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第2話:裏切られた婚約と争いの始まり
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「貴方達はなにをやっているのですか!
このような事をして、恥ずかしくないのですか!
王太子殿下!
貴男はそれでも貴族ですか?
いえ、男ですか⁈
抵抗出来ない家臣の娘にこのような仕打ちをして、それで聖獣様から加護が受けられると思っているのですか⁈」
偶然現れた聖獣教会のケイロン枢機卿が卑怯な王太子を激しく面罵します。
誰も彼もが豊かさを見せびらかす舞踏会場にあって、枢機卿の服装は異彩を放っていました。
枢機卿に相応しい控えめな色彩と上品なデザインが調和し、聖獣教会の品格を演出していました。
深い緑色のローブは、彼の存在感を際立たせながらも、傲慢さや高慢さを一切感じさせませんでした。
細部にまでこだわった装飾は控えめでありながらも、品のある輝きを放っており、枢機卿の地位と権威を象徴していました。
シンプルで整ったシルエットは、彼の力強さと知識の深さを物語っていました。
ケイロン枢機卿猊下の装いは、まさに聖職者としての威厳と清廉さを具現化したものでした。
彼の衣装は、その立場と役割を適切に反映しながらも、目立つことなく謙虚さを保ち、人々の敬意を集めていました。
彼の服装は一見地味に見えるかもしれませんが、その中には尊厳と力強さが秘められており、まさに枢機卿としての風格を醸し出していました。
そんなケイロン枢機卿に内心圧倒された王太子は虚勢を張って吠えました。
「ふん!
聖獣、聖獣、聖獣。
何かあれば直ぐに教会は聖獣を持ち出す。
だがその聖獣様がいったい何をしてくれた?
近年は凶作続きで碌な収穫がないではないか!
聖獣など役立たずだ!
教会も聖獣などを崇めるのは止めて、神に選ばれた王家を崇めよ」
「凶作が続くは、この国の王家と貴族が聖獣様の教えを守らないからです!
教会が日夜祈りを捧げ、やっと頂いた御神託の婚約者にこのような仕打ちをして、どのような罰が落ちても教会は癒しを与えません。
覚悟なされよ!」
「よくぞ言った枢機卿。
その言葉、教会の王家に対する反逆と受けとる。
後で謝ってすむと思うなよ!」
「貴男様こそ自分の言葉に責任を持たれよ、色魔殿下」
「おのれ、この場で殺してくれる!」
私は、あまりのショックに気を失っていましたが、舞踏会場に聖獣教会のケイロン枢機卿猊下が現れ、助け出してくださったそうです。
その時ケイロン枢機卿猊下がカルスロッド王太子殿下を激しく面罵され、あわや王家と教会の戦争かと思われたほどの争いとなったそうです。
カルスロッド王太子殿下の取り巻き貴族公子十数人が、数を頼んで剣を抜いてケイロン枢機卿猊下に斬りかかったそうですが、全く歯が立たず、顔の形が変わるほど叩きのめされたそうです。
ケイロン枢機卿猊下は優男に見えますが、聖獣様の御神託を御身に受けるため、激しい修行に耐え抜いた方だそうです。
要求される修行があまりに厳し過ぎて、聖獣様に仕えたい人が集まる教会でも、ケイロン枢機卿猊下以外御神託を授かれる人間がいなくなっているそうです。
そんなケイロン枢機卿猊下に、逆らえない弱い家臣領民相手にしか振るった事のない貴族公子の剣が、通用するわけがないのです。
ケイロン枢機卿猊下は、カルスロッド王太子殿下が自分に都合のいい嘘の報告を国王陛下にする前に、国王陛下に強硬に謁見を申し出て、全てを報告されたそうです。
国王陛下も、流石に王太子殿下の蛮行を耳にして顔を歪めらえたそうですが、私にもコスタラン伯爵家にも陳謝の言葉はなかったそうです。
国王陛下が口にされたのは、教会とケイロン枢機卿猊下に対する遺憾の意だけだったそうです。
そしてさらに、国王として命じられたそうです。
カルスロッド王太子殿下の婚約者選びの御神託をやりなおせと!
