっちにきて」
死神ちゃんがショックを受けている間にソファに座った姉さんが自分の足を叩いて示す。
死神ちゃんは戸惑いつつも足の上にすわる。すると姉さんにぎゅっと抱きしめられる。
「本当に死神ちゃんは可愛いね。本当に妹みたい。いや、もう妹か。死神ちゃんは私の妹。うん。それがいい」
姉さんは一方的に言い切るといっそう強く死神ちゃんを抱きしめた。そして死神ちゃんの頭を撫でて、頬を揉んで、べらぼうに愛でた。死神ちゃんはただされるがままにしていた。大好きな人にたくさん触れられて幸せだからだ。
そうしてしばらく抱きしめられていると死神ちゃんのお腹が鳴った。
「朝ごはん食べようか」
姉さんに言われて死神ちゃんは冷蔵庫に向かった。そして大きなプリンを大皿の上に出して運ぶ。
「大きいねえ」
「でしょ! さあ姉さん、一緒に食べよう!」
「うん。ありがとう」
姉さんに一緒に持ってきたスプーンを渡し、二人でプリンをつっつく。
「美味しい」
「それは良かった」
それ以上会話は続かなかった。妙な緊張感がその場を埋め尽くしていた。
「ねえ、姉さん」
死神ちゃんが覚悟を決めて言葉を発する。その声色に姉さんもプリンを食べる手を止めた。
「……どうしたの?」
「あのね、アタシ姉さんのことが好きなんだ。ずっと、ずーっと大好きなんだ。だから、恋人になって欲しい」
死神ちゃんがゆっくりと言葉を紡いで告白した。姉さんは一度目を閉じ、上を向いて何かを考えるようなそぶりをしてから、死神ちゃんの目をまっすぐ見て答えた。
「ありがとう。とっても嬉しい。けど、ごめんなさい。私にとってあなたは可愛い妹なの。どうしても、私はあなたを恋人として見れない。ごめんなさい」
姉さんは優しく丁寧に断った。だがどんなに優しかろうと丁寧だろうと結果は変わらない。
死神ちゃんは姉さんと恋仲になることができなかった。失敗したのだ。その場合の結末は最初から決まっていた。彼女は存在ごと消失する。
姉さんが起きてきたのは昼過ぎだった。
「おはよう」
寝過ぎたからかぼんやりとした目を擦りながら姉さんがリビングにやってくる。
「おはよう!」
死神ちゃんはソファから飛び起きると姉さんの元へ駆けよった。
「お腹空いてない? 朝ごはんたべる?」
「まだいいかな。今寝起きでそんなにお腹空いてないし」
「そっか」
早くプリンを食べさせたかった死神ちゃんは残念そうに言った。
「ねえ、死神ちゃんこっちにきて」
死神ちゃんがショックを受けている間にソファに座った姉さんが自分の足を叩いて示す。
死神ちゃんは戸惑いつつも足の上にすわる。すると姉さんにぎゅっと抱きしめられる。
「本当に死神ちゃんは可愛いね。本当に妹みたい。いや、もう妹か。死神ちゃんは私の妹。うん。それがいい」
姉さんは一方的に言い切るといっそう強く死神ちゃんを抱きしめた。そして死神ちゃんの頭を撫でて、頬を揉んで、べらぼうに愛でた。死神ちゃんはただされるがままにしていた。大好きな人にたくさん触れられて幸せだからだ。
そうしてしばらく抱きしめられていると死神ちゃんのお腹が鳴った。
「朝ごはん食べようか」
姉さんに言われて死神ちゃんは冷蔵庫に向かった。そして大きなプリンを大皿の上に出して運ぶ。
「大きいねえ」
「でしょ! さあ姉さん、一緒に食べよう!」
「うん。ありがとう」
姉さんに一緒に持ってきたスプーンを渡し、二人でプリンをつっつく。
「美味しい」
「それは良かった」
それ以上会話は続かなかった。妙な緊張感がその場を埋め尽くしていた。
「ねえ、姉さん」
死神ちゃんが覚悟を決めて言葉を発する。その声色に姉さんもプリンを食べる手を止めた。
「……どうしたの?」
「あのね、アタシ姉さんのことが好きなんだ。ずっと、ずーっと大好きなんだ。だから、恋人になって欲しい」
死神ちゃんがゆっくりと言葉を紡いで告白した。姉さんは一度目を閉じ、上を向いて何かを考えるようなそぶりをしてから、死神ちゃんの目をまっすぐ見て答えた。
「ありがとう。とっても嬉しい。けど、ごめんなさい。私にとってあなたは可愛い妹なの。どうしても、私はあなたを恋人として見れない。ごめんなさい」
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