王太子に婚約破棄され奈落に落とされた伯爵令嬢は、実は聖女で聖獣に溺愛され奈落を開拓することになりました。

克全

文字の大きさ
8 / 12

7話

しおりを挟む
「ああ、難しい事を言うなぁ。
 食糧は幾らでも作ってあげれるよ。
 聖女が願い神々に祈ってくれるのなら、それこそ無尽蔵に創り出す事もできる。
 だけど、さっきも言った通り、人間を聖域に入れる事はできないなぁ。
 聖域が人間の穢れに侵されてしまって、精霊が魔獣や悪霊に変じてしまうからね。
 それだけは無理だ、あきらめてよ」

「あの、だったら、食べ物は聖域で作って、人間の世界に運びだすのはどうですか?
 食糧を聖域から運び出すのを手伝ってもらえますか?
 私だけでは運びだす事ができません」

「う~ん、そうだねぇ。
 できなくはないかなぁ。
 少し難しい所はあるけれど、絶対不可能ではないかな。
 まあ、聖女にはがんばってもらうことになっちゃうけどね」

「どうがんばればいいのですか?
 教えて下さったらがんばります。
 どうすればいいですか?」

「聖女の力で、動物を魅了するんだよ。
 精霊はとても力が強いけれど、人間に穢されやすくて聖域から出られない。
 獣には精霊のような力はないけれど、人間に穢されない強さがある。
 精霊も獣も聖女に魅かれ、手助けしたいと思ってくれる。
 だから役割を分担するのさ」

「でも、だけど、それは全部私が聖女だったらという話ですよね。
 私にそんな力があるなんて信じられません」

「そうかもしれないね。
 今まで一度も聖女に力を振るったことがないなら、信じられないよね。
 だったらまずはやってみて、自信をつけてみようかぁ?
 まずは想像してみてよ。
 聖女が望む、たわわに作物が実った世界を」

 私が望む作物がたわわに実った世界ですか?
 私が覚えている、最も豊作だった年の小麦畑を思いだせばいいのでしょうか?
 それともライ麦畑や大麦畑を思いだせばいいのでしょうか?

「ああ、とめてとめて。
 精霊達たちが聖女の想いを現実に反映させえるまでは、一つだけ想像して。
 色々な想いを混ぜちゃだめだよ」

 一つの場面だけを思い続けるのですか?
 結構難しいです。
 ですがこれで本当に小麦やライ麦を手に入れる事ができるのなら、がんばらないといけません

 ああ、ダメです。
 集中するのです。
 小麦やライ麦と考えてはいけません。
 小麦だけを想うのです。
 あの黄金色に実った小麦畑を思いだすのです。

「おお、いいよ、いいよ。
 どんどん小麦畑が広がっているよ。
 眼を開けてみてごらん。
 今なら見ることで思いだすよりももっと正確に想像できるよ」

 私は聖獣様のお言葉に従って、ゆっくりと目を開けてみました。
 そこには一面の小麦畑が広がっていたのです!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~

サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~

白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。 王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。 彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。 #表紙絵は、もふ様に描いていただきました。 #エブリスタにて連載しました。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います

黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。 レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。 邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。 しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。 章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。 どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。 表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。

偽聖女の汚名を着せられ婚約破棄された元聖女ですが、『結界魔法』がことのほか便利なので魔獣の森でもふもふスローライフ始めます!

南田 此仁@書籍発売中
恋愛
「システィーナ、今この場をもっておまえとの婚約を破棄する!」  パーティー会場で高らかに上がった声は、数瞬前まで婚約者だった王太子のもの。  王太子は続けて言う。  システィーナの妹こそが本物の聖女であり、システィーナは聖女を騙った罪人であると。  突然婚約者と聖女の肩書きを失ったシスティーナは、国外追放を言い渡されて故郷をも失うこととなった。  馬車も従者もなく、ただ一人自分を信じてついてきてくれた護衛騎士のダーナンとともに馬に乗って城を出る。  目指すは西の隣国。  八日間の旅を経て、国境の門を出た。しかし国外に出てもなお、見届け人たちは後をついてくる。  魔獣の森を迂回しようと進路を変えた瞬間。ついに彼らは剣を手に、こちらへと向かってきた。 「まずいな、このままじゃ追いつかれる……!」  多勢に無勢。  窮地のシスティーナは叫ぶ。 「魔獣の森に入って! 私の考えが正しければ、たぶん大丈夫だから!」 ■この三連休で完結します。14000文字程度の短編です。

殿下、私の身体だけが目当てなんですね!

石河 翠
恋愛
「片付け」の加護を持つ聖女アンネマリーは、出来損ないの聖女として蔑まれつつ、毎日楽しく過ごしている。「治癒」「結界」「武運」など、利益の大きい加護持ちの聖女たちに辛く当たられたところで、一切気にしていない。 それどころか彼女は毎日嬉々として、王太子にファンサを求める始末。王太子にポンコツ扱いされても、王太子と会話を交わせるだけでアンネマリーは満足なのだ。そんなある日、お城でアンネマリー以外の聖女たちが決闘騒ぎを引き起こして……。 ちゃらんぽらんで何も考えていないように見えて、実は意外と真面目なヒロインと、おバカな言動と行動に頭を痛めているはずなのに、どうしてもヒロインから目を離すことができないヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID29505542)をお借りしております。

処理中です...