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ミキヤのクエスト
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ブリリアント3姉妹と一緒に冒険者ギルドに入ると、俺に気がついた女性が駆け寄ってきた。
「ちょ、ちょっと、なんでここにいるの!?」
彼女はサユリ。冒険者ギルドの受付嬢で、俺の担当でもある。
目つきは鋭く、真面目で、いかにも仕事の出来る女性って感じだ。
普段は落ち着いているのだが、珍しく表情を剥き出しだ。
「そんなに慌てなくてもいいだろ」
「慌てるわよ!クエストは終わったの?」
「ワーウルフ討伐なら終わったよ。今から報告するところだ」
3姉妹は俺が指を指すと、同時に頭を下げた。
うん、息ぴったりだ。
「それはお疲れ様…って、そっちじゃないわよ!3つのS級モンスター討伐の方よ!」
あーそんなもんあったな。
このパーティの居心地が良すぎて忘れていた。
どうなったんだけっか…そうだ、思い出した。
「2つは終わったぞ」
「あとひとつは?」
「さあ?」
「さあ…って、ちょっと無責任すぎない?」
サユリは俺を責めたててくる。
ああそうか、あのことをまだ伝えてなかったな。
「俺はあのパーティから追い出されたから。あ、これ契約書な」
サユリは黙って契約書を受け取ると、内容を確認した。
途中から肩が震えだし、読み終わるころには鬼の形相になっていた。
「あのバカども…」
「てことで俺は関係ない」
「…ちょっと待ちなさい」
立ち去ろうとすると、肩を掴まれた。
「倒したモンスターは?」
「ドラゴンとモグラ」
「モグラ…って、ああサンドイーターのことね…じゃあ残っているのは、ミノタウロス…って、最悪じゃない!」
目の前で頭を抱えて呻きだす。
よし、逃げるなら今だ。
足音を消して…よし、気配は消した。
そのまま回れ右をして脱出成功…のはずだったのだが、肩をつかまれた。
「待ちなさい」
「今度は何だよ」
なぜ逃げようとしているのがばれた。
思わず口にしかけた言葉を飲み込んだ。
「S級討伐は貴方がいたから許可したの。最後まで責任を取りなさい」
「そんなに焦らなくても誰かやるだろ」
S級を相手に出来るパーティは限られている。
冒険者ギルドもクエストの期日には余裕を持たせていて、確実に討伐できるように配慮している。
「それがだめなのよ。ミノタウロスは今日をすぎると、進化するのよ。下手すればこの国が一つ吹き飛ぶレベルのモンスターに」
「まじか」
無視するつもりでいたが、さすがにそれはやばいな。
「なんでそんな期日設定したんだよ」
「クエスト自体はずっとあったわよ。誰も受けなかっただけで」
それはギルドの怠慢であって、俺は悪くないのではないだろうか?
いや、受けるとなった段階で、クエストの募集は取り下げられる。
すべての責任を押し付けるのは違うか。
「そういえばアイツらは戻ってきたのか?無理だろうしクエストをキャンセルしに来ると思うんだけど?」
「来てないわね…って、まさか」
「三人で行ったのか?…いやそんな…ありえるか」
「ありえるわね」
なにせ俺を追い出したぐらいなんだから。
「仕方ない…ちょっくら倒してくるわ」
S級か…一人で相手にするのはしんどいな。
しかも進化手前ってことは、かなり狂暴化しているはずだ。
あーしんど…。
「せ、先輩っ、もしかしておひとりで行くつもりなんですか?」
「え、そうだけど?」
昼はとっくに回っている。
期日が今日となれば、今からパーティメンバーを探している時間はない。
どうせ何もしなかったら国が滅びるんだ。
ひとりで挑んで負けても大差はない。
歩き出そうとすると、タエが行く手を阻んできた。
俺を見上げる瞳は、いつものおどおどとしたものや、優しい笑みとは違った。
だが、それが具体的になんなのか俺には分からない。
なにか言おうと口を動かしている様だが、なかなか言葉になってこない。
「俺は急ぐから…」
強引に通り抜けようとすると、今度はサクラが邪魔をしていた。
反対側にはミサキもいる。
「先輩さんも鈍いんだね」
「そうよ、水臭いじゃない」
まさか、一緒に行くっていうんじゃないだろうな?
