持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第二章貴族偏

恋の駆け引き

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「やあ、ラナ。
 今日も美しいね。
 今夜舞踏会を開くのだが、出席してくれないかな?」

「折角のお誘いですが、役目が終わったら、また大魔境に戻って狩りを続けようと思っております。
 城伯の爵位をお与え頂いた以上、それなりの城を築かなければ、皇帝陛下の面目を潰してしまうことになります。
 ですが築城となれば、それなりの金額が必要になりますから」

 私はきっぱりとレオン第四皇子の誘いを断りました。
 私には貴族らしい婉曲な表現などできません。
 婉曲な表現に失敗して、舞踏会に参加させられるようなことになったら、大恥をかくことになってしまいます。
 まあ、私が恥だと思わなければ、それですむことなのですが、これでも年頃の女ですから、それなりに羞恥心はあるのです。

「それよりもレオン殿下。
 もっと亜竜種に傷をつける事に集中してください。
 大魔境の検分が、身体強化の言い訳だというのは分かっています。
 嫌だとは申しませんが、もう少し真剣にやって早く強化してくださらないと、属性竜がいそうな奥地までいけません」

 イヴァンがはっきりきっぱりレオン第四皇子に言い切りました。
 流石に生真面目で天才肌のイヴァンです。
 相手が皇室の皇子でも臆せずに言い放ちます。

「そうですよ、レオン殿下。
 このまま属性竜がなかなか狩れなければ、城伯を頂いたことに対する妬み嫉みで、俺達が非難されてしまいます。
 俺達男はいいですが、女性陣が非難されるようなことになったら、男の恥ですよ」

 ダニエルも厳しくレオン第四皇子に言い切りました。
 そして私の方をチラリと見ました。
 なにが言いたいのでしょうか?
 まあ、私を含めた女性陣を庇ってくれたの確かです。
 笑顔の一つも返しておかないといけませんね。

「それは気がつかなかった。
 いや、悪気があったわけではないのだ。
 城伯達は魔都城代の私に預けられた形だから、今のうちに社交界の経験を積んでもらおうと思っただけなのだよ。
 城伯達の立場は改めて確認した。
 私も頑張って足手纏いにならないようにしよう」

 ダニエルはレオン第四皇子にああ言いましたが、私としてはもっと強化が遅れて欲しいのが本音です。
 役目中に属性竜を狩ってしまったら、皇室皇国に献上しなければなりません。
 正直そんな大損はしたくないのです。
 役目中以外の、私的な時間に属性竜は狩りたいのです。

 だから、ついついダニエルには厳しい視線を送ってしまいました。
 なぜ私を怒らせたか分からなかったのでしょう。
 私の怒りの視線を受けたダニエルが、終始狼狽しています。
 それがちょっと面白くて、いつまでも怒っていられなくなりました。
 こんな立場になっても、結構余裕がありますね、私。
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