オメガの王 

むつみ

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8話 α達の狂宴2

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 声の主はそのまま奥の玉座の様な椅子にドカッと座ると脚を組み、気怠げに頬杖をついてオメガ達を見回した。

 「さて、どいつを選ぼうかねえ。(まあ、どうせどいつも同じだろうが・・)」

 「そんなこと言って、どうせ誰も選ばないんでしょ?ローカスは。」

 ローカスと呼ばれたαの王は、己が座る椅子の横にスッと立った綺麗な金髪の長髪の男を横目に、うるせえと言い返す。

 だが、言われた事が間違っているわけでもないからそれ以上は何も言わない。

 言ったのがコイツじゃなかったら、不敬罪で張り倒していたところだ。

 「クソッ、興が削がれた。お前らの好きに選べ。」

 近くで待機していたアルファ達にそう命令した。結局、いつものパターンだ。

 どうせ、どのΩも自分の心を動かす事は無いのだ。今まで、発情したΩのフェロモンに興が乗れば幾人か抱いてきたが、どれも己の心を満たす事はなく、情事後は気怠さと虚しさが残るだけだった。αの王という特殊な体質だからかΩのフェロモンも効きにくく他のアルファ達のように理性を無くす事もなく味気ない物だった。

 それが繰り返され、最近は、オメガとの行為に自身が興奮することもなく、、情けない話だが、勃たなくなってからは発情したΩの僅かに漂うフェロモンさえ煩わしく感じた。

 今日のような宴も、学園という閉鎖的な空間に押し込められ、Ωという獲物を前に本能が刺激された同胞達の懇願によるものだ。同胞とは言え他人の懇願など、本来なら聞いてやる義理もないが、、

 断るのも面倒だったし、αの王である己の学園内での権力を知らしめる為にも良い機会だと思ったからだ。

 そう言えば、Ωの王の証を持った2人のオメガは既に同胞のアルファの手に堕ちていたな。己が出る幕もなく呆気なく堕落させられていたが。

 オメガとはいえ同じ王の資格を持つ者が自分より格下の者に蹂躙され嬲られているのを見るのは己の嗜虐的思考が刺激され、なかなか楽しめた。泣き崩れる姿は煩かったがまあまあ征服欲は満たされた。

 まあ、快楽に堕ちた後のオメガは実に呆気なく情けない様だったが。最後は鳴き声になっていたしな。

 あの時は少しは楽しめたな。今回も少しは面白みのあるオメガが居れば良いが・・

 「ローカスったら、悪い事考えてるでしょ?顔が腹黒そう。」

 「腹黒はお前だろうが。腹黒神の化身のような男が何を言いやがる。」

 「ふふっ、そうかもね。でも性格の悪さはローカスに負けるよー。」

 先程ローカスに気軽に話しかけていた金髪の青年は、ローカスの嫌味を飄々とかわすと、そのまま段差を降りていく。

 「さて、皆んなどの子を選ぶのかなあ?ちょっと僕も参加してくるよ。」

 ローカスの方を振り返り、にこりとウインクする。

 「知るか。勝手に行ってこいシャルル」

 華麗な動きで、オメガ達を選んでいる同胞の所へ向かうシャルルの後ろ姿を見てふと思う。

 さて、今日の生贄はどいつになるのだろうか?と。

 一見品のある綺麗な顔立ちで優しい貴公子のように見えるシャルルだが、アイツの本質は腹黒で加虐体質だ。相手になるオメガは散々な目に遭わされるだろう。

 まあ、オメガがどうなろうと関係ないし、己の本質もアルファである限りシャルルとそう違わない。

 「俺も人の事は言えねえしなぁ。」

 
 


 
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