大公公子でしたが、神与スキルが『悪食』だったので、王太女には婚約破棄され大公家からは追放され弟には殺されかけましたが、幸せに生きています。

克全

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第一章

第36話:新婚初夜

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王歴327年3月13日:南大魔境のゴブリン族との抗争地域・クリスティアン視点

「くっくっくっくっ、私たちは遠巻きに見張らせてもらうから、安心しな」

「まさか本気で言っているのではないだろうな、グレタ?」

「おい、おい、おい、戦いの前にちゃんと言っていただろう。
 クリスティアンの雄姿を見て発情期に入る嫁がいるかもしれないと。
 発情期に入った嫁が現れたら、大魔境の中で子作りしてもらうと」

「……俺に嫌われないように気を付けてくれるのではないのか?」

「嫁に迫られてキャット族を嫌いになるなんてありえないだろう?
 もういいかげん諦めろ、男だろ、クリスティアン」

「いや、だが、いきなり最初の子作りで5人の嫁を同時に相手するのは……」

「男みょうりに尽きるだろう、クリスティアン」

「うれしくないとは言わないが、5人も相手にする自信はない。
 何とか誰か1人にしてもらえないだろう」

「おい、おい、おい、私に死ねというのか?
 それともクリスティアンの嫁を4人も殺せと言うのか?
 クリスティアンに恋い焦がれて発情期に入った嫁に、待てと言うのはケンカを売っているのも同然だぞ?」

「……しかし、満足に相手できなかったら、俺のささやかなプライドが……」

「その心配はいらないから安心しな、クリスティアン。
 発情期に入ったキャット族のフェロモンは強烈だからな。
 足腰が立たなくなるまで愛を交わす事になるから安心しろ」

「おばあ様、まだですか、もう待てません」
「私ももう待てません、グレタ殿」
「これ以上待たせるようなら、グレタ殿が相手でも許しませんぞ」
「ピューマ族の誇りにかけて旦那様を取り返します」
「まさかとは思いますが、グレタ殿も発情期に入ったのですか」

 俺の嫁の中で発情期に入ったのはラウラとケルスティン、他に3人の大型系キャット族なのだが、彼女たちが指揮官用テントの中でさわぎだした。

「ああ、もう、うるさい、直ぐに出て行くからガタガタ言うな。
 後は本能に任せて雄になりな、クリスティアン」

「クリスティアン殿」
「クリスティアン先生」
「愛しのクリスティアン殿」
「旦那様」
「クリスティアン先生、愛しています」

 ★★★★★★

「くっくっくっくっ、昨日はお盛んだったな」

「……俺をからかうのがそんなにおもしろいか?」

「いいや、からかっているのではない、感謝しているのだ。
 ラウラを愛してやってくれてありがとう。
 あれだけ愛してくれればまず間違いなく妊娠しているはずだ。
 だが、1人2人の子供では満足できないと言っている。
 5人6人の子供を授かりたいそうだから、今日も愛してやってくれ」

「……今更もう嫌だとは言わないが、せめて村に帰らせてくれないか。
 愛し合っている時はいいが、朝になって大魔境の中のテントで愛し合っていたのを思い出すと、さすがに恥ずかしくてたまらなくなる」

「ホモサピエンスの感覚は分からないから、どうしても嫌だと言うのなら村に戻ってもいいが、その時にはホモカウ族の救援を他のキャット族に任せる事になる。
 多くの犠牲者が出るだろうし、犠牲者を出してもホモカウ族を必ず助けられるとは断言できない。
 その時にクリスティアンは苦しむのじゃないか?」

「そう言われたら、村に戻るとは言えないな。
 俺は間違いなく村に戻った事を一生後悔する」

「だったら朝飯を食ったら先に進むが、いいか?」

「ああ、できるだけ奥まで進んで、ホモカウ族を迎えに行くのだな?」

「大魔境の奥に進むわけではなく、ホモカウ族が使っている交易ルートを逆行して、ゴブリン族に襲われる前に合流するだけだがな」

「このルートを使っていたというだけで、ホモカウ族が多くの種族から頼りにされていたのが分かるな」

「ああ、我らキャット族だけではなく、オーク族にもドッグ族にも貴重な物資を運んで来てくれていた。
 更に各種族の産物を買い取ってくれるホモカウ族を、全種族が頼りにしていた。
 ゴブリン族も同じだったはずなのだが、ロードのような強大なゴブリンが現れると、驕り高ぶって見境がなくなるからな」

「多くのゴブリン族もホモカウ族と交易していたとなると、ロードが生まれたゴブリン族の村でこの先にあるかもしれない。
 ホモカウ族に合流する前にロードゴブリンとの決戦が始まる可能性もあるな」

「ああ、だが昨日のクリスティアンの戦いぶりを見ていたら、心配などいらないと分かったよ」

「おばあ様、もう宜しいですか?!
 クリスティアン殿と朝食をともにしたいのですか!」

「やれ、やれ、ラウラがこれほど焼餅焼きだとは思ってもいなかった。
 これからもよろしくお願いしますぞ、婿殿」
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