魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

医療巡回

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 新たに俺の支配下に入った中国地方の村々には、各方面軍や派遣部隊に必ず付随する看護部隊が、巡回医療検診を行っていた。そして必要なら、本来この世界この時代では絶対不可能な医療技術を持った、医師による治療さえ行われていた。

1547年1月


 本来為政者が独占するだろう珍しい漢方薬や、存在するはずのない抗生物資や麻酔薬などの新薬に医療器具、それらを駆使した手術にまで及ぶ医療行為の提供は、生産と武力の源泉である農村で、俺への支持を信仰と言うレベルにまで引き上げていた。

 合戦前後は、ほとんど刀槍のよる外傷が全てで、それも慌て者の愚かな味方が、自分で自分を傷つけたり、間違って味方同士で戦ってしまった怪我がほとんどだ。次に敵対していた者達が、俺の威圧破壊に巻き込まれて怪我をする場合もまれにあり、そんな運の悪い者の治療もおこなっていた。

 合戦終了後は、戦いに巻き込まれないように避難していた百姓の村々に、支配者が交代した事を知らせる巡回に付随して、看護部隊による巡回医療検診が開始されるのだ。

 百姓達が怖がらないように、男性の看護兵だけではなく、女性の看護婦も同行して巡回医療検診は行われるのだが、最初は怖がって診せてくれないものだと予想していた。だが実際に始めてみると、意外や意外、少しでも身体に異常がある者は我先に診察を受けにやって来た!

 妊婦や若い女性まで警戒せずに診察に来る事を不思議に思った看護婦が、何故怖がらずに診察に来てくれたのか全員に尋ねてくれたのだが、俺が九州を支配してから行っていた巡回医療検診が、既に中国地方全土でも知れ渡っていたそうだ。

 まあ生きると言う事、死を恐れる事は人間の本能だから、死から救ってくれる医療行為は人間最大の関心の1つだ。それに種子島家は大内家と親戚で友好国だったし、種子島家の進んだ医術と、それを安価に提供する俺の仁君振りは、憧れを持って領内の地侍・百姓に広まっていたのだ。

 いや、大内家が支配下に置いている地域だけではなく、尼子家が支配下に置いている地域であっても、種子島領に対する憧れは熱く熱く語られていたそうだ。まあ尼子家とも直接敵対していた訳じゃないからな。

 だがそれも当然かも知れない、戦国乱世の宿命として、種子島家と大内家が同盟をしたことで、表だって尼子家と付き合う事はなくなったが、出入りの商人を通じての交易はあったし、山陰地方沖合を種子島海軍所属の艦艇が航行することは黙認されていた。尼子晴久にしたら、隙と機会さえあれば、大内家を出し抜いて、新たな婚姻同盟関係を俺と結ぼうとするのが当然の戦略で、俺の悪い噂を広めたり、好い噂を打ち消すことなど考えもしなかっただろう。

 だがだ、だがそんな種子島家の巡回医療検診でも、どうにもならない病も存在するのだ!
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