妹に婚約者を奪われ、舞踏会で婚約破棄を言い渡された姉は、怒りに魔力を暴発させた。

克全

文字の大きさ
15 / 18

14話

しおりを挟む
「ガブリエル様。
 何か思惑があるのですか?」

「そうだね。
 多くの家臣を失ったマルタン公爵家に、王家からの援助を引き出したいのさ。
 軍資金も欲しいし、援軍も欲しい。
 そのための駆け引きだよ」

「ですがガブリエル様。
 王家が素直に出すでしょうか?」

「素直には出さないだろうね。
 色々ごねると思うけれど、マルタン公爵家の寄騎貴族士族が王家に泣きつくから、最終的には出すしかないのさ」

「私を蔑んできた家臣団がどうなろうと構わないのですが、領民たちが虐殺されるのは心が痛みます。
 何かいい方法はないでしょうか?」

「そうか、それは領主として正しい気持ちだね。
 だったら私と連名で家臣たちに命令をだそう。
 残念な話だけど、ローズ嬢だけの命令書だと、マルタン城に残っている家臣たちは従わないだろう。
 アンナに対する忠誠心だと言って、遠縁を探して擁立してでも、ローズ嬢の当主就任を邪魔するだろう。
 だけど、私が連名した命令書を拒否すれば、テンプル騎士団を敵に回すことになるから、ある程度の命令には従うだろう」

「ある程度とはどんな策なのですか?」

「ローズ嬢の希望通りだよ。
 領内の民を護れという命令さ。
 士族の名誉と義務に従い、何があっても領民を護れと命令するのだよ。
 領民を見捨てて自分たちだけ生き延びるようなモノは、士族とも家臣とも認めない、テンプル騎士団が討伐すると宣言するのさ」

 確かに、そういう命令内容なら、絶対に護るでしょうね。
 敵と戦えと言う命令なら、命を失う可能性がありますが、領民を護れと言う命令なら、領民を城に収容して籠城すれば、自分たちが命を失う可能性を少なくしながら、テンプル騎士団に逆らわなくてすみます。

「ですがこの命令、王家と連名にしたら、家臣たちを戦場に送ることも可能なのではありませんか?」

「確かに可能かもしれないけど、そうするとマルタン公爵家家臣団と王家を結んでしまうかもしれないんだよ。
 ローズ嬢を当主に迎えるくらいなら、マルタン公爵家の血が流れていない王族を、当主に迎えた方がましだという家臣が現れると思う。
 王家もあまりモノの子供を、マルタン公爵家の当主にできるのなら、ある程度の条件なら家臣団の言い分を聞くだろう。
 そうなると困るからね。
 王家に連盟を頼まない方がいいのさ」

 ガブリエル様が色々と教えてくださいます。
 私にはどうでもいいのです。
 ガブリエル様とお話しできるのなら、その内容が軍学であろうと、政治哲学であろうと構わないのです。
 本心を言えば、食べ物やファッションのお話の方が興味がありますが、そんな話題を振ってしまって、ガブリエル様に馬鹿にされるのが怖いです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

私を追い出したらこの店は潰れますが、本当に良いんですね?

真理亜
恋愛
私を追い出す? この店を取り仕切っているのは私ですが、私が居なくなったらこの店潰れますよ? 本気いや正気ですか? そうですか。それじゃあお望み通り出て行ってあげます。後で後悔しても知りませんよ?

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。

妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った

ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。 昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。 しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。 両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。 「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」 父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。 だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。

【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた

堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」  ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。  どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。  ――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。  ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。  義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。

三度裏切られたので堪忍袋の緒が切れました

蒼黒せい
恋愛
ユーニスはブチ切れていた。外で婚外子ばかり作る夫に呆れ、怒り、もうその顔も見たくないと離縁状を突き付ける。泣いてすがる夫に三行半を付け、晴れて自由の身となったユーニスは、酒場で思いっきり羽目を外した。そこに、婚約解消をして落ちこむ紫の瞳の男が。ユーニスは、その辛気臭い男に絡み、酔っぱらい、勢いのままその男と宿で一晩を明かしてしまった。 互いにそれを無かったことにして宿を出るが、ユーニスはその見知らぬ男の子どもを宿してしまう… ※なろう・カクヨムにて同名アカウントで投稿しています

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。 将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。 レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。

処理中です...