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第一章

第17話:想い・カチュア視点

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(まず最初に、カチュアには人間の世界に戻ってもらう心算だったんだ。
 それには人の言葉と常識を覚えてもらわないといけない。
 このように心で話す心話を覚えてしまったら、言葉を覚えられなくなる。
 だから我は心話を使わないで、フェアリーに話してもらっていたんだよ)

 金猫ちゃんの言う、私が人の世界に戻らなければいけないという事は、母親の仇を討ちをする話と一緒に、フェアリーから何度も聞きました。
 だから分かるのですが、分からないのが心話を覚えてはいけない理由です。
 人間の世界に戻っても心話で話せばいいのにと思いましたが、そこではっと気が付きました、フェアリーとは心話で話していません。
 フェアリーと私が心話で話せないように、私と人間も心話で話せないのですね。

(それと、これが一番の問題だったのだが、我は神なのだよ。
 神である我とあまりに深く交わると、それでなくても力のあるカチュアだ、人間ではなく神になってしまうのだよ)

 これも不思議な話です、ずっと金猫ちゃんとは身近にいました。
 幼い頃はそれこそ金猫ちゃんに抱かれて眠っていました。
 あれほど身近に交わっていたのに、今更心話で話したからといっても、それほどの影響があるとは思えないのですが?

(カチュアの思っている事はもっともだ、この身体が我の本当の身体ならな。
 だがこの身体は我の本当の身体ではない。
 この金猫も絶大な力を持つ魔獣で、この世界では隔絶した存在だ。
 まあ、そんな存在でなければ、我の意思を受け取る事などできないが。
 ああ、そんあことはどうでもいいな、分かって欲しいのは金猫の身体は我の身体ではないので、どれほど近づいても我の力がカチュアに影響する事はない。
 だが、心話で我と交われば、そうはいかないという事だ)

 なんとなく金猫ちゃん、いえ、神の言いたい事は理解できました。
 別の身体を使っている時は大丈夫だけど、本体から直接私に関わるのは危険ということですが、だったら何故急に考えを変えたのでしょうか?
 いえ、最初の言葉を思い出せば分かります。
 私を人間の世界に戻すと決めていた時は心話は使えないという事は、私を人間の世界に戻す気が無くなったという事ですね)
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