持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第二章貴族偏

城伯2

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「テゥーリ。
 私の家臣になりたい子なんていると思う?」

「います!
 たくさんいます!
 私はなりたいです!
 私を家臣に召し抱えてください!」

「え?
 本気なの?
 私みたいな小娘に死ねと言われたら、死ななきゃいけないんだよ?」

「大丈夫です!
 ラナ様はそんな命令はされません。
 家臣領民が全員助かる事を考えてくださいます」

 テゥーリの無条件の信頼が重くて痛いです。
 私はそんな立派な人間ではありません。
 ですが、本当に意外でした。
 私なんかの家臣になるよりも、ジョージ様、マルティン様、イヴァン、ダニエルの城伯家の方が、ゲイツクラン団長の血縁なので、安心できるでしょうに。

 まあ、女性当主の方が安心できるのかもしれませんが、それならばドウラさんの城伯家が圧倒的に安心感があります。
 ドウラさんがこのまま引退することが心配なら、圧倒的な魔力で簡単に亜竜種を斃すエマとニカの城伯家でしょう。
 私を選ぶ子がいるとしたら、前衛職の女性冒険者でしょうか?
 それならば多少希望者がいるかもしれませんね。

「ラナ閣下。
 もし本当に家臣を召し抱える気がおありなら、私達もお願いします」

「フリーダさん、ブリギッテさん、アンゲリカさん!
 貴女方までですか?
 貴女方のような熟練冒険者が私の家臣になって、何の利があるのですか?
 望めば皇室で召し抱えてもらえるのではありませんか?」

「いえ、それが一番嫌なのです。
 皇室に徒士家や騎士家で召し抱えられても、貧乏生活が待っているだけです。
 ですがラナ閣下なら、私達を蔑ろにしないのは分かっています。
 陪臣徒士家や騎士家になっても、私的時間は自由に狩りをさせてくださるでしょ?
 できれば皇室に強制仕官させられる前に、召し抱えもらいたいのです」

 フリーダさんが代表して話してくれました。
 なかなか興味深い話でした。
 ゲイツ家は、ずっと皇室の意向に沿って、当主や跡取りが冒険者になる事はありませんでした。
 イヴァンとダニエルは、冒険者になるために一時的に絶縁になっています。
 それをフリーダさん達は警戒しているのでしょう。

 そう考えれば、ドウラさんやエマとニカを警戒するのも分かります。
 ドウラさんのホセイ家は、士爵位を得ていたので、皇室の規則通り冒険者として狩りをしていませんでした。
 ドウラさんが冒険者になったのは、隠居して長男に家督を譲ってからです。
 エマとニカが冒険者になれたのも、後継者候補の兄がいて、家督を継げない女だっあからでもあります。

 となると、安心して仕えられるのは私だけという事になります。
 だとすると、案外簡単に千人の家臣が集まるかもしれません。
 でも、女ばかり千人の家臣団ですか……
 ひとつ間違えれば、とんでもない集団になってしまいます。
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