史上最強の料理人(物理)~役立たずと言われパーティを追放されましたが、元帝国最強騎士なのは内緒です~

枯井戸

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アルバイターガレイト

閑話 ブリギットちゃんは説明下手

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「あら? あらあらあら? ブリギットちゃん!? どうしたの、こんなところで?」


 モーセが物珍しそうな顔で、ブリギットの顔を見る。
 ブリギットはそれを受け、恥ずかしそうに「こ、こんにちは……」とだけ答えた。


「最近は、ブリも知らない人と話せるようになったんだよ」

「いや、知らない人ってあんたね……でもそっかぁ、いつも厨房にいるか、自分の部屋にこもりっきりだったもんねぇ……」

「まあ、それもこれも、ガレイトさんのお陰だと思うよ。肉も触れるようになったしね」

「へえ! 慣れたの? 肉と、このガレイトさんに?」

「お、おかげさまで……」


 何も言わないものの、ブリギットの隣で居心地悪そうに作業をするガレイト。


「まあ、ガレイトさん以上に怖……大きい人なんて、そんなにいないしね。最初の頃はあんなに気絶してたのに……偉いわよ、ブリギットちゃん」

「そ、そんな……」

「でも、結構急じゃない? 前に見たときは、こんなに距離縮まってなかったでしょ?」

「そ、それは……ね?」

「うんうん、それは……?」

「夜の、山の、暗い……真っ暗闇の中で、何度も何度も、ガレイトさんに気絶させられて……」

「へ?」


 モーセとガレイトの顔が凍り付く。


「それで、やっと体が慣れてきたら、今度は手を掴まれて、逃げられなくされて……それで、無理やりゴシゴシって(肉の)下処理をしたの」

「えーっと……」

「ぶ、ブリギットさん……あまりにも説明を端折りすぎです……!」

「そしたらいつの間にか、お肉にも、ガレイトさんにも慣れてて……今ではもう、大丈夫……とまではいかないけど、前よりは全然できる・・・ようになったかな」

「そ、そっかぁ~……ふぅ~ん……?」


 モーセが目だけ笑った状態でガレイトを見る。


「いえ、違います! こ、これは、ブリギットさんが変な言い回しをしたから、そう聞こえるだけで……」

「え? ご、ごめんなさい、ガレイトさん……私、一生懸命説明しようとしたんだけど、そんなつもりは……」

「う……!?」


 落ち込むブリギット。
 それを見て、さらに不自然に慌てふためくガレイト。


「たしかに、ブリギットさんが説明してくださったのに……俺は何という事を……だが、肯定したら肯定したで、俺の名誉が……っく……!」


 握りこぶしを作り、わなわなと震わせるガレイト。


「──しかもこの人、私に何度も酷いことしてきたんです。嫌がる私を押さえつけて、無理やり何度も何度も……」


 イルザードがウソ泣きをしながら、手で顔を覆う。


「い、イルザード貴様……! ややこしくなるから、そういう冗談はやめろ!」

「え? ごめんなさい、ガレイトさん。私、一生懸命説明しようとしただけで……」

「き、貴様というやつは……!」

「……ガレイトさん? あとですこしお話があるので、ギルドのほうに来てくださいね~」


 モーセがガレイトに微笑みかけるが、その顔は笑っていなかった。


「誤解です!!」
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