魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

禅定太閤殿下のお叱りと御上の願い

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1540年3月『筑前国・大宰府』種子島大弐時堯・12歳

「大弐殿ひどいでおじゃるよ!」

「え~と、何の事でございますか?」

「何ではないでおじゃる! 大宰府で上巳の節句に曲水の宴をしたでおじゃろう!」

「ああ、あれでございますか」

「あれではないでおじゃる! 大宰府でやるのなら御所でもやって欲しかったでおじゃる!」

「いや、でも、曲水の宴は御上がなされる行事でございましょう?」

「確かにそうでおじゃるが、朝廷にそのような余裕はないでおじゃるよ」

「いえですが、私が献金献納させて頂いている銭や物を使えばそれくらいは出来るはずなのですが?」

「御上は、公家衆が長年に渡って溜めに溜めた借金の返済を支援しておられるでおじゃるよ」

「しかし度々徳政令が発布されていますから、帳消しになっているのではないのですか?」

「日吉大社が比叡山延暦寺の僧兵武力を背景に、徳政令を無視して借金を返すようにと無理を押し通すのでおじゃる。足利には叡山や興福寺を抑える力はないのでおじゃる」

「そう言う事ですか! ですが私が曲水の宴などを催せば、御上や公家衆、いえ京の民を余計な戦乱に巻き込んでしまうかもしれません」

「どう言う事でおじゃるか?」

「私が余りに力を見せすぎると、足利将軍家や細川管領家が嫉妬して合戦を仕掛けて来るかもしれません。まして仏教の教えを背景にした狂信武力・比叡山延暦寺や大和興福寺、摂津石山本願寺などが何を仕掛けて来るかもわかりません」

「そうでおじゃるか・・・・・」

「節会に必要な銭や品物はすべてそろえさせて頂き、献金献納させていただきますから、御上が主催される形でなされて下さい」

「仕方ないでおじゃるな」

 禅定太閤殿下にも困ったものだ、この機会を利用して、俺にもっと朝廷内での力をつけさせようとなされているのだろうが、別に無理に政治的な力が欲しい訳ではないし、必要としている訳でもない。いざとなれば圧倒的な武力を用いれば済む事で、下手に守護・国衆・地侍に影響力を与える前に朝廷内に力を持つと、それこそ応仁の乱の再来を起こしかねない。

 だがまあなんだ、1カ月少しで大宰府から京まで曲水の宴を開いた噂が広まるとは、艦船による交易や情報の伝達速度が著しく早くなっているのだろうか?

「禅定太閤殿下、朝廷で次に行われる大切な節会は何でございますか?」

「端午の節句でおじゃる」

「ではその時には、御上に恥をお掛けしないだけの品々をご用意させていただきます」

「頼んだでおじゃるよ」
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