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第一章冒険者偏
冒険者の現状
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王都を出て六十日、ようやく魔都につきました。
ですが、必要な日数だったと思います。
これだけの日数をかけたからこそ、イヴァンとダニエルはドウラさんの絶対服従状態になったのです。
実力の違い、格の違いを思い知ったのです。
ドウラさんはまだまだ不満なようですが、私には十分に思われます。
二十七頭の狼に襲われた時も、前衛三人で盾役をこなすことができました。
エマとニカに無駄な魔術を使わせることなく、半数の狼を斃すことができました。
残りの半数をドウラさんが投擲で斃されたので、ここでも実力差を思い知ることになりましたが、それはもう当然の事だと受け入れられるようになりました。
「まずは冒険者ギルドに挨拶に行くよ。
ちゃんと登録しておかないといけないからね。
その後でゲイツクランに顔を出す。
部屋が余っているならクラン本部を根城にする。
余っていないなら信頼できる宿を紹介してもらう。
その時にはイヴァンとダニエルに働いてもらうよ」
「「はい!」」
思わず笑いだしそうになりました。
完全に頭を抑えられています。
でもこれ安心して狩りに向かえます。
今までの相手は普通の獣でした。
これからの相手は魔獣と呼ばれる恐ろしいモノです。
普通の獣の十倍は強いと言われています。
その代わり買取価格も十倍ですから、一獲千金を目指して冒険者になる者は多いですが、百人のうち九十九人が一年以内に死ぬと言われています。
「おお、貴女がドウラさんですか。
首を長くしてお待ちしていました。
これで質の良い素材が手に入ります」
「なんだい。
随分と景気の悪い事を言うね。
冒険者の質が落ちているのかい?」
「はい、最悪です。
厄竜が二度も現れて、王家が多くの冒険者を家臣として召し抱えたので、優秀な冒険者がほとんどいなくなってしまいました。
ここだけの話ですが、今の冒険者は腕も人柄も最低です。
とにかく魔獣を斃せばいいと考えていて、素材としては最悪の状態です」
「そりゃ困った問題だね。
それで魔獣薬の質が落ちているのかい?」
「はい、その通りです」
「それは、私が所属することになっているゲイツクランもなのかい?」
「……それは」
「正直に言いな。
聞かなきゃ直しようもないからね。
幸いといっちゃあなんだが、ゲイツの人間を勘当させて連れてきた。
何かあったら殺していいと、ディミタールの言質も取ってある。
こいつらを使って叩き直してやるよ」
「伝説の通りですね。
では正直に話させていただきます。
ゲイツクランは今のクラン中では実力もあり悪さもしません。
ですがクランというよりは軍隊です。
いい素材を狩るというよりは、武芸の鍛錬のために出来るだで強い魔獣を斃す事に重点をおいています」
「こりゃ楽しみになってきたね」
ドウラさんの笑顔が怖いです。
ですが、必要な日数だったと思います。
これだけの日数をかけたからこそ、イヴァンとダニエルはドウラさんの絶対服従状態になったのです。
実力の違い、格の違いを思い知ったのです。
ドウラさんはまだまだ不満なようですが、私には十分に思われます。
二十七頭の狼に襲われた時も、前衛三人で盾役をこなすことができました。
エマとニカに無駄な魔術を使わせることなく、半数の狼を斃すことができました。
残りの半数をドウラさんが投擲で斃されたので、ここでも実力差を思い知ることになりましたが、それはもう当然の事だと受け入れられるようになりました。
「まずは冒険者ギルドに挨拶に行くよ。
ちゃんと登録しておかないといけないからね。
その後でゲイツクランに顔を出す。
部屋が余っているならクラン本部を根城にする。
余っていないなら信頼できる宿を紹介してもらう。
その時にはイヴァンとダニエルに働いてもらうよ」
「「はい!」」
思わず笑いだしそうになりました。
完全に頭を抑えられています。
でもこれ安心して狩りに向かえます。
今までの相手は普通の獣でした。
これからの相手は魔獣と呼ばれる恐ろしいモノです。
普通の獣の十倍は強いと言われています。
その代わり買取価格も十倍ですから、一獲千金を目指して冒険者になる者は多いですが、百人のうち九十九人が一年以内に死ぬと言われています。
「おお、貴女がドウラさんですか。
首を長くしてお待ちしていました。
これで質の良い素材が手に入ります」
「なんだい。
随分と景気の悪い事を言うね。
冒険者の質が落ちているのかい?」
「はい、最悪です。
厄竜が二度も現れて、王家が多くの冒険者を家臣として召し抱えたので、優秀な冒険者がほとんどいなくなってしまいました。
ここだけの話ですが、今の冒険者は腕も人柄も最低です。
とにかく魔獣を斃せばいいと考えていて、素材としては最悪の状態です」
「そりゃ困った問題だね。
それで魔獣薬の質が落ちているのかい?」
「はい、その通りです」
「それは、私が所属することになっているゲイツクランもなのかい?」
「……それは」
「正直に言いな。
聞かなきゃ直しようもないからね。
幸いといっちゃあなんだが、ゲイツの人間を勘当させて連れてきた。
何かあったら殺していいと、ディミタールの言質も取ってある。
こいつらを使って叩き直してやるよ」
「伝説の通りですね。
では正直に話させていただきます。
ゲイツクランは今のクラン中では実力もあり悪さもしません。
ですがクランというよりは軍隊です。
いい素材を狩るというよりは、武芸の鍛錬のために出来るだで強い魔獣を斃す事に重点をおいています」
「こりゃ楽しみになってきたね」
ドウラさんの笑顔が怖いです。
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