持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第一章冒険者偏

意識改革

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「お前と、お前と、お前。
 荷物持ちについてきな」

「おい!
 新入りが何勝手なこと言ってるんだ!
 いくら初代の友達だからといっても、部外者は黙っていてもらおうか!」

「冒険者は実力主義だ。
 身体に分からせてやるよ。
 まとめてかかってきな!」

「「「「「後悔しろ!」」」」」

 え~と。
 今更説明も不要だと思いますが、ドウラさんは、ゲイツクランのクラン長以下の幹部をまとめて叩きのめしました。
 まあ、現役冒険者で、道場の門弟ですから、初代クラン長で初代道場主の友人、いえ、クラン創設メンバーのドウラさんに叩きのめされたら、内心はともかく表面上は従いますよね。

「いいかい!
 性根入れて聞きな!
 ゲイツクランは他のクランとは違うんだ!
 ゲイツ道場の門弟で構成されているんだ!
 誇りを持った狩りをしなけりゃあならんのだ!
 今のメンバーは、創設精神を忘れている!
 今から聞かせてやるから、耳かっぽじいて聞きな!
 ゲイツクランは、病気やけがで苦しんでいる人たちに、良質な魔獣薬を届けるために創設されたんだ! 
 自分が強くなりたいとか、強い魔獣を斃したいとか、そういうのは二の次三の次なんだ!
 特に今は厄竜の影響で質のよい魔獣薬が払底している。
 少しでも状態のいい素材を手に入れることが、ゲイツクランの役目だよ!」

 ああ、皆何も聞いていなかったのですね。
 目から鱗が落ちたような表情をしています。
 まあ、なかには今でも不服そうなメンバーもいますが、それは仕方ないです。
 冒険者ギルドで聞いたように、二度の厄竜災厄の時に伝承できなかったのです。
 イヴァンは今までの自分を恥じるような目で見ています。
 ダニエルは決意に満ちた目をしています。

 まあ、それからの事は、詳しく説明する必要もないでしょう。
 ドウラさんが目の前で手本を見せて、詳しくその理由とそれによってもたらされる金銭的な利益と、その結果作られる魔獣薬の治療効果を説明して、どのような人たちが救われるかを教える。
 即物的な利益と内心の名誉誇りを刺激する。
 ドウラさんは人を使う天才かもしれません。

 ドウラさんは、今迄のクラン役職を崩すことなく、クランの実権を握りました。
 クラン長の上に、総クラン長という役職を作ったのです。
 クラン長の座を奪ったら、反感を持つ者もいたでしょうから、いいやり方です。
 修行のために勘当されているとはいえ、イヴァンとダニエルがゲイツ一族です。
 彼らが推薦すれば認められる可能性は元々強かったのです。
 初代の戦友であり、孫の生死まで任されているのです。
 しかも実力で全幹部を叩きのめしています。
 当然の結果でしょう。

 ああ、私を含めたイヴァンもダニエルも平クラン員です。
 技はともかく、魔獣を斃していない私たちには、身体強化がないので、歴戦のクラン員には勝てません。
 それが、現役クラン員の誇りを護ったのでしょう。
 クランは血統関係なしの実力主義。
 ただし誇りと名誉を護った狩り方をする。
 これがゲイツクランの根本理念となりました。
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