そんな危険に彼女たちを巻き込むわけにはいかない。
俺が今から行くのはS級モンスターのところだぞ?
「しぇ、しぇんぱい、私も行きます!」
「へ?」
噛み噛みで、言ってからタエは顔を真赤にした。
なんだよこの小動物…。
なんだか考えるのがバカバカしくなってきた。
「私たちでは実力がたりない?」
「いいや」
むしろ、十分すぎるぐらいだ。
一度戦いを見ているから戦術も立てやすい。
一つ懸念点があるとすれば、一度魔力を使っていることだ。
特にミサキは大量の魔具の使用で、魔力を無駄遣いしている。
「だったらいいわよね?それにタエがあそこまで言ったんだから責任と取りなさい」
ミサキは仁王立ちで睨みつけてきたが、最後には笑っていた。
タエは今も顔を真赤にしていたが、それでも変わらず見つめてくる。
まったく、仕方のない奴らだ。
そう思うのに…俺は笑っていた。
また彼女たちとクエストを出来るのかと思うと、S級を相手にする億劫さよりも、ワクワクが勝っていた。
「タエ、俺のクエストを手伝ってくれないか?」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
今度は噛まなかった。
そこは違う。
「おいおい、ここは噛んで笑わせるのがお決まりだろ?」
「先輩は意地悪です…」
タエが不満そうにそっぽを向くもんだから、気付けば頭を撫でていた。
「おー」とか「へー」とかギャラリーの声がしたが、不思議と気にならない。
したいことをするってのも、悪くないな。
「ということだサユリ」
「分かった。クエストの手続きはしておくからいってきて」
「話が早くて助かる。あと三人のワーウルフ討伐も終わっているから。証人は俺だ」
「受諾しました」
そういえば、自分でクエストを受けるのはいつ以来だろうか?
最近は、パーティが受けたクエストに同行していただけだったな。
これもある意味、したいことになるのだろうか?
「ちょ、ちょっと、なんでここにいるの!?」
彼女はサユリ。冒険者ギルドの受付嬢で、俺の担当でもある。
目つきは鋭く、真面目で、いかにも仕事の出来る女性って感じだ。
普段は落ち着いているのだが、珍しく表情を剥き出しだ。
「そんなに慌てなくてもいいだろ」
「慌てるわよ!クエストは終わったの?」
「ワーウルフ討伐なら終わったよ。今から報告するところだ」
3姉妹は俺が指を指すと、同時に頭を下げた。
うん、息ぴったりだ。
「それはお疲れ様…って、そっちじゃないわよ!3つのS級モンスター討伐の方よ!」
あーそんなもんあったな。
このパーティの居心地が良すぎて忘れていた。
どうなったんだけっか…そうだ、思い出した。
「2つは終わったぞ」
「あとひとつは?」
「さあ?」
「さあ…って、ちょっと無責任すぎない?」
サユリは俺を責めたててくる。
ああそうか、あのことをまだ伝えてなかったな。
「俺はあのパーティから追い出されたから。あ、これ契約書な」
サユリは黙って契約書を受け取ると、内容を確認した。
途中から肩が震えだし、読み終わるころには鬼の形相になっていた。
「あのバカども…」
「てことで俺は関係ない」
「…ちょっと待ちなさい」
立ち去ろうとすると、肩を掴まれた。
「倒したモンスターは?」
「ドラゴンとモグラ」
「モグラ…って、ああサンドイーターのことね…じゃあ残っているのは、ミノタウロス…って、最悪じゃない!」
目の前で頭を抱えて呻きだす。
よし、逃げるなら今だ。
足音を消して…よし、気配は消した。
そのまま回れ右をして脱出成功…のはずだったのだが、肩をつかまれた。
「待ちなさい」
「今度は何だよ」
なぜ逃げようとしているのがばれた。
思わず口にしかけた言葉を飲み込んだ。
「S級討伐は貴方がいたから許可したの。最後まで責任を取りなさい」
「そんなに焦らなくても誰かやるだろ」
S級を相手に出来るパーティは限られている。
冒険者ギルドもクエストの期日には余裕を持たせていて、確実に討伐できるように配慮している。
「それがだめなのよ。ミノタウロスは今日をすぎると、進化するのよ。下手すればこの国が一つ吹き飛ぶレベルのモンスターに」
「まじか」
無視するつもりでいたが、さすがにそれはやばいな。
「なんでそんな期日設定したんだよ」
「クエスト自体はずっとあったわよ。誰も受けなかっただけで」
それはギルドの怠慢であって、俺は悪くないのではないだろうか?
