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15話
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「よくも我が民を苦しめてくれましたね。
領地を攻め込んだ責任をとってもらいます。
死になさい!」
ダデルスワル王国のフェルサン侯爵ジャックが我が国に攻め込んできて一カ月、もうこの国の信用信頼は地に落ちました。
ユゴール国王は王家直属の兵力を一切動員せず、地方の貴族士族にだけに国防負担をかけたのです。
それと、これはマルタン公爵家の責任なのですが、寄親であるマルタン公爵家が援軍を送らず、各自領地で籠城する事になったのです。
当主である私が領地にいない事。
家臣が私を当主と認めず、勝手な判断をしていた事。
色々な条件が積み重なって、兵力が乏しい騎士から准男爵といった、士族の城館が攻め滅ぼされ、領民が奴隷として連れ去られてしまいました。
その間、私は勉強と鍛錬をするしかありませんでしたが、いつでも戦える準備はしていたのです。
ガブリエル様の指導と助力を受けて、魔境に狩りに入っていました。
ガブリエル様にお借りしていた素材に加えて、私が個人的に使える素材を大量に集めました。
フェルサン侯爵軍、いえ、ダデルスワル王国軍と戦う時の事を想定して、強力な魔法を使う時に必要な素材を集めたのです。
魔獣はもちろん亜竜種の皮で魔皮紙を作り、魔血で魔法の術式を描き、強力な魔術書や魔術巻物を備蓄しました。
魔晶石や魔血晶を創りだし、大量の魔力を備蓄しました。
特に力を入れたのが、人間以外の兵力を用意する事です。
亜竜種の素材を使って、強力な魔竜牙兵・魔竜爪兵・魔竜骨兵を備蓄しました。
魔獣の素材を使ったモノは、魔熊牙兵・魔熊爪兵・魔熊骨兵といった強力な兵士から、魔鼠牙兵・魔鼠爪兵・魔鼠骨兵といった、弱い兵士まで多種多様です。
ガブリエル様の助力のお陰で、一カ月で莫大な量を確保できました。
当然ですが、テンプル騎士団も同じように備蓄しています。
そして今、ようやく戦えるようになったのです!
王家がマルタン公爵家の監視に派遣していた、ルドワリド城主で城伯の地位にあったイラズワレ卿が、フェルサン侯爵軍に包囲され、城を枕に討ち死にしたのです。
これでようやくユゴール国王も危機感を持ったのです。
私の当主就任を、王家がマルタン公爵家家臣団に命じたのです。
ですが私はマルタン公爵家家臣団などあてにしませんでした。
いつ背後から攻撃して来るか分からないモノに、背中を預ける事などできません。
私はガブリエル様を頼り甘えました。
ガブリエル様はテンプル騎士団の半数と、仕官を目指すテンプル騎士団員の部屋住みを率いて助太刀して下さったのです。
私は幸せ者です!
領地を攻め込んだ責任をとってもらいます。
死になさい!」
ダデルスワル王国のフェルサン侯爵ジャックが我が国に攻め込んできて一カ月、もうこの国の信用信頼は地に落ちました。
ユゴール国王は王家直属の兵力を一切動員せず、地方の貴族士族にだけに国防負担をかけたのです。
それと、これはマルタン公爵家の責任なのですが、寄親であるマルタン公爵家が援軍を送らず、各自領地で籠城する事になったのです。
当主である私が領地にいない事。
家臣が私を当主と認めず、勝手な判断をしていた事。
色々な条件が積み重なって、兵力が乏しい騎士から准男爵といった、士族の城館が攻め滅ぼされ、領民が奴隷として連れ去られてしまいました。
その間、私は勉強と鍛錬をするしかありませんでしたが、いつでも戦える準備はしていたのです。
ガブリエル様の指導と助力を受けて、魔境に狩りに入っていました。
ガブリエル様にお借りしていた素材に加えて、私が個人的に使える素材を大量に集めました。
フェルサン侯爵軍、いえ、ダデルスワル王国軍と戦う時の事を想定して、強力な魔法を使う時に必要な素材を集めたのです。
魔獣はもちろん亜竜種の皮で魔皮紙を作り、魔血で魔法の術式を描き、強力な魔術書や魔術巻物を備蓄しました。
魔晶石や魔血晶を創りだし、大量の魔力を備蓄しました。
特に力を入れたのが、人間以外の兵力を用意する事です。
亜竜種の素材を使って、強力な魔竜牙兵・魔竜爪兵・魔竜骨兵を備蓄しました。
魔獣の素材を使ったモノは、魔熊牙兵・魔熊爪兵・魔熊骨兵といった強力な兵士から、魔鼠牙兵・魔鼠爪兵・魔鼠骨兵といった、弱い兵士まで多種多様です。
ガブリエル様の助力のお陰で、一カ月で莫大な量を確保できました。
当然ですが、テンプル騎士団も同じように備蓄しています。
そして今、ようやく戦えるようになったのです!
王家がマルタン公爵家の監視に派遣していた、ルドワリド城主で城伯の地位にあったイラズワレ卿が、フェルサン侯爵軍に包囲され、城を枕に討ち死にしたのです。
これでようやくユゴール国王も危機感を持ったのです。
私の当主就任を、王家がマルタン公爵家家臣団に命じたのです。
ですが私はマルタン公爵家家臣団などあてにしませんでした。
いつ背後から攻撃して来るか分からないモノに、背中を預ける事などできません。
私はガブリエル様を頼り甘えました。
ガブリエル様はテンプル騎士団の半数と、仕官を目指すテンプル騎士団員の部屋住みを率いて助太刀して下さったのです。
私は幸せ者です!
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