婚約破棄されたショックで前世の記憶を取り戻して料理人になったら、王太子殿下に溺愛されました。

克全

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16話王太子ルーカス視点

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「国王陛下、シンクレア伯爵家を侯爵家に陞爵する事はできませんか?」

「ふむ、そんなに気にいったのか?」

「はい、ずっと想いを寄せていました。
 家格が違いするるのと、出会った頃にはすでに婚約者がいたので、想いを押し殺していましたが、今なら侯爵に陞爵して結婚できるのではありませんか?」

「婚約ではなくいきなり結婚か?」

「邪魔が入る前に結婚してしまいたいのです」

「今さらだな。
 すでにお前がナウシカに恋している事は社交界の常識だ。
 多くの刺客が送り込まれていたのを撃退していたのであろう」

「ご存じでしたか」

「あまりにおいたが過ぎる貴族には、お仕置きが必要だからな。
 ふむ。
 だが何を理由に侯爵に陞爵する?」

「王国に新たな流れを生みました。
 ナウシカが考え出した新たな料理は、今ではキャンベル王国の名物となり、大陸中から多くの金持ちが食事に訪れています。
 ナウシカが育て組み合わせた香草も評判で、多くの者が買い求めに来ます。
 シンクレア伯爵家直営の料理屋の利益と併せれば、十分侯爵家に匹敵する生産力になります」

「それだけでは弱いな。
 それだけでは侯爵に陞爵する理由にならん」

「では騎士団はどうでしょうか?
 王家の騎士団は、ナウシカの依頼に応じるうちに著しく強力になっています。
 その功績を持って侯爵に陞爵するわけにはいきませんか?」

「それはお前の功績であろう。
 実際に騎士団を直卒して狩りに行っていたのはお前だ。
 それをナウシカの功績にするのは難しい」

「では、国王陛下は反対なのですか?!
 私にナウシカを諦めろと言われるのですか?!」

「そんなことは言わんよ。
 余もナウシカこそお前の妻に相応しいと思っている。
 だが王家の力は盤石ではない。
 ナウシカのお陰で騎士団の能力は向上したが、全ての貴族を敵に回せるほどではないのだよ。
 家格の問題は、全ての貴族を敵に回す可能性がある、とても微妙な問題なのだよ」

 父王陛下の言われることも分かります。
 頭では分かりますが、心は納得できません。
 なんとしてもナウシカを妻に迎えたいのです。
 そのためなら、全ての貴族を敵に回し、屍山血河を築こうとも後悔しない。
 それだけの覚悟はあるのです。

「そのような怖い顔をするな。
 今にも貴族たちに攻撃を仕掛けそうだぞ。
 それほど難しい事ではない。
 軍役を与え、それをちゃんと負担すれば、それを理由に侯爵に陞爵すればいい」

「軍役でございますか?」

「そうだ。
 魔境の警備に兵をださせるのだ。
 どうせ食材を集めるのに騎士団を魔境に派遣するのだろう。
 聖銀鉱山と料理屋や香草で潤うシンクレア伯爵家なら、一万の軍勢を整える事くらい平気であろう」

「分かりました!
 ナウシカに話してきます!」
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