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第二章貴族偏
城伯1
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レオン第四皇子にはっきりと言われて、ようやく自分の立場が理解できました。
私達は城伯になったのです。
建前上は、皇室皇国が危険視する有力貴族の監視が役目です。
何かあったら、監視対象の有力貴族との戦いになります。
当然軍役があるのです。
有力貴族軍を抑えられるだけの戦力を持っている必要があります。
まあ、実際には、有力貴族の近くに派遣されることはありません。
皇室皇国は私達と有力貴族が接触することを恐れているので、陰で交流を持ちやすい領地の近接など許すはずがないのです。
ですが、私達に悪意を持っている貴族達は、私達が軍役を果たしていないことを攻撃する事でしょう。
軍役に見合う家臣を召し抱えさせて、資産を使わそうとするでしょう。
まあ、千人程度の家臣を召し抱えたからといって、簡単になくなるような資金ではありません。
家族を含めれば五千人六千人となるでしょうが、百年分の給料を前払いしても、減ったのが分からないくらいの資産があります。
城伯級の城を数十築城しても平気です。
ですが、無駄金を使うのは嫌なのです。
長年の貧乏暮らしの影響で、必要最低限の支出に抑えようとしてしまいます。
「レオン殿下。
私は長く慎ましく生活しておりましたので、無駄遣いが苦手なのです。
軍役で家臣を召し抱えるのは当然なのですが、採算の取れない魔都に家臣を常駐させたくありません。
早く築城が許される土地を紹介してください。
条件は以前からお願いしていたように、魔境と接していて自由に狩りに入れるか、魔境を領地として認めてくださるかです」
「無茶を言ってくれるな。
それでなくとも、ラナ達を城伯に叙爵したことを根に持っている貴族が多いのだ。
ここで強引に事を運んだら、大きなしっぺ返しがラナ達に訪れるぞ」
「レオン殿下。
ラナの言う事は私達の総意です。
それに、皇室皇国の威光に逆らうような貴族は、一門譜代を問わず取り潰してしまえばいいではありませんか。
私達に先陣を賜るなら、一夜で滅ぼして見せます。
その地を直轄領とすれば、皇室皇国の力は不動のものになります」
イヴァンが本気です。
本気で皇室一門の貴族家であろうと、建国の功臣に所縁ある貴族家であろうと、皆殺しにする覚悟のようです。
一時はこの大陸を捨てる覚悟までしていた私達です。
何を今さら恐れる必要があるというのですか。
「しかし、イヴァン。
貴族家を潰したら、多くの家臣が路頭に迷い、治安が悪化してしまうののだよ」
私達は城伯になったのです。
建前上は、皇室皇国が危険視する有力貴族の監視が役目です。
何かあったら、監視対象の有力貴族との戦いになります。
当然軍役があるのです。
有力貴族軍を抑えられるだけの戦力を持っている必要があります。
まあ、実際には、有力貴族の近くに派遣されることはありません。
皇室皇国は私達と有力貴族が接触することを恐れているので、陰で交流を持ちやすい領地の近接など許すはずがないのです。
ですが、私達に悪意を持っている貴族達は、私達が軍役を果たしていないことを攻撃する事でしょう。
軍役に見合う家臣を召し抱えさせて、資産を使わそうとするでしょう。
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ですが、無駄金を使うのは嫌なのです。
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「レオン殿下。
私は長く慎ましく生活しておりましたので、無駄遣いが苦手なのです。
軍役で家臣を召し抱えるのは当然なのですが、採算の取れない魔都に家臣を常駐させたくありません。
早く築城が許される土地を紹介してください。
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「無茶を言ってくれるな。
それでなくとも、ラナ達を城伯に叙爵したことを根に持っている貴族が多いのだ。
ここで強引に事を運んだら、大きなしっぺ返しがラナ達に訪れるぞ」
「レオン殿下。
ラナの言う事は私達の総意です。
それに、皇室皇国の威光に逆らうような貴族は、一門譜代を問わず取り潰してしまえばいいではありませんか。
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