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第一章

第16話:告白・カチュア視点

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 私が哀しそうにしているから、慰めようとしてくれたのでしょう。
 金猫ちゃんがペロペロと私を舐めてくれました。
 とても柔らかくて好い香りがします。
 舐められていると気持ちよくてうっとりとしてしまいます。
 いつまでもこうしていてもらいたい気持ちになったのですが、フェアリーが焼きもちを焼いてしまうのです。

「おい、こら、やめろ、金猫、カチュアが穢れるだろう」

 フェアリーが珍しく本気で怒っているようです。
 何を怒る事があるのでしょうか、とても不思議です。
 私は気持ちがいいからずっとして欲しいのに。

「うみゃああああああ!」

 金猫ちゃんがフェアリーに何か真剣に話しかけています。

「え、なに、それ、本気、本気なんだね、だったら仕方ないわね。
 カチュア、金猫が今から話しかけるか、驚かないでって言ってるわよ」

「え、どういう事、金猫ちゃんは私と話せるの?
 だったら今までどうして黙っていたの?」

 私はフェアリーのいう事が信じられませんでした。
 いえ、信じたくありませんでした。
 金猫ちゃんが私に話せるのに話しをしてくれていなかった、こんな哀しい事はありません。
 信じたくないという気持ちも分かってもらえると思うのです。

(ごめんよ、カチュア、でも、それにはちゃんとした理由があるんだよ。
 怒らずに聞いてくれるかい、カチュア)

 最初は凄くビックリしましたが、それも当然だと思うのです。
 今まで経験した事のない、心に金猫ちゃんの考えが伝わってくるという、驚くべきことが起きたのですから。
 でも、その驚きは一瞬でしかありません。
 伝わってくる想いに、間違えようのない金猫ちゃんの気配と優しさがあります。
 先程まで私を包んでくれていた、思い遣りの心です。

(はい、聞かせてもらいます、でも、全部ですよ、もう隠し事はなしですよ)

 私は本気で言いました。
 だって、これ以上隠し事をされてしまったら、悲しくて哀しくて、心が壊れてしまうかもしれませんから。
 そんなことになったら、金猫ちゃんがとても後悔すると思うのです。
 金猫ちゃんを哀しませたくはありませんから。

(分かったよ、全部話すよ。
 本当は、カチュアを驚かせるような事は、もう少し隠しておくつもりだったんだ。
 あと二、三年して、カチュアが人間の世界に戻って、人間の世界の常識を覚えて、友達も家族もできた頃なら、話していいと思っていたんだ。
 だけど、カチュアをこれ以上哀しませるわけにはいかないし、カチュアが本気で我の事を心配してくれているから、思い切って話させてもらうよ。
 嘘偽りのない本当の事だから、信じて欲しい)
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