いや、受けるとなった段階で、クエストの募集は取り下げられる。
すべての責任を押し付けるのは違うか。
「そういえばアイツらは戻ってきたのか?無理だろうしクエストをキャンセルしに来ると思うんだけど?」
「来てないわね…って、まさか」
「三人で行ったのか?…いやそんな…ありえるか」
「ありえるわね」
なにせ俺を追い出したぐらいなんだから。
「仕方ない…ちょっくら倒してくるわ」
S級か…一人で相手にするのはしんどいな。
しかも進化手前ってことは、かなり狂暴化しているはずだ。
あーしんど…。
「せ、先輩っ、もしかしておひとりで行くつもりなんですか?」
「え、そうだけど?」
昼はとっくに回っている。
期日が今日となれば、今からパーティメンバーを探している時間はない。
どうせ何もしなかったら国が滅びるんだ。
ひとりで挑んで負けても大差はない。
歩き出そうとすると、タエが行く手を阻んできた。
俺を見上げる瞳は、いつものおどおどとしたものや、優しい笑みとは違った。
だが、それが具体的になんなのか俺には分からない。
なにか言おうと口を動かしている様だが、なかなか言葉になってこない。
「俺は急ぐから…」
強引に通り抜けようとすると、今度はサクラが邪魔をしていた。
反対側にはミサキもいる。
「先輩さんも鈍いんだね」
「そうよ、水臭いじゃない」
まさか、一緒に行くっていうんじゃないだろうな?
そんな危険に彼女たちを巻き込むわけにはいかない。
俺が今から行くのはS級モンスターのところだぞ?
「しぇ、しぇんぱい、私も行きます!」
「へ?」
噛み噛みで、言ってからタエは顔を真赤にした。
なんだよこの小動物…。
なんだか考えるのがバカバカしくなってきた。
「私たちでは実力がたりない?」
「いいや」
むしろ、十分すぎるぐらいだ。
一度戦いを見ているから戦術も立てやすい。
一つ懸念点があるとすれば、一度魔力を使っていることだ。
特にミサキは大量の魔具の使用で、魔力を無駄遣いしている。
「だったらいいわよね?それにタエがあそこまで言ったんだから責任と取りなさい」
ミサキは仁王立ちで睨みつけてきたが、最後には笑っていた。
タエは今も顔を真赤にしていたが、それでも変わらず見つめてくる。
まったく、仕方のない奴らだ。
そう思うのに…俺は笑っていた。
また彼女たちとクエストを出来るのかと思うと、S級を相手にする億劫さよりも、ワクワクが勝っていた。
「タエ、俺のクエストを手伝ってくれないか?」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
今度は噛まなかった。
そこは違う。
「おいおい、ここは噛んで笑わせるのがお決まりだろ?」
「先輩は意地悪です…」
タエが不満そうにそっぽを向くもんだから、気付けば頭を撫でていた。
「おー」とか「へー」とかギャラリーの声がしたが、不思議と気にならない。
したいことをするってのも、悪くないな。
「ということだサユリ」
「分かった。クエストの手続きはしておくからいってきて」
「話が早くて助かる。あと三人のワーウルフ討伐も終わっているから。証人は俺だ」
「受諾しました」
そういえば、自分でクエストを受けるのはいつ以来だろうか?
最近は、パーティが受けたクエストに同行していただけだったな。
これもある意味、したいことになるのだろうか?
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