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エピローグ
辻秋成
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太陽が照りつける地面は思った以上に暑い。アキナリは自分が厚着をして外に出たことを幾ばくか後悔した。
桜は昨年、ついにアキナリの家から巣立っていった。
一時は幼なじみの少年とルームシェアをする、と言っていた桜だが結局落ち着きを取り戻して、その後もうしばらくアキナリの家に居続けていた。
それからアキナリは桜に勉強を教えることにした。中学の卒業資格を持っていなくても、満16歳以上であれば高卒認定試験を受験できることを伝えると、桜の眼が輝いたからだ。
「じゃあアッキー、これから私に勉強を教えてよ」
しょうがないなあ、そう答えたアキナリだったが、本当の事を言えば桜のために自分が何かしてやれることが嬉しくて仕方がなかった。
桜は真面目に勉強をして、19歳の夏とうとう高卒認定試験に合格することができた。4月から働く新しい就職先も見つかって、今では遠い地で一人暮らしを始めている。
再び自分だけの生活に戻ったアキナリは、桜が最後に残した感謝の手紙を宝物のように大切に保管している。桜の手紙を読むと、今でも涙が止まらない。詰まる所、自分は桜の事が「好き」なのだ。
俺はロリコンなんだ、と自分に言い聞かせて何も考えないようにはしていた。桜が16を超えた辺りからは敢えて冷たく接したりもした。それでも共に生活していく中で、だんだん自分の情が桜に移っていくのを止めることができなかった。
「おぅ、俺はロリコンだから桜ちゃんがどっか行っても何とも思わないから、じゃあねバイバイ」
桜を好きになることが苦しすぎて、最後までこんな台詞を彼女に吐いてしまった。そう簡単に気持ちを割り切れないことは自分が一番よくわかっているのに。
最近やっと理解できたことがある。かつて引きこもりだった自分は、人間、なかでも自分の理解の及ばない存在である、女性に傷つけられることを極端に恐れていた。俺は先天的に幼女が好きなのではなく、自分を傷つけることのない相手として幼女を選んでいたのだと。
だから心から信頼していた桜が居なくなってしまった時は胸が締め付けられて、苦しくて、痛くてしょうがなかった。
それでもアキナリは、こんな気持ちになれたこと自体、桜に感謝していた。
「桜が俺から離れて起こったこの胸の苦しさ、これが愛だったんだな。俺は産まれてから30年も生きてきたのにちっとも分からなかった。俺は桜にそれを教えてもらったよ、ありがとう」
そんな台詞を言って、桜に素敵、と言ってもらえるような最愛の人を紹介する。それが今のアキナリの目標であり、楽しみだ。
「よし、合コン気合い入れるぞ」
気持ちを高めて腕をまくる。空は輝いていた。
桜は昨年、ついにアキナリの家から巣立っていった。
一時は幼なじみの少年とルームシェアをする、と言っていた桜だが結局落ち着きを取り戻して、その後もうしばらくアキナリの家に居続けていた。
それからアキナリは桜に勉強を教えることにした。中学の卒業資格を持っていなくても、満16歳以上であれば高卒認定試験を受験できることを伝えると、桜の眼が輝いたからだ。
「じゃあアッキー、これから私に勉強を教えてよ」
しょうがないなあ、そう答えたアキナリだったが、本当の事を言えば桜のために自分が何かしてやれることが嬉しくて仕方がなかった。
桜は真面目に勉強をして、19歳の夏とうとう高卒認定試験に合格することができた。4月から働く新しい就職先も見つかって、今では遠い地で一人暮らしを始めている。
再び自分だけの生活に戻ったアキナリは、桜が最後に残した感謝の手紙を宝物のように大切に保管している。桜の手紙を読むと、今でも涙が止まらない。詰まる所、自分は桜の事が「好き」なのだ。
俺はロリコンなんだ、と自分に言い聞かせて何も考えないようにはしていた。桜が16を超えた辺りからは敢えて冷たく接したりもした。それでも共に生活していく中で、だんだん自分の情が桜に移っていくのを止めることができなかった。
「おぅ、俺はロリコンだから桜ちゃんがどっか行っても何とも思わないから、じゃあねバイバイ」
桜を好きになることが苦しすぎて、最後までこんな台詞を彼女に吐いてしまった。そう簡単に気持ちを割り切れないことは自分が一番よくわかっているのに。
最近やっと理解できたことがある。かつて引きこもりだった自分は、人間、なかでも自分の理解の及ばない存在である、女性に傷つけられることを極端に恐れていた。俺は先天的に幼女が好きなのではなく、自分を傷つけることのない相手として幼女を選んでいたのだと。
だから心から信頼していた桜が居なくなってしまった時は胸が締め付けられて、苦しくて、痛くてしょうがなかった。
それでもアキナリは、こんな気持ちになれたこと自体、桜に感謝していた。
「桜が俺から離れて起こったこの胸の苦しさ、これが愛だったんだな。俺は産まれてから30年も生きてきたのにちっとも分からなかった。俺は桜にそれを教えてもらったよ、ありがとう」
そんな台詞を言って、桜に素敵、と言ってもらえるような最愛の人を紹介する。それが今のアキナリの目標であり、楽しみだ。
「よし、合コン気合い入れるぞ」
気持ちを高めて腕をまくる。空は輝いていた。
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