私もコスタラン伯爵家も、国王陛下から見ればその程度の存在です。
このような事をして、恥ずかしくないのですか!
王太子殿下!
貴男はそれでも貴族ですか?
いえ、男ですか⁈
抵抗出来ない家臣の娘にこのような仕打ちをして、それで聖獣様から加護が受けられると思っているのですか⁈」
偶然現れた聖獣教会のケイロン枢機卿が卑怯な王太子を激しく面罵します。
誰も彼もが豊かさを見せびらかす舞踏会場にあって、枢機卿の服装は異彩を放っていました。
枢機卿に相応しい控えめな色彩と上品なデザインが調和し、聖獣教会の品格を演出していました。
深い緑色のローブは、彼の存在感を際立たせながらも、傲慢さや高慢さを一切感じさせませんでした。
細部にまでこだわった装飾は控えめでありながらも、品のある輝きを放っており、枢機卿の地位と権威を象徴していました。
シンプルで整ったシルエットは、彼の力強さと知識の深さを物語っていました。
ケイロン枢機卿猊下の装いは、まさに聖職者としての威厳と清廉さを具現化したものでした。
彼の衣装は、その立場と役割を適切に反映しながらも、目立つことなく謙虚さを保ち、人々の敬意を集めていました。
彼の服装は一見地味に見えるかもしれませんが、その中には尊厳と力強さが秘められており、まさに枢機卿としての風格を醸し出していました。
そんなケイロン枢機卿に内心圧倒された王太子は虚勢を張って吠えました。
「ふん!
聖獣、聖獣、聖獣。
何かあれば直ぐに教会は聖獣を持ち出す。
だがその聖獣様がいったい何をしてくれた?
近年は凶作続きで碌な収穫がないではないか!
聖獣など役立たずだ!
教会も聖獣などを崇めるのは止めて、神に選ばれた王家を崇めよ」
「凶作が続くは、この国の王家と貴族が聖獣様の教えを守らないからです!
教会が日夜祈りを捧げ、やっと頂いた御神託の婚約者にこのような仕打ちをして、どのような罰が落ちても教会は癒しを与えません。
覚悟なされよ!」
「よくぞ言った枢機卿。
その言葉、教会の王家に対する反逆と受けとる。
後で謝ってすむと思うなよ!」
「貴男様こそ自分の言葉に責任を持たれよ、色魔殿下」
「おのれ、この場で殺してくれる!」
私は、あまりのショックに気を失っていましたが、舞踏会場に聖獣教会のケイロン枢機卿猊下が現れ、助け出してくださったそうです。
その時ケイロン枢機卿猊下がカルスロッド王太子殿下を激しく面罵され、あわや王家と教会の戦争かと思われたほどの争いとなったそうです。
カルスロッド王太子殿下の取り巻き貴族公子十数人が、数を頼んで剣を抜いてケイロン枢機卿猊下に斬りかかったそうですが、全く歯が立たず、顔の形が変わるほど叩きのめされたそうです。
ケイロン枢機卿猊下は優男に見えますが、聖獣様の御神託を御身に受けるため、激しい修行に耐え抜いた方だそうです。
要求される修行があまりに厳し過ぎて、聖獣様に仕えたい人が集まる教会でも、ケイロン枢機卿猊下以外御神託を授かれる人間がいなくなっているそうです。
そんなケイロン枢機卿猊下に、逆らえない弱い家臣領民相手にしか振るった事のない貴族公子の剣が、通用するわけがないのです。
ケイロン枢機卿猊下は、カルスロッド王太子殿下が自分に都合のいい嘘の報告を国王陛下にする前に、国王陛下に強硬に謁見を申し出て、全てを報告されたそうです。
国王陛下も、流石に王太子殿下の蛮行を耳にして顔を歪めらえたそうですが、私にもコスタラン伯爵家にも陳謝の言葉はなかったそうです。
国王陛下が口にされたのは、教会とケイロン枢機卿猊下に対する遺憾の意だけだったそうです。
そしてさらに、国王として命じられたそうです。
カルスロッド王太子殿下の婚約者選びの御神託をやりなおせと!
私もコスタラン伯爵家も、国王陛下から見ればその程度の存在です。
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